三重高校野球部はどんなチームなのか。
2026年夏の甲子園を前に初めて三重高校を見る人に、まず伝えたいのは「打線の厚みを前面に出しながら、複数投手と粘り強さでも勝負できるチーム」だということです。
2026年夏の三重大会では5試合で51得点。2回戦から準々決勝まで3試合連続でコールド勝ちし、決勝でも近大高専を12―3で破りました。沖田展男監督自身も県大会優勝後、今年の三重を「攻撃のチーム」と表現しています。
ただし、「打つだけのチーム」と考えると三重高校の本当の強さを見落とします。
春のセンバツでは佐野日大を2―0で完封し、大阪桐蔭とは延長10回タイブレークの末に5―6。夏の三重大会準決勝では津商に0―5とされたところから7―6で逆転しており、ロースコアでも打撃戦でも、さらには追いかける展開でも勝負できる幅があります。
しかも、このチームのスタート地点をさかのぼると、さらに面白くなります。
2025年夏は優勝候補に挙げられながら、初戦で昴学園に0―2の完封負け。その悔しさから始まったチームが秋、春を経て攻撃力を伸ばし、2026年夏には4年ぶり15回目の甲子園出場をつかみました。
この記事では、そんな2026年の三重高校について、チームカラー、投手陣、打線、守備と走塁、甲子園メンバー、注目選手、予想スタメン、沖田監督、地方大会の成績、松商学園との初戦まで詳しく見ていきます。
- 2026年夏の三重高校はどんなチームなのか
- 強力打線と吉井・上田・古川を中心とした投手陣の特徴
- 2025年夏の初戦敗退から2026年夏までの成長
- 甲子園メンバー・予想スタメン・注目選手
- 初戦の松商学園戦で注目したいポイント
三重高校野球部はどんなチーム?最初に特徴を整理
2026年の三重高校を端的に表すなら、「打線で主導権を握り、タイプの異なる投手をつなぎながら、劣勢でも試合を壊さず反撃できる総合力型」です。
夏の51得点が目立ちますが、その数字だけを見るのではなく、春から夏までに経験した試合展開を合わせて見ることが大切です。そこに今年の三重高校らしさがよく表れています。
主な特徴を整理すると次のようになります。
- 三重大会5試合で51得点を挙げた厚みのある打線
- 吉井海翔、上田晴優、古川稟久ら複数投手による継投
- 上位だけでなく6~9番からも得点を生み出せる打順
- 0―5から逆転した津商戦に象徴される試合中の修正力
- 春のセンバツで佐野日大、大阪桐蔭と戦った全国大会経験
春のセンバツ前、大西新史主将は投手陣を中心とする堅い守備と、足を使いながら打線をつなぐ攻撃を自分たちの持ち味としていました。そこへ夏までに打線の破壊力が加わったと考えると、2026年の三重高校が分かりやすくなります。
2026年夏は監督自身が「攻撃のチーム」と位置づける
三重大会決勝後、沖田監督は今年のチームについて「攻撃のチーム」と表現しました。
これは外部から数字だけを見て強打線と評価しているのではなく、チームを率いる監督自身が攻撃力を今年の特徴として捉えている点で重要です。
実際、県大会では津東に12―2、高田に13―3、いなべ総合に7―0と3試合連続コールド勝ち。
準決勝では津商に7―6、決勝では近大高専に12―3で勝ち、5試合の合計得点は51に達しました。
とはいえ、甲子園で毎試合10点前後を取れるわけではありません。
全国大会では地方大会以上の投手と対戦するため、この攻撃力を「どれほど得点できるか」ではなく、「少ない好機で何点取れるか」という視点で見る必要があります。
投手一人に頼らないことも大きな特徴
2026年の三重には、左腕の吉井海翔投手と上田晴優投手、右腕の古川稟久投手など、複数の投手がいます。
春の甲子園でも夏の県大会でも継投を使っており、「絶対的エースが全試合完投するチーム」とは明らかに違います。
相手打線や当日の状態によって先発を変え、途中から左右や球質の違う投手を当てられるのが強みです。
一方で、古川投手は三重大会決勝で肘を痛めており、夏の甲子園初戦に向けて調整中です。その状態によっては、通常とは異なる投手運用を迫られる可能性があります。
三重高校の基本情報と2026年夏の位置づけ
三重高校は三重県松阪市にある私立高校で、全国大会の経験を重ねてきた県内屈指の野球強豪校です。
2026年夏は4年ぶり15回目の甲子園出場。春にも8年ぶり14回目のセンバツに出ているため、春夏連続で甲子園に立つシーズンとなりました。夏の出場回数は日本高野連の代表校一覧でも15回目と確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学校名 | 三重高等学校 |
| 所在地 | 三重県松阪市 |
| 学校区分 | 私立 |
| 監督 | 沖田展男監督 |
| 主将 | 大西新史選手 |
| 2026年春のセンバツ | 8年ぶり14回目 |
| 2026年夏の甲子園 | 4年ぶり15回目 |
| 2026年夏の三重大会 | 優勝 |
| 三重大会得点 | 5試合51得点 |
| 三重大会失点 | 5試合14失点 |
| 夏の甲子園初戦 | 松商学園(長野) |
| 初戦予定 | 2026年8月11日18時30分 |
| 2026年の特徴 | 厚い打線・複数投手・全国大会経験 |
三重高校は春の甲子園で全国優勝を経験しているほか、2014年夏には決勝まで進出しました。
2026年春には佐野日大を破ったことで、春夏通算の甲子園勝利数を30勝に伸ばしています。
過去の実績そのものが2026年の試合を勝たせてくれるわけではありません。
それでも、大舞台を特別視しすぎず「甲子園で勝つ」ことを目標にできる環境は、伝統校ならではの強みです。
2025年夏の完封負けから2026年夏までに三重高校はどう変わった?
2026年夏の三重高校を理解するうえで、最も重要なのがこの1年間の変化です。
いまの51得点だけを見ると最初から打撃の強いチームだったように感じますが、スタート地点は正反対でした。前年夏に得点できず敗れた悔しさがあり、そこから秋、春、夏と試合を重ねて現在のチームに変化しています。
2025年夏|昴学園に0―2で敗退
優勝候補に挙げられながら初戦で完封負け。新チームの出発点になりました。
2025年秋|三重県優勝・東海大会準優勝
複数投手をつなぐ形が整い、東海地区の強豪とも渡り合いました。
2026年春|センバツで全国1勝
佐野日大を2―0で破り、大阪桐蔭とは延長10回の1点差。全国で戦える手応えを得ました。
2026年夏|5試合51得点で甲子園へ
春に0―5で敗れた津商へ、夏は0―5から7―6で逆転。攻撃力と修正力を示しました。
2025年夏は昴学園に0―2で完封負け
2025年夏の三重大会で、三重は優勝候補の一角と見られていました。
しかし初戦となった2回戦で昴学園に0―2。得点を奪えないまま大会を去りました。
翌2026年春のセンバツ壮行会で沖田監督は、現在のチームが前年夏の初戦敗退の悔しさから始まったと振り返っています。
夏のトーナメントは、1試合負ければ終わりです。
どれだけ力があっても得点できなければ勝てないという経験をしたことが、その後の打線づくりに影響したと考えるのは自然でしょう。
だからこそ、2026年夏に5試合51得点を記録した事実には、「今年はよく打つ」という数字以上の意味があります。
秋は三重県を制し、東海大会準優勝
新チームは2025年秋に三重県大会を制覇しました。
投手陣では上田晴優投手、古川稟久投手、吉井海翔投手らを継投できる形がすでに出来始めており、決勝でも複数投手を使って勝利しています。
さらに秋季東海大会でも決勝へ進出。
決勝では中京大中京に敗れたものの、延長10回タイブレークまで戦って準優勝し、翌春のセンバツ出場につなげました。
この東海大会で得たものは結果だけではありません。
県内だけでなく東海地区の強豪を相手にしても投打が通用することを確認できたことで、「甲子園で戦うチーム」へと基準を上げる期間になりました。
春のセンバツでは佐野日大を2―0で破る
2026年春のセンバツ初戦では佐野日大と対戦しました。
試合は5回まで0―0。6回2死満塁から大西新史主将が2点適時打を放ち、その2点を投手陣が守って2―0で勝利しました。
先発した上田晴優投手は9回2死まで無失点。
最後を古川稟久投手につなぎ、全国大会で完封リレーを完成させています。
夏の三重大会では大量得点が目立ちましたが、この試合は「2点しか取れなくても勝てる」ことを示した一戦です。
甲子園では10点を取る力以上に、2―1や3―2で勝てる力が求められることがあります。その経験を春に済ませていることは夏にも生きます。
大阪桐蔭とは延長10回の1点差
続く大阪桐蔭戦では5―6。
三重は強豪相手に点を取り合い、4―5で迎えた8回には大西主将の犠牲フライで追いつきました。試合は延長10回タイブレークへ入り、最後は1点差で敗れています。
敗戦ではありますが、大阪桐蔭に序盤から引き離されて終わったわけではありません。
相手に得点されても反撃し、終盤に追いつき、延長まで勝敗を分からなくした経験は大きな財産です。
「全国の強豪相手でも試合の中で食らいつける」という実感を持って夏へ進めたことは、県大会で劣勢になった際の落ち着きにもつながったと考えられます。
春に0―5で負けた津商へ夏は0―5から逆転
2026年の成長を象徴する対戦相手が津商です。
春季三重大会準決勝で三重は津商に0―5で敗れています。4安打に抑え込まれ、得点することができませんでした。
ところが約3か月後、夏の三重大会準決勝でも津商と対戦。
今度は序盤に0―5とリードされながら、そこから得点を重ねて7―6で逆転しました。
春は「0―5で負けた」。
夏は「0―5から勝った」。
同じ相手、同じ5点差でも結末が正反対になったことは、三重高校の春から夏への成長を説明するうえで非常に分かりやすい材料です。
三重高校が2026年夏に強い4つの理由
ここまでの歩みを踏まえると、三重高校の強さは単純なチーム打率や得点数だけでは説明できません。
打線の厚さ、投手層、経験値、そして悪い流れの中でも試合を戻せる力。それぞれがつながっているため、相手としては「ここさえ封じれば勝てる」というポイントを絞りにくくなっています。
1.上位から下位まで切れにくい打線
県大会決勝の近大高専戦で三重は14安打12得点。
スタメン野手全員が安打を記録し、初回に5点、7回に6点というビッグイニングをつくりました。守備でも無失策でした。
しかも得点源は3番や4番だけではありません。
決勝では6番の河口遼選手、7番の東堂竜馬選手、8番の松原創汰選手、9番の大西新史選手まで全員が打点を挙げました。
甲子園では上位打線を徹底して分析されます。
そのとき、6~9番から得点できるチームは相手投手に休める打順を与えません。三重高校の「51得点」を支えているのは、一部の強打者だけではなく打順全体の厚さです。
2.タイプの違う投手を継投できる
三重には吉井海翔投手、上田晴優投手、古川稟久投手など複数の主力投手がいます。
春の佐野日大戦では上田投手から古川投手。夏の三重大会決勝では上田投手から古川投手、最後は吉井投手という形でつなぎました。
一人の投手が崩れたら終わりではないことは、夏の連戦では非常に大きな意味を持ちます。
ただし古川投手の肘の状態によって、この投手層を100%使えるかどうかは変わります。夏の甲子園では「投手が何人いるか」だけでなく、「当日どの投手がどれだけ投げられるか」を見なければなりません。
3.追いかける試合を経験している
高校野球では先制点が非常に大きな意味を持ちます。
特に甲子園では、相手に3点、4点と先行されると焦りから攻撃が雑になり、そのまま試合が決まることも珍しくありません。
三重は夏の津商戦で0―5から逆転しました。
春の大阪桐蔭戦でもリードされながら終盤に追いついています。
つまり、「先制できなかったら自分たちの野球ができない」チームではありません。
もちろん甲子園で5点差を毎回ひっくり返せるわけではありませんが、ビハインドを経験済みであることは、想定外の展開になったときの精神的な支えになります。
4.春の甲子園経験を夏へ持ち込める
三重は2026年春にも甲子園で2試合を戦っています。
佐野日大戦で勝利し、大阪桐蔭とはタイブレークまで進みました。
甲子園は地方球場とは雰囲気が違います。
観客の多さ、応援の音量、ファウルゾーンの感覚、試合前の時間の使い方など、実際に経験しなければ分からない部分があります。
主力選手がその環境を春に経験しているため、夏の初戦で「甲子園という場所」に慣れるための時間を短くできます。
春夏連続出場の利点は、単純に「強いから両方出た」というだけではないのです。
三重高校の強力打線はどこがすごい?
2026年夏の三重高校で最も目を引くのは、やはり打線です。
三重大会は5試合51得点。単純平均では1試合10点を超えていますが、その内容を見るとホームランだけで押し切っているわけではありません。安打を重ね、長打、犠飛、進塁、相手のミスまで使って得点を増やしています。
打線を見るときは次の点に注目すると特徴をつかみやすくなります。
- 水野央清選手と前野元佑選手が1、2番から出塁できるか
- 秋山隼人選手、福田篤史選手へ走者を置いて回せるか
- 中軸を抑えられても河口遼選手、東堂竜馬選手らが返せるか
- 9番の大西新史選手から再び1番へ攻撃をつなげられるか
水野央清選手が1番からチャンスをつくる
県大会決勝で1番を務めたのは2年生の水野央清選手です。
決勝では2安打2打点。7回には2点を加える一打を放ち、大量得点のイニングを締めました。
1番打者は出塁するだけではなく、下位打線が作った走者を返す役割もあります。
水野選手が一巡目ではチャンスメイク、二巡目以降では得点を生む打撃までできれば、三重の攻撃は途切れにくくなります。
2年生ながら夏の優勝決定戦で先頭打者を任されている点からも、首脳陣からの信頼が分かります。
前野元佑選手は2番でも長打がある
2番の前野元佑選手も2年生です。
県大会決勝では3安打を放ち、本塁打も記録しました。
2番というとバントや進塁打をイメージしがちですが、前野選手は自分で長打を打って得点を動かせます。
しかも甲子園初戦で対戦する松商学園とは2026年6月にも練習試合をしており、松商学園の松宗勝監督は三重で警戒する打者として前野選手に言及しています。
対戦相手がすでに長打力を認識しているだけに、甲子園では簡単に甘い球を投げてもらえないでしょう。
そこで四球を選んだり逆方向へ打ったりできるかも、前野選手を見るポイントになります。
秋山隼人選手と福田篤史選手が中軸を形成
県大会決勝では3番に秋山隼人選手、4番に福田篤史選手が入りました。
秋山選手が走者を進めたり自ら出塁したりし、その後ろに福田選手が控える形です。
相手バッテリーからすると、1、2番を出塁させた状態でこの2人を迎えるのは避けたいところ。
逆に三重としては、水野選手と前野選手がどれだけ中軸の前に走者を置けるかが大量得点の条件になります。
福田選手は県大会決勝でも2安打2打点。
4番が確実に得点へ絡むことが、打線全体に安心感を与えています。
6番から9番まで打点を挙げた決勝が象徴的
打線の厚みを最も分かりやすく表しているのが近大高専との決勝です。
6番河口遼選手、7番東堂竜馬選手、8番松原創汰選手、9番大西新史選手がそろって打点を挙げました。
相手からすると、4番を抑えても攻撃が終わりません。
5番以降で走者をためられると再び1、2番へ戻り、その後に秋山、福田の中軸が待っています。
高校野球の強い打線は、ホームランを何本打てるかだけで決まりません。
「一度始まった攻撃がどこで切れるのか分からない」という状態をつくれるかどうか。2026年夏の三重高校には、その怖さがあります。
三重高校の投手陣は吉井・上田・古川が中心
三重高校は「攻撃のチーム」と表現されていますが、投手陣の層も甲子園で戦ううえで重要な武器です。
左右の違いに加えて、先発だけでなく試合途中から任せられる投手がいるため、相手や展開によって継投を組み立てられます。ただし古川稟久投手の状態という不確定要素があり、夏の初戦では春や県大会と同じ運用ができるとは限りません。
吉井海翔投手は背番号1の左腕
吉井海翔投手は3年生の左腕です。
春のセンバツ大阪桐蔭戦では先発を任され、夏の県大会でも重要な場面で登板しています。
県大会決勝では最後のアウトを取りにマウンドへ上がりました。
必ず先発で長いイニングを投げるというより、状況によって先発と救援の両方を考えられるのが三重投手陣の特徴です。
古川投手の登板が限定される場合は、吉井投手が通常以上に大きな役割を担う可能性があります。
甲子園では先発するのか、後半に残すのかという起用法から注目です。
上田晴優投手は春の甲子園で結果を残した左腕
上田晴優投手は、春のセンバツで全国を経験している左腕です。
佐野日大戦では先発し、9回2死まで無失点。2点のリードを守り続けました。
夏の三重大会決勝でも先発しています。
近大高専に4回3点を奪われましたが、5―3とリードした状態で古川投手へつなぎました。
甲子園で先発して勝った経験は大きな材料です。
大観衆の中で試合の入り方を知っているため、松商学園戦でも先発候補の一人として考えられます。
古川稟久投手は球威が魅力の右腕
古川稟久投手は、左右の左腕が並ぶ三重投手陣の中でタイプを変えられる右腕です。
三重大会決勝では5回から登板し、近大高専打線を終盤まで抑えました。三重が5―3から12―3まで突き放す間、相手に流れを渡さなかったことが大量点につながっています。
松商学園側も三重について、古川投手や吉井投手らタイプの異なる投手がそろい、継投で試合をつくるチームと見ています。
ただし、夏の甲子園で古川投手を見るうえでは成績以上にコンディションが重要です。
三重大会決勝で肘を痛め、甲子園へ向けて調整を続けています。8月8日時点でも沖田監督は状態を見ながら判断する姿勢を示しており、登板を当然視することはできません。
選手の状態が最優先なのは言うまでもありません。
三重には他の投手もいるだけに、古川投手を無理に使うのではなく、誰が投げられる状況でも勝負できる形を作れるかがポイントになります。
「攻撃のチーム」でも守備と走塁を軽視できない理由
夏の51得点があまりに目立つため、三重高校を見るときは打線へ意識が向きがちです。
しかし春のセンバツ前、大西主将が挙げていたチームの特徴は投手を中心とする守備と、足を生かしながら打線をつなぐ攻撃でした。つまり、夏に突然打撃だけのチームへ変わったわけではなく、もともとあった守備・走塁の土台へ打力が上積みされたと見る方が実態に近いでしょう。
春は守りからロースコアをものにした
佐野日大戦は、その土台が最も分かりやすく表れた試合でした。
攻撃では6回まで得点できませんでしたが、上田投手を中心に相手を無得点に抑え、最終的に2―0で勝っています。
打線が好調な夏でも、甲子園では同じような試合になる可能性があります。
相手投手に抑えられたから焦って攻撃を変えるのではなく、「守っていればどこかで好機が来る」と考えられることが重要です。
県大会決勝でも三重は無失策でした。12点という得点だけでなく、守備から余計な走者を与えなかった点も見逃せません。
足は大量盗塁ではなく得点を増やすために使う
大西主将は春に「足を生かしたつながり」をチームの持ち味に挙げていました。
これは必ずしも、毎試合何個も盗塁する機動力特化型という意味ではありません。
送りバント、走者を進める打撃、外野フライ、相手守備へのプレッシャーなども高校野球では重要な走塁です。
甲子園では長打だけで大量得点することが難しくなります。
無死一塁を一死二塁にするのか、強攻するのか。三塁走者をどのタイミングでスタートさせるのか。
こうした1点を取る選択肢が、県大会ほど打てない試合では重要になります。
大西新史主将の捕手としての役割が大きい
三重高校で攻守をつなぐ存在が捕手の大西新史主将です。
打撃では春の佐野日大戦で決勝の2点適時打。夏の県大会決勝でも9番から打点を記録しています。
さらに捕手として、吉井投手、上田投手、古川投手ら特徴の違う投手をリードします。
一人のエースだけと組めばよいチームではないため、投手が替わるたびに配球や試合の進め方を合わせなければなりません。
投手3本柱に目が向きやすいですが、彼らを一つの投手陣として機能させる大西主将の存在も三重高校の強さの一部です。
沖田展男監督はどんな野球を目指している?
三重高校を率いるのは沖田展男監督です。
2026年夏の県大会優勝後には「攻撃のチーム」と表現する一方、甲子園初戦の松商学園戦については、大量得点だけを前提とせず、9回を終えたときに1点上回る試合を想定しています。
ここに今年の三重高校の考え方が表れています。
打てるからといって、毎試合打ち合いを望んでいるわけではありません。
沖田監督は松商学園戦を前に、四球や失策などが絡む不要な失点を減らすことも重要視しています。
つまり、
「打線が強いから10点取って勝つ」のではなく、「打線の強みを生かしながら、接戦になれば守備と投手で1点差を取りにいく」
というのが実戦的な考え方でしょう。
複数投手を使う三重では継投判断も監督の大きな仕事になります。
特に古川投手の状態が万全でない可能性がある夏の初戦では、誰を先発させ、どの投手を後ろに残すかが勝敗へ直結しそうです。
2026年夏の三重大会5試合から分かる勝ち方
地方大会の結果は、甲子園でそのまま再現できる成績ではありません。
それでも、どのような展開で勝ってきたかを見るとチームの特徴は分かります。三重は3試合連続コールド勝ちの後、準決勝では1点差の逆転勝ち、決勝では再び大量得点と、異なる試合を経験して代表切符をつかみました。
| ラウンド | 対戦相手 | 結果 | 試合のポイント |
|---|---|---|---|
| 2回戦 | 津東 | 12―2 ○ | 6回コールド |
| 3回戦 | 高田 | 13―3 ○ | 7回コールド |
| 準々決勝 | いなべ総合 | 7―0 ○ | 8回コールド |
| 準決勝 | 津商 | 7―6 ○ | 0―5から逆転 |
| 決勝 | 近大高専 | 12―3 ○ | 14安打・初回5点・7回6点 |
5試合合計では51得点14失点。
得失点差だけなら圧倒的ですが、準決勝で6点を取られたように、常に危なげなく勝ったわけではありません。
準々決勝までは3試合連続コールド勝ち
2回戦から準々決勝まで、三重は12―2、13―3、7―0。
3試合連続のコールド勝ちでした。
初戦から打線が早い回に試合を動かし、相手へ追いかける展開を強いることができています。
短期決戦では初戦の入り方が難しいものですが、2025年夏の初戦敗退を経験した選手たちが、2026年夏は初戦から迷わず攻められた点も成長と言えるでしょう。
ただ、甲子園ではこの3試合だけを基準に「大量点が当然」と考えるのは危険です。
全国大会では簡単にコールド級の差はつきません。重要なのは、その後の2試合です。
準決勝は0―5から7―6
津商との準決勝では序盤に5点を奪われました。
春季県大会でも0―5で敗れた相手だけに、そのまま苦手意識が出ても不思議ではありませんでした。
しかし三重は一度にすべてを取り返そうとはせず、点差を縮めながら最終的に逆転。
7―6で決勝へ進みました。
この試合が示したのは打力だけではありません。
「序盤の失敗で試合全体を諦めないこと」と「反撃している間に投手陣が追加点を抑えること」の両方が必要でした。
甲子園で三重高校が先制された場合、この準決勝の経験が一つの基準になります。
決勝は5点差まで迫られてから再加速
決勝の近大高専戦では初回に5点を奪いました。
一方、4回には3点を返されて5―3まで追い上げられています。
そこで試合がもつれるのではなく、5回に追加点を奪って6―3。
さらに7回には打線がつながり、一挙6点を加えて12―3まで突き放しました。
大量リードから追いつかれそうになった後、もう一度攻撃の流れを作れた点が重要です。
甲子園でも、先制した後の「次の1点」が三重高校の勝敗を分ける可能性があります。
2026年夏の甲子園で注目したい三重高校の5選手
三重は一人のスター選手だけに依存するチームではありません。
だからこそ全員を見る価値がありますが、初めて観戦する人が試合のポイントをつかみやすいよう、投打の中心から特に注目したい選手を絞ります。
大西新史選手|主将・捕手として投打をつなぐ
まず外せないのが大西新史主将です。
捕手として投手陣をまとめ、打者としても春の甲子園で決勝打を記録しました。
県大会決勝では9番。
数字だけ見ると下位打者ですが、9番から出塁すれば水野選手、前野選手、秋山選手、福田選手へ打順が戻ります。
そのため三重打線では「9番で攻撃が終わる」のではなく、「9番から次の攻撃が始まる」形をつくれます。
さらに古川投手の状態によって継投が複雑になるほど、捕手としての大西選手の役割は大きくなります。
前野元佑選手|2番に入る2年生の長打力
2年生の前野元佑選手は2番打者でありながら長打を期待できる選手です。
県大会決勝では本塁打を含む3安打。
松商学園との6月の練習試合でも強い印象を残しており、相手監督が警戒する選手として名前を挙げています。
甲子園ではまともに勝負してもらえない可能性もあります。
そのとき無理に長打を狙わず出塁し、中軸につなげるかも重要です。
福田篤史選手|4番として得点を生み出す
県大会決勝で4番に入ったのが福田篤史選手です。
決勝でも2安打2打点を記録し、優勝を決める攻撃の中心になりました。
甲子園では当然マークされます。
福田選手が打つことはもちろん重要ですが、厳しいボールを見極めて出塁すれば、その後ろに立松、河口、東堂と続きます。
4番がすべて決めるのではなく、4番から次へつなげられることも三重打線の良さです。
上田晴優投手|甲子園で完封リレーを経験
投手では上田晴優投手に注目です。
春のセンバツ佐野日大戦で9回2死まで無失点に抑えた実績があり、甲子園で勝つための投球をすでに経験しています。
大量の三振を取ることだけが投手の評価ではありません。
相手へ長い攻撃時間を与えず、味方打線が得点するまで試合を動かさないことも先発投手には必要です。
松商学園戦が接戦になれば、春の佐野日大戦と似た我慢比べになる可能性があります。
古川稟久投手|登板できれば継投の幅が広がる
古川稟久投手は三重の投手陣に変化を与えられる右腕です。
春は佐野日大戦の最後を任され、夏の県大会決勝でも中盤以降を抑えました。
ただし甲子園初戦に関しては、能力より先に肘の状態を考える必要があります。
無理なく登板できる状態なら投手運用の幅は大きく広がりますが、難しい場合には吉井、上田をはじめ他投手で試合を組み立てなければなりません。
「古川投手が投げるか」だけではなく、「古川投手をどのような状態で、何イニング使うのか」までが注目点です。
2026年夏の甲子園登録メンバー
三重高校は2026年夏の甲子園に20人の登録メンバーで臨みます。
春のセンバツを経験した3年生を中心に、水野央清選手、河口遼選手、前野元佑選手ら2年生も県大会の優勝決定戦で主力を務めています。大会登録については一球速報.comでも2026年夏の全国選手権出場メンバーとして掲載されています。
2026年夏の甲子園登録メンバー20人を見る
| 背番号 | 選手名 | 学年 | 投打 |
|---|---|---|---|
| 1 | 吉井海翔 | 3年 | 左投左打 |
| 2 | 大西新史 | 3年 | 右投右打 |
| 3 | 河口遼 | 2年 | 右投左打 |
| 4 | 水野央清 | 2年 | 右投右打 |
| 5 | 立松宗馬 | 3年 | 右投右打 |
| 6 | 秋山隼人 | 3年 | 右投右打 |
| 7 | 福田篤史 | 3年 | 右投左打 |
| 8 | 前野元佑 | 2年 | 右投左打 |
| 9 | 松原創汰 | 2年 | 右投左打 |
| 10 | 上田晴優 | 3年 | 左投左打 |
| 11 | 船橋昊 | 2年 | 右投右打 |
| 12 | 澤田羽空 | 3年 | 右投右打 |
| 13 | 清水凰次郎 | 3年 | 右投左打 |
| 14 | 東大夢 | 2年 | 左投右打 |
| 15 | 東堂竜馬 | 3年 | 右投右打 |
| 16 | 村上楓太 | 3年 | 右投右打 |
| 17 | 鈴木達也 | 1年 | 左投左打 |
| 18 | 前川大和 | 3年 | 右投右打 |
| 19 | 中西優斗 | 3年 | 右投右打 |
| 20 | 古川稟久 | 3年 | 右投右打 |
メンバー構成を見ると3年生だけのチームではありません。
水野選手、河口選手、前野選手、松原選手など2年生がスタメンへ入れることが、打線や守備の選択肢を増やしています。
一方、夏の甲子園は状態や対戦相手によって起用法が変わります。
背番号や県大会での出場状況だけを見て、「この20人の役割は固定されている」と考えない方がよいでしょう。
三重高校の2026年夏の予想スタメン
甲子園初戦のスタメンは試合前まで確定しません。
ただ、三重大会決勝は甲子園出場を懸けた最重要試合だったため、その打順が2026年夏の基本形を考える材料になります。決勝では次の9人が野手のスタメンでした。
| 打順 | 守備 | 選手名 | 学年 |
|---|---|---|---|
| 1 | 二 | 水野央清 | 2年 |
| 2 | 中 | 前野元佑 | 2年 |
| 3 | 遊 | 秋山隼人 | 3年 |
| 4 | 左 | 福田篤史 | 3年 |
| 5 | 三 | 立松宗馬 | 3年 |
| 6 | 一 | 河口遼 | 2年 |
| 7 | 指 | 東堂竜馬 | 3年 |
| 8 | 右 | 松原創汰 | 2年 |
| 9 | 捕 | 大西新史 | 3年 |
決勝の先発投手は上田晴優投手でした。
この打順で特に印象的なのは、1、2番がともに2年生であることです。
そこから3年生の秋山選手、福田選手、立松選手へつなぎ、6番には再び2年生の河口選手。
学年ではなく打撃や役割で並べた構成になっています。
さらに2026年度の高校野球では指名打者制度が導入されているため、投手が打席へ入ることを前提にしなくてもよくなりました。
県大会決勝でも東堂竜馬選手がDHに入り、投手陣と野手陣を分けた起用がされています。
そのため甲子園でも、投手交代と打順変更を切り離して考えられる点は三重の複数投手制と相性がよいと言えます。
三重高校の強みと甲子園で気になる不安材料
地方大会を5連勝したチームでも弱点がないわけではありません。
むしろ甲子園でどこまで勝てるかを見るなら、「県大会で何ができたか」と同じくらい、「全国ではどこを突かれる可能性があるか」を整理しておく必要があります。
| 項目 | 強み・評価 | 甲子園での注意点 |
|---|---|---|
| 打線 | 5試合51得点、決勝14安打12得点 | 全国レベルの好投手相手に同じ得点力は保証されない |
| 打線の厚み | 6~9番からも打点を生める | 上位の前に走者をためられないと得点効率が落ちる |
| 投手陣 | 複数投手を継投できる | 古川稟久投手の肘の状態が不透明 |
| 経験 | 春の甲子園で1勝、大阪桐蔭とも接戦 | 夏の甲子園特有の緊張感や暑さへの対応は必要 |
| 粘り | 夏の津商戦で0―5から逆転 | 毎試合大差を逆転できるわけではなく、先行されすぎないことが重要 |
| 守備 | 春は守備をチームの軸に置き、県大会決勝も無失策 | 四球や失策からの不要な失点を減らす必要がある |
最大の強みは「勝ち方が一つではない」こと
三重の魅力は、打撃だけに依存していないことです。
春の佐野日大戦は2―0。
春の大阪桐蔭戦は5―6。
夏の津商戦は7―6。
夏の近大高専戦は12―3でした。
同じチームがロースコア、接戦、逆転、大量得点を経験しています。
甲子園は対戦相手によって全く違う試合になるため、「こうならないと勝てない」という条件が少ないことは強みです。
最大の不安は古川投手の状態
一方、現時点で最も分かりやすい不安材料は古川稟久投手です。
肘を痛めているため、初戦で通常通りの登板ができるかは分かりません。
三重は一人に依存しない投手陣だからこそ対応できますが、古川投手という選択肢が減れば、他投手への負担が増えることは避けられません。
特に甲子園で勝ち進めば試合間隔も短くなります。
「初戦だけ勝つ投手運用」ではなく、その先まで見据えて状態のよい投手をどう使うかが必要です。
地方大会51得点をそのまま甲子園の得点力と考えない
三重高校の記事を見るときに注意したいのがここです。
5試合51得点は紛れもない強さですが、甲子園で「1試合10点取れるチーム」という意味ではありません。
春のセンバツ佐野日大戦では2得点でした。
春季県大会の津商戦では0得点に抑えられています。
つまり、好投手に対して打線が止まる可能性は当然あります。
だからこそ、甲子園では大量得点より、送りバントや進塁打、四球、犠牲フライを含めて「1点をどう取るか」が重要です。
夏の甲子園初戦は松商学園|50年以上続く定期戦の相手
三重高校の2026年夏の甲子園初戦は、長野代表の松商学園です。
試合は大会第7日の2026年8月11日、第4試合として18時30分開始予定。松商学園は2年連続39回目、三重は4年ぶり15回目の出場です。
このカードが面白いのは、甲子園で初めて知る相手ではないことです。
両校は50年以上にわたって定期戦を続けており、2026年6月にも練習試合を実施。その試合は5―5の引き分けでした。
お互いの長所を知っているからこそ難しい
一般的な甲子園の初戦では、対戦が決まってから映像などを使って相手を分析します。
しかし三重と松商学園は日常的な交流があり、実際に今年も対戦しています。
松商学園側は三重について、打線が強く好投手が複数いるチームと評価しています。
特に前野元佑選手の打撃を警戒しています。
一方、沖田監督も松商学園について、打力だけでなく走者三塁からエンドランを使うような細かな攻撃があると見ています。
つまり両チームとも、
「相手が何をするか全く分からない」
という状態ではありません。
互いを知っているからこそ、その上を行く配球、作戦、選手起用が必要になります。
5点前後の接戦になる可能性もある
6月の練習試合は5―5でした。
松商学園の松宗監督も甲子園では5点前後の接戦をイメージしています。沖田監督も大量点勝負だけを考えず、9回を終えて1点でもリードする展開を重視しています。
これは三重にとって重要なポイントです。
県大会で12点、13点を取った記憶が強いまま「打ち勝とう」とすると、序盤から大振りになる危険があります。
5点を取りにいく野球と、10点を取りにいく野球は同じではありません。
甲子園では一つの四球、一つの犠打、一つの守備ミスがそのまま勝敗へつながります。
松商学園戦で注目したい4つのポイント
三重高校がどんなチームかを理解したうえで初戦を見ると、単純な得点や安打数以外にも面白い場面が増えます。
特に注目したいのは投手起用、1・2番、守備、そして中盤以降の試合運びです。
- 古川稟久投手の状態を踏まえて誰が先発するか
- 水野央清選手と前野元佑選手の1、2番が出塁できるか
- 四球や失策を減らして松商学園にビッグイニングを与えないか
- 3~5点程度の接戦で三重がどのタイミングから勝負をかけるか
先発投手の選択から駆け引きが始まる
三重には左腕の吉井投手と上田投手、右腕の古川投手らがいます。
通常なら相手打線との相性を見ながら先発を決められますが、古川投手の状態を考慮しなければなりません。
上田投手は春の甲子園で先発勝利。
吉井投手も大舞台を経験しています。
誰を先発させるかだけでなく、「二番手に誰を置くか」を含めたセットで見ると、沖田監督の狙いが分かりやすくなります。
水野・前野の1、2番が出ると三重の攻撃が動く
決勝の打順を基準に考えるなら、三重が最も理想とするのは水野選手と前野選手が出塁し、秋山選手、福田選手へつなぐ形です。
前野選手には長打もあるため、1番が出れば2番で一気に得点する可能性もあります。
逆に松商学園からすれば、1、2番を簡単に出さないことが最優先になります。
初回の水野選手、前野選手の打席は、試合全体の流れを占う場面になりそうです。
無駄な失点を防げるか
沖田監督が警戒しているのは、松商学園の強打だけではありません。
走者を進めながら細かな攻撃を仕掛けるため、四球や失策で走者を与えると1本の安打が失点につながります。
県大会準決勝では序盤に5点を失いながら逆転できましたが、甲子園でも同じ展開から勝てる保証はありません。
0―1や1―2の時間を長く保ち、打線に反撃する機会を残せるか。
投手陣だけでなく内野守備、捕手の大西主将まで含めた守りに注目です。
三重高校が甲子園で勝ち上がるために必要なこと
三重には上位を狙えるだけの材料があります。
春の甲子園で1勝し、大阪桐蔭とも1点差。夏は県大会で5試合51得点を記録し、投手も複数います。少なくとも「打線が当たらなければ何もできないチーム」ではありません。
ただし全国大会では、県大会以上に一つのミスが重くなります。
大量点ではなく「次の1点」を取り続ける
県大会決勝で参考になるのは12得点より、5―3に迫られた後の6点目です。
その1点によって相手の勢いを止め、最後の6得点につなげました。
甲子園でも必要なのは、一度に大量点を取ろうとすることではありません。
1―0なら2点目。
3―2なら4点目。
その「次の1点」を重ねることで、自慢の打線が本当の強みになります。
投手を替えるタイミングが勝敗を左右する
複数投手がいることは大きな強みですが、人数が多ければ自動的に勝てるわけではありません。
好投している投手をどこまで引っ張るのか。
相手の打順が二巡目、三巡目に入ったところで替えるのか。
走者を出す前に動くのか、ピンチになってから動くのか。
特に古川投手の状態が通常とは違う可能性があるため、投手起用には県大会以上の難しさがあります。
春と夏にさまざまな継投を経験してきたことを甲子園で生かせるかがポイントです。
「打てない時間」を我慢できるか
強打のチームほど怖いのは、打てないときに自分たちから崩れることです。
県大会では序盤から点を取れる試合が多かったものの、春の佐野日大戦では5回まで0―0でした。
それでも焦らず、6回の好機で大西主将が2点を取っています。
甲子園で上位へ進むほど、3回、4回とヒットが出ない時間が増える可能性があります。
そこで大振りにならず四球や守備から流れを待てるか。
2026年の三重が「地方大会で打ったチーム」から「全国で勝てる攻撃型チーム」になれるかを分けるポイントでしょう。
三重高校は「打つだけ」ではなく、1年間で勝ち方を増やしてきたチーム
三重高校野球部はどんなチームなのか。
2026年夏についての答えは、「打線の厚みを最大の武器としながら、複数投手、守備、全国大会経験、劣勢からの修正力を備えた総合力型のチーム」です。
監督自身が「攻撃のチーム」と話すように、夏の三重大会5試合51得点は大きな魅力です。
しかし、本当に注目したいのはその51点だけではありません。
2025年夏は昴学園に0―2で完封され、初戦敗退。
その悔しさから始まったチームが、秋に三重県を制し、東海大会準優勝。春のセンバツでは佐野日大を2―0で破り、大阪桐蔭とも延長10回の1点差まで戦いました。
さらに春の県大会では津商に0―5で完封負け。
夏に再戦すると、今度は同じ津商に0―5とされたところから7―6で逆転しています。
この一年を追うと、2026年の三重高校が単純な強打者集団ではないことが分かります。
- 打てずに負けた経験がある。
- リードされて負けた経験もある。
- 全国の強豪と1点差を戦った経験もある。
- そして夏には、大量得点する試合だけでなく5点差をひっくり返す試合まで経験しました。
だからこそ2026年夏の甲子園では、ホームランや得点数だけを見るのでは少しもったいありません。
水野央清選手、前野元佑選手がどう攻撃を始めるのか。
福田篤史選手ら中軸が走者を返せるのか。
河口遼選手、東堂竜馬選手、大西新史選手ら下位打線から再び攻撃をつなげられるのか。
吉井海翔投手、上田晴優投手、そして状態が注目される古川稟久投手を、沖田監督がどのようにつないでいくのか。
その一つ一つに、2026年の三重高校らしさがあります。
初戦の松商学園は50年以上にわたって定期戦を続けてきた、互いをよく知る相手です。
2026年6月の練習試合も5―5。甲子園初戦も一方的な打撃戦より、最後まで数点を争う展開になる可能性があります。
試合は2026年8月11日18時30分開始予定。
三重大会51得点の打線が甲子園でも爆発するのかだけでなく、打てない時間や苦しい時間にどう耐え、最後の1点を取りにいくのか。
そこまで見ると、2026年夏の三重高校というチームの強さが、よりはっきり見えてくるでしょう。
