2026年夏の甲子園に、広島代表として初出場する福山高校。
正式名称は福山市立福山高等学校です。
広陵、広島商、崇徳、如水館など高校野球ファンにはおなじみの学校がそろう広島県で、これまで甲子園出場がなかった市立高校が頂点まで勝ち上がりました。
- 福山高校野球部はどんなチーム?
- どうして広島大会を勝ち抜けたの?
- 甲子園で注目したい選手は誰?
- 初戦の天理に勝つ可能性はある?
甲子園の組み合わせを見て、こうした疑問を持った人も多いのではないでしょうか。
2026年の市立福山をひと言で表すなら、相手に流れを渡しても簡単には崩れず、終盤まで接戦をものにできる粘り強いチームです。
広島大会では6試合で47得点10失点。
17―0、11―1という大勝がありながら、3回戦は3―2、準決勝と決勝はいずれも4―3でした。
大量得点できる攻撃力だけでなく、ロースコアになったときの我慢強さも持っています。
さらに2026年4月には、甲子園出場経験を持つ小田浩監督が就任。
わずか数か月でチームの意識を変え、1975年の創部以来初となる夏の甲子園へ導きました。
この記事では、2026年夏の市立福山高校野球部について、チームの特徴、広島大会での勝ち上がり、投打の強さ、注目選手、小田浩監督、登録メンバー、そして甲子園初戦となる天理戦の見どころまで詳しく紹介します。
- 福山高校野球部はどんなチームなのか
- 広島大会を勝ち抜けた理由
- 甲子園で注目したい選手と投手陣
- 初戦・天理戦で見るべきポイント
福山高校野球部はどんなチーム?まず基本情報をチェック
まずは、市立福山がどんな学校・野球部なのかを整理しておきましょう。
「福山高校」という呼び方だけを見ると学校を特定しづらいこともありますが、今回甲子園に出場するのは広島県福山市にある福山市立福山高等学校です。
| 項目内容 | |
|---|---|
| 正式名称 | 福山市立福山高等学校 |
| 所在地 | 広島県福山市 |
| 区分 | 市立高校 |
| 野球部創部 | 1975年 |
| 2026年夏 | 広島大会初優勝 |
| 甲子園出場 | 春夏を通じて初出場 |
| 監督 | 小田浩監督 |
| 主な投手 | 來山凌也、岩本大輝 |
| チームの特徴 | 接戦に強く、大量失点を防ぎながら終盤に勝負できる |
| 広島大会成績 | 6試合47得点10失点 |
| 広島大会決勝 | 広島商に4―3で勝利 |
| 甲子園初戦 | 奈良代表・天理 |
野球部の創部は1975年。
それまで夏の広島大会で全国大会に届いたことはなく、2026年の優勝によって春夏を通じて初めて甲子園への切符をつかみました。
市立福山の今回の出場は、毎年のように全国大会を経験している強豪校の「再び甲子園へ」という出場とは性格が違います。
学校にとっても野球部にとっても、これが最初の甲子園です。
だからこそ2026年夏の市立福山を見る面白さがあります。
2026年の福山は「崩れない野球」が最大の強み
市立福山の特徴を考えるうえで、最も分かりやすい言葉が「崩れない」です。
完璧な試合ばかりをして広島大会を勝ち抜いたわけではありません。
相手に先制された試合もあります。
終盤までリードされた試合もあります。
打線がなかなかヒットを打てなかった試合もありました。
それでも大量失点せず、勝負できる点差のまま終盤へ入り、そこで逆転する。
この試合運びが、2026年の市立福山を象徴しています。
広島大会6試合で47得点10失点
市立福山の広島大会での戦績は以下の通りです。
| 試合対戦相手結果 | ||
|---|---|---|
| 2回戦 | 油木 | 17―0 |
| 3回戦 | 神辺旭 | 3―2 |
| 4回戦 | 賀茂 | 8―1 |
| 準々決勝 | 広島城北 | 11―1 |
| 準決勝 | 市立呉 | 4―3 |
| 決勝 | 広島商 | 4―3 |
6試合合計で47得点10失点。
単純計算すると1試合平均では約7.8得点、約1.7失点です。
ただし、この平均だけを見ると市立福山の本当の特徴は見えてきません。
油木戦の17得点や広島城北戦の11得点が数字を押し上げている一方、神辺旭、市立呉、広島商との3試合はいずれも1点差でした。
つまり、2026年の市立福山には二つの勝ち方があります。
- 相手投手を攻略できた日は、打線がつながって一気に試合を決める
- 点が取れない日は、投手と守備で試合を壊さず1点差勝負へ持ち込む
- 相手に先制されても、焦らず中盤以降の反撃を待てる
- 終盤の勝負どころで必要な一本を出せる
- リードしたあとも大量失点を避けながら逃げ切れる
一つの勝ちパターンしか持たないチームは、その形を崩されたときに苦しくなります。
市立福山は、地方大会の6試合ですでにさまざまな展開を経験しています。
この経験値は、初出場で迎える甲子園でも無視できません。
ミスのあとに次のミスを重ねない
小田浩監督の就任後、チームで大きく変わった点として報じられているのが、ミスに対する考え方です。
以前は一つのミスが起きたあと、動揺からさらにミスが続き、大量失点につながるケースがありました。
小田監督は「ミスそのもの」をいつまでも引きずるのではなく、起きたことを受け入れて次のプレーへ向かうことを選手たちに求めました。
その結果、ミスから失点が連鎖する場面が減っていったといいます。
高校野球では、一つのエラーが試合を大きく変えることがあります。
特に夏のトーナメントでは、緊張から失策が起きたあと、その焦りが次の四球や悪送球につながる場面は珍しくありません。
だからこそ「絶対にミスをしない」ことだけを求めるのではなく、「ミスをしても次のプレーを正常にできる」ことが重要になります。
広島大会準決勝と決勝を2試合連続4―3で勝った市立福山には、その精神的な粘りがあります。
福山は夏に突然現れたチームなのか
2026年夏に突然名前が全国へ広がったため、「これまで全く結果を残していなかったチームが急に強くなったのか」と感じる人もいるでしょう。
実際には、夏だけで突然すべてが変わったと考えるより、もともと持っていた力に新しい指導が加わり、短期間で勝ち方が整理されたと見るほうが実態に近そうです。
2026年春は県大会出場まで進んでいた
2026年春、市立福山は春季広島県大会東部地区予選で県大会出場権を獲得しています。
東部地区の2位校決定戦では総合技術に6―2で勝利しました。
つまり夏の優勝以前から、県大会へ進めるだけの戦力はありました。
ただし、夏の広島大会で優勝候補筆頭と見られていたようなチームではありません。
市立福山の野球部公式ページでも、2026年夏以前の最高成績はベスト16とされています。
そこからわずか数か月で、初の広島大会優勝まで到達しました。
この急激な結果の変化を考えるとき、小田監督就任後の意識改革は外せないポイントになります。
技術だけではなく「試合の考え方」が変わった
4月に監督が就任し、7月の大会までに投球フォームや打撃フォームを全員一から作り直すのは現実的ではありません。
小田監督が短期間で働きかけたのは、選手の精神面や試合への向き合い方でした。
ミスを引きずらないこと。
一球、一打で気持ちを切らさないこと。
不利な展開でも試合を終わらせないこと。
その変化は、準決勝と決勝に非常によく表れています。
一発勝負の高校野球では、技術の高いチームが必ず勝つわけではありません。
能力差がそれほど大きくなければ、ミスのあとに崩れないチーム、劣勢でも焦らないチームのほうが最後に勝つことがあります。
2026年夏の市立福山は、まさにその強さを身につけたチームといえるでしょう。
福山の甲子園初出場を決めた広島商との決勝
市立福山のチームカラーが最も分かりやすく表れたのが、7月28日にマツダスタジアムで行われた広島大会決勝です。
相手は広島商。
夏の甲子園優勝経験を持つ、全国的にも知られた名門です。
しかも決勝は、広島では21年ぶりとなる公立校同士の対戦でした。
結果は市立福山が4―3で勝利。
しかし、最初から福山のペースだったわけではありません。
4回まで無安打、0―2から始まった逆転劇
市立福山は4回まで広島商から一本もヒットを打てませんでした。
一方、広島商は2回と3回に1点ずつを奪います。
4回を終えて0―2。
初めての広島大会決勝。
相手は広島商。
自分たちにはまだヒットがない。
精神的に焦りが出ても不思議ではない状況です。
しかし市立福山は、ここで試合を壊しませんでした。
5回に1点を返して1―2。
6回には西山結翔、岩本大輝の連打などから無死二、三塁の好機を作ります。
ここで松井湧心が中堅へ2点適時打。
一気に3―2と逆転しました。
さらに7回にも1点を追加。
福山の得点は5回、6回、7回と中盤に集中しています。
4回まで無安打でも、試合そのものを諦めない。
一つのチャンスから相手投手を攻略し、試合をひっくり返す。
2026年の市立福山を知るうえで、この決勝は非常に重要です。
來山凌也が大量失点を防いだから逆転できた
逆転した打線だけでなく、先発・來山凌也の投球も大きな勝因でした。
來山は2回、3回に1点ずつを失いましたが、どちらも内野ゴロの間に許した得点。
適時打は打たせませんでした。
この「2点で止めた」ことが大きいのです。
もし序盤に5点、6点と奪われていれば、4回まで無安打だった打線には大きな焦りが生まれます。
0―2だったからこそ、「一度チャンスを作れば追いつける」と考え続けることができました。
投手が試合を壊さず、打線の反撃を待つ。
これは甲子園でも市立福山の基本的な勝ち筋になりそうです。
岩本大輝が後半を締めた
逆転したあとは2年生の岩本大輝がマウンドへ。
6回から登板し、広島商の反撃を最終回の1点にとどめました。
最終スコアは4―3。
最後まで簡単な試合ではありませんでした。
ただ、それこそが2026年の市立福山らしい勝ち方でもあります。
準決勝でも2点差を8回に逆転している
決勝だけを見ると「広島商戦でたまたま劇的な逆転が起きた」と感じるかもしれません。
しかし、その2日前に行われた市立呉との準決勝でも、市立福山は同じような展開を経験しています。
準決勝も4―3。
そしてここでも、福山は追う立場から試合をひっくり返しました。
8回に3得点して逆転
市立呉との準決勝では、福山は2点を追う展開で終盤を迎えました。
それでも8回に一挙3得点。
最後は4番・岩本大輝の右前適時打で勝ち越しました。
岩本は6回途中から投手としても登板。
自分のバットで勝ち越し、自分の投球でリードを守っています。
準決勝が4―3。
決勝も4―3。
しかも2試合連続で逆転勝利。
これは偶然だけでは説明しにくい結果です。
市立福山は、大会の最も緊張する局面で「負けている時間」に耐えられるチームだったことが分かります。
福山の投手陣は來山凌也と岩本大輝が中心
甲子園で市立福山を見るうえで、まず覚えておきたいのが來山凌也と岩本大輝です。
広島大会決勝では來山が先発し、岩本が後半を担当。
性格の異なる2人をどうつなぐかが、市立福山の試合運びのポイントになります。
來山凌也は先発として試合を作る3年生
來山凌也は178センチ、75キロ。
福山市立幸千中学校出身の3年生です。
広島大会決勝という最も重圧のかかる試合で先発を任されました。
先ほど触れた通り、広島商には序盤に得点を許したものの、適時打による失点は許さず、2失点で試合をつなぎました。
來山の役割を考えると、三振を大量に奪うことだけが重要なのではありません。
相手打線に走者を出されても、連打や長打で大量失点しない。
味方打線が反撃できる点差を保つ。
甲子園でもこの仕事ができれば、市立福山は終盤まで勝負できます。
岩本大輝は投打で勝敗を動かす2年生
岩本大輝は175センチ、65キロ。
福山市立大門中学校出身の2年生です。
2026年夏の市立福山で、とりわけ注目したい選手です。
理由は単純で、投手としてだけでなく打者としても試合の重要な場面に登場するからです。
準決勝では8回に勝ち越し適時打。
さらに6回途中から登板して最後までリードを守りました。
決勝でも6回の逆転劇につながる安打を放ち、その後は投手として登板。
広島商の反撃を食い止めています。
市立福山の試合を見るとき、「今日は岩本がどこで投げるのか」「打者としてどの場面で回ってくるのか」を追うだけでも面白いでしょう。
しかもまだ2年生です。
今回の甲子園だけでなく、2027年へ向けても名前を覚えておきたい選手です。
継投のタイミングが甲子園ではさらに重要になる
広島大会では來山と岩本を中心に、大量失点を避けながら試合を作ってきました。
甲子園では地方大会以上に打線のレベルが上がります。
一人の投手が序盤を抑えていても、打順が三巡目に入るころには相手打線がタイミングを合わせてくることもあります。
そのため、
- 來山を何回まで引っ張るのか
- 岩本をどの場面から投入するのか
- 走者を背負った場面で継投するのか
- 岩本の打席と登板準備をどう両立させるのか
といったベンチワークも見どころになります。
絶対的な一人に全試合を任せるのではなく、複数の投手で九回を組み立てられることは、夏の連戦を戦ううえでも重要です。
福山打線は一発頼みではなく「つながり」で点を取る
広島大会で市立福山は47得点しています。
ただ、大型スラッガー一人が本塁打を量産して勝ち上がったチームではありません。
むしろ注目したいのは、重要な試合で複数の打者がつながって得点していることです。
決勝の6回が象徴的でした。
西山結翔。
岩本大輝。
松井湧心。
クリーンアップの連打によって、無死二、三塁から逆転まで持ち込みました。
打てない時間があっても焦らない
甲子園では地方大会のように毎試合8点、10点と取れるわけではありません。
全国から勝ち上がった投手を相手にすれば、3回、4回までほとんどチャンスがない試合もあります。
市立福山はすでに広島大会決勝で、その状況を経験しています。
4回まで無安打。
それでも5回に1点、6回に2点、7回に1点。
結果的には中盤の3イニングすべてで得点しました。
「序盤に打てない=今日の打線はだめだ」とならないこと。
これも市立福山の強みです。
大量得点できる試合では一気に畳みかける
一方で、打線がつながったときの得点力もあります。
油木戦は17―0。
賀茂戦は8―1。
準々決勝の広島城北戦は11―1。
接戦に強いからといって、常に1点ずつしか取れないチームではありません。
相手投手の制球が乱れたり、守備にほころびが出たりしたときに、一気に点差を広げられます。
甲子園でも序盤に相手のミスから好機が生まれた場合、そこで1点だけで終わらず複数得点へつなげたいところです。
捕手・松井湧心は攻守で欠かせない存在
松井湧心は173センチ、80キロ。
福山市立鳳中学校出身の3年生です。
決勝で広島商から放った逆転2点適時打によって一気に名前が知られるようになりましたが、松井の重要性は打撃だけではありません。
捕手として投手陣を支える役割があります。
決勝最大の勝負どころで逆転打
広島商戦の6回。
西山、岩本の連打などで無死二、三塁。
ここで打席に入った松井が中堅へ2点適時打を放ちました。
0―2だった試合を3―2までひっくり返す一打です。
決勝という大舞台で、しかも4回まで無安打だった試合。
一本の安打が持つ重みは普段以上でした。
甲子園でも、走者を置いた場面で松井に打順が回れば注目です。
捕手として來山と岩本をどうリードするか
全国大会では相手打者のレベルが上がります。
同じ球を繰り返せば狙われますし、走者を背負った場面では配球の読み合いも重要です。
先発の來山。
途中から登板する可能性がある岩本。
異なる投手をどうリードするか。
松井は福山の守備を理解するうえでも重要な選手です。
小田浩監督はどんな監督?就任数か月で甲子園へ
2026年の市立福山を語るなら、小田浩監督の存在は外せません。
小田監督が市立福山の監督に就任したのは2026年4月。
福山市も6月の広報で新監督就任を紹介していました。
夏の広島大会開幕まで約3か月。
普通なら、監督が交代した直後の夏は新しい方針を浸透させるだけでも大変です。
それでも市立福山は、その年の夏に初優勝しました。
小田浩監督自身も甲子園を経験している
小田監督は広島商から順天堂大学へ進みました。
高校時代の1982年夏には、第64回全国高校野球選手権大会で準優勝を経験しています。
指導者としても実績があります。
西条農では1991年、1993年の夏に甲子園へ出場。
総合技術では学校・野球部の創設に関わり、創部6年目の2011年春に選抜大会へ導きました。
その後は広島県内の高校で校長を歴任。
2026年に市立福山で15年ぶりに監督へ復帰しました。
経験不足の初出場チームを率いる監督自身が、選手としても指導者としても甲子園を知っている。
これは市立福山にとって大きな材料です。
練習を全部変えるのではなく意識を変えた
興味深いのは、小田監督が就任後にすべての練習を作り替えたわけではない点です。
短期間で重視したのは選手の意識でした。
ミスをしたあとに引きずらない。
次のプレーへ集中する。
自分たちで試合を崩さない。
その積み重ねが、準決勝と決勝での1点差勝利につながりました。
野球の技術は数か月で突然別人のようには変わりません。
しかし、試合中の判断や感情の扱い方は短期間でも変えられます。
2026年夏の市立福山が大きく飛躍した理由を考えるうえで、この変化は非常に重要でしょう。
「市民や小中学生から憧れられる野球部」を目指す
小田監督は就任時、歴代指導者が築いてきた伝統を引き継ぎながら、市民に長く愛され、小中学生から憧れられる野球部を作りたいという考えを示しています。
実際、2026年の登録メンバーを見ると福山市内の中学校出身者が非常に多いことが分かります。
全国から有力選手を集めたチームというより、福山周辺で野球を続けてきた選手たちが市立高校で甲子園をつかんだチームです。
その意味でも、市立福山の初出場は地域にとって特別な意味を持ちます。
福山の2026年甲子園メンバー
2026年夏の広島大会に登録された市立福山のメンバーは以下の通りです。
| 選手身長・体重出身中学 | ||
|---|---|---|
| 來山凌也 | 178cm・75kg | 福山市立幸千中 |
| 松井湧心 | 173cm・80kg | 福山市立鳳中 |
| 早川拓真 | 181cm・90kg | 福山市立誠之中 |
| 渡邉雄介 | 169cm・60kg | 福山市立大門中 |
| 古川智也 | 179cm・69kg | 福山市立東朋中 |
| 福島悠杏 | 165cm・60kg | 福山市立済美中 |
| 柿窪斗磨 | 175cm・67kg | 尾道市立栗原中 |
| 三谷華輝 | 160cm・57kg | 福山市立誠之中 |
| 原田陽平 | 180cm・65kg | 福山市立大門中 |
| 岩本大輝 | 175cm・65kg | 福山市立大門中 |
| 板垣心大 | 170cm・60kg | 福山市立一ツ橋中 |
| 森吉翔舞 | 160cm・56kg | 福山市立城南中 |
| 野島蒼太 | 165cm・70kg | 福山市立精華中 |
| 井上旭希 | 165cm・56kg | 三原市立久井中 |
| 女鳥倖資 | 160cm・60kg | 安芸高田市立甲田中 |
| 松永悠詩 | 175cm・62kg | 庄原市立比和中 |
| 栄谷佳昂 | 172cm・64kg | 竹原市立吉名学園 |
| 西山結翔 | 172cm・60kg | 福山市立鳳中 |
| 金只桂慈 | 171cm・59kg | 福山市立大成館中 |
| 本瓦慎太郎 | 172cm・65kg | 福山市立城南中 |
※上表は2026年広島大会の登録選手をもとにしています。甲子園で登録変更が行われた場合は、大会公式発表を優先してください。
一覧を見ると、福山市内の中学校出身者が目立ちます。
幸千中、鳳中、誠之中、大門中、東朋中、済美中、一ツ橋中、城南中、精華中、大成館中など、市内各地から選手が集まっています。
「地元の選手が地元の市立高校から初めて甲子園へ行く」という点も、2026年の市立福山を語るうえで大きな特徴です。
福山で注目したい4人の選手
- 來山凌也|試合を作る先発投手
- 岩本大輝|投打で中心になる2年生
- 松井湧心|決勝の逆転打を放った捕手
- 渡邉雄介|初出場チームをまとめる主将
市立福山は一人のスター選手だけで勝ち上がったチームではありません。
そのうえで、甲子園を見る前に特に名前を覚えておきたい選手を挙げるなら、來山凌也、岩本大輝、松井湧心、渡邉雄介の4人です。
來山凌也|試合を作る先発投手
來山は広島大会決勝で先発。
広島商に先制を許しながらも、大量失点を防いで味方の反撃まで試合をつなぎました。
甲子園でも來山が序盤をロースコアで進められるかは重要です。
市立福山は中盤以降に反撃できるチームだからこそ、先発投手が試合を壊さないことに大きな価値があります。
岩本大輝|投打で中心になる2年生
岩本は投手として終盤を任されながら、打線でも重要な位置を担います。
準決勝では決勝打。
決勝では逆転につながる安打。
そして両試合で投手としてリードを守りました。
投手として登場していない時間も、打者として試合に影響を与えられます。
甲子園で最も注目したい選手の一人です。
松井湧心|決勝の逆転打を放った捕手
松井は広島商との決勝で逆転2点適時打。
市立福山を初の甲子園へ大きく近づける一打を放ちました。
さらに捕手として投手陣をリードします。
全国レベルの打線を相手にどう配球するのか。
打撃だけでなく守備時にも注目です。
渡邉雄介|初出場チームをまとめる主将
渡邉雄介は福山市立大門中出身の3年生。
小田監督就任後にチームの考え方が変わっていく期間を主将として過ごしてきました。
初めての甲子園では、普段とは違う環境の連続です。
大観衆。
甲子園独特の雰囲気。
全国放送。
初めて対戦する県外の強豪。
こうした環境で選手たちが浮つかず、普段通りに試合へ入れるか。
主将の存在も重要になります。
福山が広島大会を勝ち抜けた4つの理由
ここまでの試合内容を整理すると、市立福山が初優勝できた理由は「勢いがあったから」だけではありません。
勝ち上がりを支えたポイントは、大きく4つに分けられます。
1.投手陣が大量失点しない
決勝の來山が象徴的です。
相手に先制されても2失点で踏みとどまり、打線の反撃を待ちました。
準決勝以降も來山と岩本を中心に、1イニングで大量点を奪われる展開を避けています。
高校野球では、1イニングの5失点、6失点で試合が決まることがあります。
そこを避けられるだけでも勝つ確率は大きく上がります。
2.打てない時間を我慢できる
広島商戦では4回まで無安打。
それでも焦らず、5回以降に得点しました。
強い投手と対戦したとき、「打てないから何か特別なことをしなければ」となり過ぎない。
これが接戦では大切です。
3.終盤に得点できる
準決勝は8回に3得点して逆転。
決勝も5回以降に4得点しています。
試合が進めば相手投手にも疲労が出ます。
打者も一巡目より二巡目、二巡目より三巡目のほうが相手投手を理解できます。
その時間まで試合を壊さず待てるからこそ、終盤の反撃が生まれます。
4.ミスを引きずらない
小田監督就任後に大きく変わったとされる部分です。
一つの失敗から次の失敗を生まない。
失策しても次のアウトを取りにいく。
打てなくても次の打席へ切り替える。
この考え方が、2試合連続の1点差逆転勝利につながったと考えると、市立福山の強さが分かりやすくなります。
福山の弱点・甲子園で注意したいところ
- 序盤の大量失点は避けたい
- 初めての甲子園でもミスを連鎖させない
- 全国レベルの好投手に対して少ない好機を得点につなげる
ここまで強みを中心に紹介してきましたが、甲子園で勝つためには当然課題もあります。
初出場だからというだけでなく、広島大会で見えた戦い方から考えても、いくつか注意したいポイントがあります。
序盤に大量失点すると苦しくなる
市立福山は広島大会で劣勢から逆転しています。
ただし、逆転できたのは投手陣が2点、3点程度の差で踏みとどまったからです。
全国大会で序盤から5点以上を失えば、相手投手のレベルを考えても追いつく難易度は一気に上がります。
「相手に先制されても大丈夫」と「大量点を与えても大丈夫」は別です。
甲子園では最初の3回が重要になります。
初めての甲子園で普段通り守れるか
広島大会決勝も大舞台でしたが、甲子園の雰囲気はさらに違います。
初回の守備。
最初の打球。
最初の送球。
ここで普段通りのプレーができるかは重要です。
市立福山が得意としてきた「ミスを引きずらない野球」が、本当の大舞台でもできるかが問われます。
全国レベルの好投手をどこまで攻略できるか
広島大会決勝では4回まで無安打から攻略しました。
甲子園では、それ以上に完成度の高い投手と対戦します。
一試合を通してチャンスが2回、3回しかない可能性もあります。
その数少ない場面で送りバント、進塁打、四球、適時打などを組み合わせ、確実に1点へ結びつけられるか。
大量得点を期待するより、少ない好機を逃さない攻撃が重要になりそうです。
甲子園初戦は名門・天理との対戦
市立福山が甲子園で最初に対戦するのは、奈良代表の天理です。
初出場校にとって、いきなり全国屈指の伝統校との対戦になりました。
市立福山は春夏通じて初出場。
天理は何度も甲子園を経験している学校です。
全国大会における経験値という点では、明らかに天理が上でしょう。
ただし高校野球は、過去の甲子園出場回数でその日の得点が決まる競技ではありません。
市立福山としては、自分たちが広島大会で勝ってきた形へ試合を持ち込めるかが重要になります。
福山対天理で見るべき4つのポイント
天理戦で市立福山を見るなら、単純に「どちらが強いか」だけではなく、試合がどんな形で進んでいるかを追うと面白くなります。
福山の勝ち筋を考えるうえでは、次の4点がポイントです。
1.3回まで大差をつけられないこと
初出場校にとって怖いのは、甲子園独特の雰囲気に慣れる前に試合が大きく動いてしまうことです。
初回に四球。
次の打者で失策。
さらに長打。
気づけば3失点、4失点。
こうなると本来の野球をする前に試合の主導権を失います。
福山としては0―0でも0―1でも構いません。
まずは3回まで試合を壊さず、甲子園の空気に慣れる時間を作ることが重要です。
2.來山から岩本への継投をどう使うか
市立福山には、広島大会決勝で結果を出した來山―岩本という形があります。
この二人をどこでつなぐのか。
天理打線に同じ投手を長く見せ過ぎるのか、それとも早めに目先を変えるのか。
小田監督の判断は試合の大きなポイントになります。
3.福山打線が序盤に打てなくても焦らないこと
相手が全国レベルの投手であれば、一巡目は完全に抑えられる可能性があります。
そのときに打者が自分の形を崩さないことが大切です。
広島大会決勝では4回まで無安打でも逆転しました。
甲子園でも同じように、「今打てていないこと」と「この先も打てないこと」を混同しないことです。
4.5回終了時点で接戦なら福山の形になる
一つの目安として見たいのが5回終了時の点差です。
0―0。
1―0。
0―1。
1―2。
この程度の展開なら、市立福山にとって十分に勝負できる状態でしょう。
広島大会準決勝、決勝で見せたように、福山は試合後半に勝負できます。
反対に、5回終了時点で5点以上離されていると追いつくのは難しくなります。
甲子園初戦では「福山が勝っているか」だけでなく、福山が勝負できる点差に試合を保てているかを見てみてください。
福山は甲子園で勝てるのか
初戦の相手が天理となれば、市立福山が楽に勝てる試合ではありません。
全国大会経験。
選手層。
大舞台への慣れ。
こうした要素では天理に分があります。
それでも、市立福山が勝つ展開は想像できます。
必要なのは派手な打ち合いではありません。
投手陣が序盤を耐える。
守備がミスを連鎖させない。
打線は好投手に抑えられても焦らない。
中盤に走者を出し、一本で得点する。
終盤まで1点差、2点差で進める。
この形なら、広島大会で何度も勝ってきた福山の野球になります。
反対に、序盤から点の取り合いになれば天理の選手層を相手に苦しくなる可能性があります。
だからこそ市立福山に必要なのは、「甲子園だから特別な野球をすること」ではありません。
広島大会でできたことを甲子園でも繰り返すことです。
福山高校野球部についてよくある疑問
福山高校野球部はどんなチーム?初の甲子園でも「崩れない野球」に注目
2026年夏の市立福山高校野球部は、全国的なスター選手をそろえたチームでも、毎年のように甲子園へ出場している名門でもありません。
それでも広島大会を勝ち抜きました。
2回戦では油木に17―0。
準々決勝では広島城北に11―1。
打線がつながれば一気に試合を決める力があります。
一方、神辺旭戦は3―2。
準決勝の市立呉戦は4―3。
決勝の広島商戦も4―3。
特に準決勝と決勝では、ともに追う展開から逆転しました。
この結果だけでも、市立福山が単なる「勢いだけの初出場校」ではないことが分かります。
投手陣が試合を壊さない。
ミスが出ても引きずらない。
打てない時間にも焦らない。
終盤まで勝負できる点差を保つ。
そしてチャンスが来たら打線がつながる。
これが2026年夏の市立福山です。
その土台に加わったのが、2026年4月に就任した小田浩監督でした。
15年ぶりに監督へ復帰した小田監督は、選手として甲子園準優勝を経験し、指導者としても西条農、総合技術を全国大会へ導いています。
市立福山では、就任からわずか数か月。
技術をすべて作り直すのではなく、ミスを引きずらず次のプレーへ向かう意識を植え付けました。
その変化が最も表れたのが広島大会決勝でしょう。
4回まで無安打。
0―2。
相手は名門・広島商。
それでも試合は終わりませんでした。
5回に1点を返し、6回に松井湧心の2点適時打で逆転。
來山凌也から岩本大輝へつなぎ、最後は4―3で逃げ切りました。
1975年の創部から半世紀あまり。
初めてたどり着いた甲子園では、いきなり名門・天理と対戦します。
経験では天理が上です。
それでも、市立福山に勝ち筋がないわけではありません。
序盤を大量失点せず耐えること。
來山と岩本を中心に投手陣が試合を作ること。
好投手を相手に打てなくても焦らないこと。
そして5回、6回、7回まで接戦を続けること。
そこまで持ち込めれば、広島大会で何度も見せた「福山の時間」がやってくる可能性があります。
甲子園で注目したいのは、豪快な一発だけではありません。
ピンチであと一本を打たせない來山の投球。
投打で試合に関わる2年生・岩本。
捕手として投手陣を支えながら勝負どころで打つ松井。
そしてミスが出た直後の選手たちの表情やプレー。
そこを見れば、「福山高校野球部はどんなチームなのか」がよりはっきり分かるはずです。
初めて学校名が甲子園のスコアボードに刻まれる2026年夏。
市立福山が広島大会で身につけた崩れない野球を全国の舞台でも続けられるのか。
天理との初戦は、このチームの強さを知るにはこれ以上ない一戦になりそうです。
- 接戦でも崩れず、終盤まで勝負できる粘り強さが最大の特徴
- 來山凌也と岩本大輝を中心に、投手陣が大量失点を防ぐ
- 打線は一発頼みではなく、勝負どころでつながって得点する
- 初戦の天理戦では、5回まで接戦に持ち込めるかが大きなポイント
