2026年夏の甲子園3回戦で、香川代表の英明と岩手代表の花巻東が激突します。
試合は8月16日13時開始予定。勝ったチームがベスト8へ進む注目カードです。
- 英明と花巻東はどっちが勝つのか
- 先発は冨岡琥希と萬谷堅心になるのか
- 花巻東の盗塁は英明にも通用するのか
- 予想スコアは何対何なのか
このあたりが試合前には特に気になるところでしょう。
花巻東がわずかに優勢と予想します。スコア予想は花巻東3-2英明です。
ただし、戦力差が明確にあるカードではありません。
英明は今大会2試合で10得点2失点。冨岡琥希と松本倫史朗を中心に失点を最小限に抑え、終盤に相手を突き放す勝ち方を続けています。
対する花巻東は2試合で22安打を放ち、盗塁は計8個。岡山学芸館戦だけで7盗塁を決めました。単に安打が多いだけでなく、走者が出てから相手守備へかける圧力が非常に大きいチームです。
- 英明は2試合をわずか2失点で勝ち上がっている
- 花巻東は2試合で22安打、8盗塁と攻撃の選択肢が多い
- 花巻東のエース萬谷堅心は8月9日の登板後、2回戦では登板していない
- 英明の冨岡琥希は今大会13回153球を投げている
- 花巻東の右打者中心の中軸が左腕・冨岡とどう対戦するかが大きな分岐点になる
ここからは、直近データ、予想スタメン、左右の相性、先発投手の登板間隔、盗塁、継投まで細かく比較しながら、なぜ花巻東をわずかに上と見たのかを掘り下げます。
英明対花巻東の勝敗予想は花巻東をわずかに上と見る
この試合を一方的な展開と予想する材料はほとんどありません。
英明には花巻東の攻撃そのものを封じ込められる投手力があり、花巻東にはロースコアでも1点を作れる打撃と走塁があります。どちらかが明確に格上というより、互いの長所が真正面からぶつかる組み合わせです。
現時点では、打線の状態、機動力、エースの登板間隔を合わせて花巻東をわずかに上と見ました。
予想スコアは花巻東3-2英明
本命の予想スコア:花巻東3-2英明
英明は関東第一を4-1、大分商を6-1で破っています。冨岡は初戦を9回3安打1失点で完投し、大分商戦では松本倫が5回無失点、冨岡が4回1失点という継投でした。
花巻東も新田を4-2、岡山学芸館を4-1で下しています。投手陣は2試合を計3失点に抑えており、菅原駿は今大会7回1/3を無失点、萬谷も初戦で7回2失点でした。
両校の投手成績を考えれば、5点、6点を取り合う展開よりも、2~4点の範囲で勝敗が決まる可能性を高く見たいカードです。
- 花巻東が3点を取れるか
- 英明が花巻東を2点以内に止められるか
このラインが勝敗を分けると見ています。
データから見た両校の相対評価
勝率を細かい数字で断定しても、その数字に統計的な根拠がなければ意味がありません。
そこでここでは、今大会の内容を比較して「どの要素でどちらを上に見るか」を整理します。◎は明確な強み、○は強み、△は相手との比較でやや不安がある項目です。
| 比較項目 | 英明 | 花巻東 | 判断理由 |
|---|---|---|---|
| 先発投手の当日条件 | ○ | ◎ | 萬谷は8月9日以来登板なし |
| 投手陣の実績 | ◎ | ◎ | 両校とも今大会3失点以下 |
| 打線の状態 | ○ | ◎ | 花巻東22安打、英明13安打 |
| 得点効率 | ◎ | ○ | 英明は13安打で10得点 |
| 機動力 | △ | ◎ | 花巻東は大会8盗塁 |
| 終盤の勝負強さ | ◎ | ○ | 英明は2試合とも終盤に得点 |
| 守備・失点抑制 | ◎ | ◎ | 英明2失点、花巻東3失点 |
| 継投の選択肢 | ◎ | ◎ | 両校とも複数投手が結果 |
英明の強さは、安打数が少なくても試合を取れるところです。
花巻東の強さは、安打、四球、犠打、盗塁を組み合わせ、得点までの道筋を何本も持っているところにあります。
花巻東をわずかに上とした最大の理由は、萬谷を比較的フレッシュな状態で先発させられる可能性と、英明の投手陣に対して走塁という別の攻略手段を持っていることです。
英明と花巻東の今大会成績を比較するとチームカラーが見える
勝敗予想では、得点と失点だけを見ると重要な部分を見落とします。
英明と花巻東はどちらも2勝していますが、そこへ至る過程はかなり違います。数字を並べると、英明が「少ない好機をものにするチーム」、花巻東が「走者を出し続けて得点機を増やすチーム」であることが分かります。
| 項目 | 英明 | 花巻東 |
|---|---|---|
| 試合数 | 2 | 2 |
| 勝敗 | 2勝0敗 | 2勝0敗 |
| 得点 | 10 | 8 |
| 失点 | 2 | 3 |
| 安打 | 13 | 22 |
| 打数 | 67 | 65 |
| 単純打率 | 約.194 | 約.338 |
| 盗塁 | 0 | 8 |
| 直近試合 | 大分商に6-1 | 岡山学芸館に4-1 |
英明は67打数13安打で、単純計算の打率は約.194です。それでも10得点しています。松原蒼真は2試合で5安打を記録しており、初戦の関東第一戦では7回に走者一掃の二塁打を放ちました。
一方、花巻東は65打数22安打で約.338。菊池楽人と古城大翔はともに大会打率.571、赤間史弥も3安打に加えて4盗塁を記録しています。
つまり、単純な打撃状態では花巻東のほうが明らかに良好です。
ところが得点数では英明が10対8で上回ります。この逆転現象こそ、英明の怖さです。
安打を大量に重ねなくても四球、相手の失策、犠打、進塁打を使い、最後に松原らが走者を返しています。大分商戦では終盤まで2-0でしたが、9回に一挙4点を加えて6-1としました。
打線の勢いなら花巻東、少ない好機を得点へ変える力なら英明。
この違いを無視して安打数だけで花巻東有利と判断するのは危険です。
英明の予想スタメンは過去2試合と同じ並びが基本線
英明は今大会2試合で、打順の骨格をほとんど変えていません。
花巻東が左腕・萬谷を先発させる場合、左右の相性は気になりますが、英明には一度機能している並びを大幅に変える必要性もありません。そのため、基本的にはこれまでの打順を踏襲すると予想します。
英明の予想スタメン
| 打順 | 選手 | 守備予想 | 打席 |
|---|---|---|---|
| 1 | 池田隼人 | 遊撃 | 右 |
| 2 | 吉川輝 | 中堅 | 左 |
| 3 | 松原蒼真 | 一塁 | 左 |
| 4 | 髙田斗稀 | 捕手 | 右 |
| 5 | 松本一心 | 右翼 | 右 |
| 6 | 濵野銀次郎 | DH | 右 |
| 7 | 太田丈士 | 左翼 | 左 |
| 8 | 榎本侑晟 | 三塁 | 右 |
| 9 | 前田渉 | 二塁 | 左 |
選手の投打は登録メンバー情報に基づきます。英明のこの9人は右打者5人、左打者4人という構成です。
注目したいのが、2番吉川と3番松原という左打者の並びです。
特に松原は今大会8打数5安打、二塁打3本、4打点と英明打線で最も結果を残している打者です。花巻東が左腕の萬谷を先発させれば、英明で最も状態のいい打者と左腕エースの左対左という対決が生まれます。
一般論では左投手が左打者に有利になりやすいものの、高校野球では対左投手のサンプルが限られます。
「左対左だから萬谷が絶対有利」とまでは言えませんが、松原の前に走者を置かないことは花巻東にとって最重要課題でしょう。
1番池田と2番吉川が出れば英明は松原を最大限に生かせる
英明打線でポイントになるのは、松原本人だけではありません。
3番打者を生かすには、池田や吉川が塁に出ることが必要です。関東第一戦でも7回に満塁で松原へ打順が回り、一打で3点を奪いました。
大分商戦でも吉川は複数安打を記録し、松原が二塁打を放っています。
花巻東が松原を警戒しすぎて四球を与える場合も、4番髙田、5番松本一心へとつながります。
萬谷にとって理想なのは松原だけを抑えることではなく、1~3番を分断して松原を走者なしで迎えることです。
花巻東の予想スタメンは萬谷の先発でDHの使い方も変わる
花巻東は英明よりもスタメン予想が難しいチームです。
理由の一つが2026年から高校野球で導入されたDH制です。日本高野連によると、DHを使用するかどうかはチームが試合前に選択でき、投手をそのまま打順に入れることも可能です。
花巻東には打撃力のある萬谷、投打双方で起用される赤間がいるため、投手起用と打線をセットで考える必要があります。
萬谷が先発なら新田戦型の打順が有力
萬谷が先発した新田戦では、花巻東は萬谷自身を5番・投手として打順に入れました。
1番戸倉、2番粒来、3番赤間、4番古城、5番萬谷という並びです。萬谷はその試合で安打と四球を記録しており、「投手だから打線から外したい」というタイプではありません。
そのため、英明戦でも萬谷先発なら次のような形を予想します。
| 打順 | 選手 | 守備予想 | 打席 |
|---|---|---|---|
| 1 | 戸倉光揮 | 三塁 | 右 |
| 2 | 粒来琉雲 | 二塁 | 左 |
| 3 | 赤間史弥 | 左翼 | 右 |
| 4 | 古城大翔 | 一塁 | 右 |
| 5 | 萬谷堅心 | 投手 | 左 |
| 6 | 大和田瞬平など | 右翼 | 左 |
| 7 | 菊地輝 | 遊撃 | 右 |
| 8 | 斎藤蒼梧 | 捕手 | 右 |
| 9 | 菊池楽人 | 中堅 | 右 |
実際の6番や守備配置は変わる可能性があります。岡山学芸館戦では菅原が先発したため、古城がDH、萬谷が右翼、久保村冠太が一塁に入りました。
花巻東は投手によってDHと守備位置を柔軟に変えています。
冨岡に対して花巻東の中軸は右打者が多い
英明が左腕・冨岡を起用した場合に注目したいのが、花巻東の打者の左右です。
赤間、古城、菊池はいずれも右打者です。今大会で結果を残している中心選手が右打者に集中しているため、「冨岡が左腕だから花巻東に圧倒的に有利」とは単純に判断できません。
特に赤間と古城は岡山学芸館戦でそれぞれ2安打。赤間は4盗塁、古城は2盗塁を記録しました。
冨岡から右打者が単打や四球で出塁すると、そこから花巻東の足が使えるようになります。
英明にとっては、左対左の粒来や萬谷を抑えるだけでは足りません。赤間、古城、菊池という右打者を出塁させないことが、むしろ重要になるでしょう。
英明対花巻東の先発予想は萬谷、英明は松本倫から冨岡への継投も有力
先発投手は勝敗予想の中でも特に重要です。
単純な能力だけでなく、前回登板から何日空いているか、前回何球投げたか、後ろに誰を残せるかまで見る必要があります。今回は両校でその条件に明確な違いがあります。
花巻東は萬谷堅心の先発が最有力
花巻東では萬谷堅心の先発を本命と予想します。
萬谷は8月9日の新田戦で7回104球を投げ、6安打2失点。その後、8月14日の岡山学芸館戦では登板せず、右翼手として出場しました。
英明戦は8月16日なので、投手としては中6日です。
2回戦で先発した菅原は6回1/3、94球を投げています。赤間も救援で2回2/3、43球を投げました。
花巻東のチームとしては岡山学芸館戦から中1日ですが、萬谷だけを見ると十分な登板間隔を確保できています。
これはかなり大きな材料です。
萬谷が6~7回まで試合を作れば、終盤に菅原や赤間を短いイニングで投入する選択肢も残ります。
ただし、赤間と菅原は8月14日に登板しているため、どの程度のイニングを任せるかは当日の状態次第です。
英明は松本倫史朗先発から冨岡琥希への継投を本線に予想
英明では、冨岡の先発だけでなく、松本倫先発から冨岡へつなぐ形を本線として考えます。
大分商戦ではまさにこの継投が成功しました。
松本倫は5回68球、3安打無失点。冨岡は6回から登板して4回49球、3安打1失点でした。
松本倫は単なる「エースを休ませるための控え」ではありません。
今春のセンバツでも先発を任されるなど甲子園経験があり、大分商戦でも走者を背負いながら得点を許しませんでした。英明には冨岡と松本倫の二枚を組み合わせられる強みがあります。
一方、冨岡は今大会ですでに13回153球を投げています。初戦で104球完投、大分商戦で49球です。
花巻東戦は大分商戦から中2日。
球数だけを見て「投げられない」という状況ではありませんが、萬谷の中6日と比較すると、当日のフレッシュさでは花巻東側に分があります。
500球制限よりも実際には疲労と継投判断を見るべき
高校野球では投手の障害予防策として1週間500球の投球数制限が設けられています。日本高野連も投球制限の有効性について検討を続けています。
ただし、今回の予想で重要なのは「500球に近いかどうか」だけではありません。
制限内でも疲労は生じますし、真夏の甲子園で投げる負担は球数だけでは測れません。
冨岡を先発させて長いイニングを任せるのか。
松本倫で前半を進め、花巻東打線が2巡目、3巡目に入るところで冨岡へ替えるのか。
英明にとってはエースを何回から使うかが、先発投手の名前以上に重要になる可能性があります。
左腕・萬谷対英明打線の相性は花巻東にとって大きなポイント
花巻東が萬谷を先発させた場合、英明の上位打線には左打者が並びます。
2番吉川、3番松原は左打者。さらに7番太田、9番前田も左打者です。
特に松原を左対左で迎えられることは、花巻東にとって一つのメリットになります。
ただし、英明は左打者だけで構成されたチームではありません。
池田、髙田、松本一心、濵野、榎本は右打者です。
そのため萬谷が左打者を抑えても、右打者に四球を与えて走者をためれば、松原の前後で得点される危険は残ります。
- 吉川と松原という左打者に簡単に長打を許さない
- 右打者へ逃げすぎて四球を増やさない
- 松原の前に複数の走者を置かない
- 英明が得意とする終盤まで球数を増やしすぎない
新田戦の萬谷は7回で3四球、1死球でした。英明は少ない安打でも四球を得点へ変えているため、安打を打たれないことと同じくらい、無駄な走者を出さないことが重要です。
花巻東の8盗塁と英明の投手陣の対決が最大の見どころ
この試合で最も興味深い数字は、打率でも防御率でもなく「盗塁」かもしれません。
花巻東は今大会2試合で計8盗塁。岡山学芸館戦だけで7盗塁を成功させています。
一方、英明が対戦した関東第一と大分商は、記録上いずれも盗塁成功が0でした。つまり英明は今大会、相手にまだ盗塁を成功されていません。
「今大会8盗塁の花巻東」と「今大会まだ盗塁成功を許していない英明」の対決です。
花巻東の盗塁は単なる足の速さではない
岡山学芸館戦の花巻東は、初回から機動力を含めた攻撃を見せました。
戸倉が出塁し、粒来が送り、赤間が適時二塁打。さらに赤間が三塁を奪い、古城の適時打へつなげています。7回には赤間と古城が走塁で守備を揺さぶり、赤間が本塁まで奪いました。
赤間の1試合4盗塁は、夏の甲子園でも珍しい記録です。
花巻東の怖さは「盗塁で二塁へ行く」ことだけではありません。
- 一塁走者が動く可能性を見せるだけで投手は打者だけに集中しづらくなる
- 牽制が増える
- 捕手は送球を意識する
- 二遊間はベースカバーを考える
- 変化球の使い方にも影響が出る
こうして相手に一つずつ余計な判断をさせること自体が、花巻東の狙いになります。
ただし英明が盗塁を許していない数字は過大評価できない
関東第一と大分商が盗塁成功0だったからといって、英明バッテリーが花巻東の走者まで必ず止められるわけではありません。
そもそも相手が何度盗塁を試みたのか、走力が花巻東と同程度だったのかまで考えなければ、「盗塁0」という結果だけで強肩や牽制能力を断定することはできません。
それでも、英明が今大会2試合で相手の足から大きく崩されていないことは事実です。
花巻東が最初の盗塁を成功させるか、それとも英明が最初の仕掛けを防ぐか。
最初の1回の走塁が、その後の試合全体の駆け引きを変える可能性があります。
冨岡琥希を花巻東がどう攻略するか
英明の最大の武器はやはり冨岡です。
関東第一戦では9回104球、3安打、6奪三振、無四球で1失点。自責点は0でした。
大分商戦でも4回を1失点。
今大会13回で被安打6、与四球1という安定感を見せています。
この数字を見ると、花巻東が連打だけで3点、4点を取る展開は簡単には想像できません。
だからこそ、花巻東には走塁が必要になります。
花巻東は「ヒット3本で1点」ではなく「出塁1回から1点」を狙いたい
冨岡相手に3連打を期待するのは効率がよくありません。
- 単打あるいは四球で走者を出す
- 盗塁や犠打で二塁へ進める
- 単打、内野ゴロ、外野フライなどで1点を奪う
花巻東にとっては、この形を作れるかどうかが重要です。
特に赤間、古城、菊池は現在よく打っています。
岡山学芸館戦では赤間2安打、古城2安打、菊池4安打。3人だけで8安打を記録しました。
英明としてはこの3人を完全に無安打に抑える必要まではありません。
それよりも、安打を許した直後に次の塁を簡単に与えないことが重要です。
英明が勝つために必要な3つの条件
英明には十分な勝ち筋があります。
むしろ試合がロースコアになればなるほど、英明が勝つ可能性は高くなると見ています。投手力を生かし、花巻東の足を使う回数そのものを減らせれば、2-1や3-2で押し切れるチームです。
花巻東の先頭打者を出さない
最も重要なのは、各イニングの先頭打者です。
花巻東に無死一塁を作られると、盗塁、送りバント、エンドランなど複数の選択肢が生まれます。
反対に一死走者なしから始めさせれば、花巻東が足を使う余地は一気に小さくなります。
冨岡が初戦のように四球を出さず、松本倫もストライク先行で投げられれば、花巻東は自慢の機動力を発揮する前にアウトを重ねることになります。冨岡は関東第一戦で四死球0、松本倫も大分商戦で5回無失点でした。
ただし花巻東には菊池のように下位からでも安打を重ねられる打者がいます。
「3番、4番だけ警戒すればいい」という投球ではなく、9番から次の1番につながるところまで集中する必要があります。
松原の前に走者を置く
英明の攻撃では松原の打席が最も重要です。
2試合で5安打を放ち、長打も3本。関東第一戦では満塁の場面で走者一掃の二塁打を記録しました。
英明が大量の安打を放てなくても、池田や吉川が一人でも出て松原へ回れば得点の可能性が上がります。
特に萬谷が左腕であることから、松原が序盤にどんな打席を見せるかは重要です。
第一打席でタイミングが合わなくても、第二、第三打席で修正できるのか。
花巻東が早めに継投すれば、右腕へ変わった後に松原の打撃が変化する可能性もあります。
7回以降まで1点差以内で耐える
英明は終盤に強さを見せています。
関東第一戦では7回に3点、大分商戦では9回に4点を奪いました。
序盤に花巻東から2点取られても、すぐに試合が決まるわけではありません。
英明の投手陣が追加点を阻止し、1-2、2-2、2-3のような状態で7回へ入れば、これまでと似た勝ち方を再現できます。
逆に3点、4点と離されると、英明は普段以上に安打を必要とします。
安打数では花巻東が上回っているだけに、追う点差を2点以内に保つことが重要です。
花巻東が勝つために必要な3つの条件
花巻東が勝つなら、冨岡や松本倫を完全に打ち崩す必要はありません。
英明は投手力があるため、「5点取ろう」と考えるより、3点をどう作るかを考えるほうが現実的です。その3点を安打だけでなく、走塁や犠打まで使って奪えることが花巻東の強みです。
先制して英明に追わせる
花巻東は岡山学芸館戦で初回に2点を先制しました。
英明は関東第一戦で先制されても逆転しているため、先制すれば勝てるという単純な話ではありません。
それでも、英明に「次の1点を取らなければならない」状況を作る価値は大きいです。
花巻東が1点先制すれば、英明は送りバントや代打の判断をいつもより早く迫られる可能性があります。
さらに萬谷がその1点を守りながら投げられれば、試合全体を花巻東のペースへ寄せやすくなります。
出塁した走者を動かし続ける
花巻東が普通に打つだけなら、冨岡のほうが有利と考えます。
しかし走者を動かし始めると、話が変わります。
- 赤間や古城が一塁から盗塁を狙う
- 粒来らが犠打で走者を進める
- 三塁まで進めて内野ゴロでも1点を狙う
- 重盗や本塁への走塁まで意識させる
岡山学芸館戦で実際に7盗塁を決めたことで、英明は試合前からこの可能性を考えなければならなくなりました。
盗塁を実行しなくても、「走るかもしれない」と思わせるだけで意味があります。
ただし、積極性が裏目に出て走塁死を重ねれば、好投手相手に貴重なアウトを自ら渡すことになります。
花巻東に必要なのは無条件に走ることではなく、英明バッテリーの間、牽制、捕手の構えを見ながら成功確率の高い場面を選ぶことです。
萬谷が序盤を無失点か1失点で進める
花巻東が今回持っている大きな利点は、萬谷の登板間隔です。
8月9日に104球を投げたあと、岡山学芸館戦ではマウンドに上がっていません。
その萬谷が序盤5回までを1失点以内で進めれば、花巻東は終盤まで自分たちの攻撃を続けられます。
反対に英明が初回から萬谷へ球数を投げさせ、3回までに50~60球程度まで増やすような展開になれば、花巻東は予定より早く継投を考えなければなりません。
菅原、赤間も使えるとはいえ、両者は岡山学芸館戦で登板しています。
萬谷が長く投げられるかどうかは、後半の投手選択にも直結します。
花巻東の打線で最も警戒したいのは赤間・古城・菊池
花巻東の打線は、4番だけを抑えれば終わる打線ではありません。
今大会の数字では3番赤間、4番古城に加え、9番菊池が非常に好調です。打順の最後から再び上位につながるため、英明の投手陣には一息つける場所が少なくなっています。
赤間史弥は打つだけでなく塁に出した後が怖い
赤間は今大会8打数3安打で、二塁打2本。
さらに4盗塁を記録しています。投手としても3回2/3を投げており、攻撃だけに役割が限定されていません。
岡山学芸館戦では適時二塁打を放ったうえに4盗塁。
長打を警戒して四球で歩かせても、今度は足で得点圏へ進まれる可能性があります。
英明として最も避けたいのは、戸倉や粒来を出した状態で赤間を迎えることです。
走者ありなら長打で一気に2点、3点が入ります。
赤間本人が出れば、そこから盗塁があります。
したがって赤間だけを見るのではなく、1、2番を含めて一つの攻撃単位として考える必要があります。
古城大翔は4番なのに走れる
古城は今大会7打数4安打、打率.571。
岡山学芸館戦では2安打1打点に加えて2盗塁を記録しました。
長打を期待される4番が自分で次の塁も奪えるのは、守備側にとって厄介です。
赤間を抑えても古城が出塁する。
古城を歩かせても盗塁される。
英明は中軸に対して「単打ならOK」と簡単には割り切れません。
菊池楽人が9番にいることで打線が切れない
岡山学芸館戦で最も多く安打を放ったのは菊池です。
4打数4安打で、二塁打2本。今大会通算でも7打数4安打、打率.571となっています。
9番打者が出塁すれば、1番戸倉へ戻ります。
下位を簡単に三者凡退で終えられなければ、英明の投手は赤間、古城と対戦する回数が増えます。
花巻東が3点を取ると予想した理由の一つが、この打線の循環です。
英明の打線では松原蒼真だけでなく吉川輝にも注目
英明の中心は松原ですが、松原に打点の機会を作る打者も無視できません。
特に2番吉川は今大会で複数安打を記録し、チーム最多の4得点を挙げています。松原が5安打4打点を記録できている背景には、前の打者が出塁していることがあります。
花巻東にとって怖いのは、一発の本塁打よりも英明らしい連続した攻撃です。
- 四球
- 失策
- 送りバント
- 進塁打
- 最後に松原の二塁打
英明はこれだけ安打数が少なくても10点を取っています。
岡山学芸館戦の14安打を見たあとでは花巻東の攻撃力ばかりに目が行きますが、得点の作り方では英明にも十分な再現性があります。
対戦相手まで考えると英明の2失点は高く評価したい
数字を比較するときには「誰を相手に残した成績なのか」も考える必要があります。
英明は初戦で関東第一を4-1で破りました。関東第一は東東京代表で、冨岡はその打線を3安打に抑えています。
2回戦では大分商に6-1。
大分商には150キロ台の速球を投げる平田玲翔がいましたが、英明は終盤に追加点を重ねました。
つまり英明の2勝は、単に投手力の低い相手を打って大量得点した結果ではありません。
苦しい時間帯を耐え、後半に相手を突き放しています。
花巻東も新田、岡山学芸館に連勝し、特に岡山学芸館戦では14安打を放っています。岡山学芸館は初戦で鳥取城北を7-3で破って3回戦への切符を争った相手でした。
ただし高校野球では相手投手のタイプや当日の調子で数字が大きく変わります。
「花巻東は打率.338だから英明からも同じ割合で打つ」と考えることはできません。
逆に「英明は2失点だから花巻東も1点に抑える」とも限りません。
予想では通算数字そのものより、その数字を生み出した勝ち方が今回の相手にも通用するかを見ることが大切です。
2026年のDH制が花巻東の起用を面白くしている
2026年度から高校野球でもDH制が導入されました。
日本高野連の規定では、チームは試合前にDHを使用するか選択でき、従来通り投手を打順へ入れることもできます。一度DHを使わずに試合を始めた場合、途中から新たにDHを使うことはできません。
この制度は花巻東と相性がいい一方、少し特殊な悩みも生みます。
萬谷自身に打力があるからです。
実際、新田戦では萬谷が先発投手ながら5番に入り、安打を記録しました。
岡山学芸館戦では菅原が先発したため萬谷は右翼、古城をDHに置いています。
- 萬谷を投手として打たせるのか
- DHをどう使うのか
- 萬谷降板後に守備配置をどう動かすのか
英明も濵野をDHとして起用してきましたが、花巻東のほうが投打を兼ねる選手が多く、DHの有無そのものが継投と打線の両方に影響しやすいチームです。
英明対花巻東で勝敗を分けそうな5つのポイント
ここまでの比較を、実際に試合を見るときのポイントへ落とし込むと5つに絞れます。
どれも単独で勝敗を決めるものではありませんが、最初の数イニングを見れば、どちらの予想シナリオへ近づいているか判断しやすくなります。
花巻東が最初の3回で走者を何人出せるか
冨岡または松本倫が三者凡退を続ければ、花巻東は走れません。
反対に毎回のように走者が出れば、盗塁を実際に仕掛けなくても英明バッテリーへ圧力をかけられます。
試合開始直後は得点だけでなく、「花巻東が一塁へ何回到達したか」に注目です。
萬谷が松原を抑えられるか
英明で最も状態がいい松原と、花巻東のエース萬谷。
どちらも左という対決になります。
松原が長打を1本でも打てば英明打線に勢いが出ます。
萬谷が松原を走者なしで迎え、内野ゴロや三振に抑えられれば、英明の得点力は大きく下がるでしょう。
花巻東の最初の盗塁が成功するか
花巻東は大会8盗塁、英明の対戦相手はここまで盗塁成功0。
この数字の衝突は、今回のカードを象徴しています。
花巻東が序盤に二盗を決めれば、英明は以後さらに走者を警戒しなければなりません。
逆に牽制死や盗塁死が起きれば、花巻東側が慎重になる可能性があります。
英明が5回まで1点差以内で進められるか
英明は終盤で点を取っています。
したがって花巻東が序盤に先制しても、5回終了時に1-0、2-1程度なら英明としては十分に計算できる展開です。
花巻東側から見ると、萬谷が英明を抑えている間に2点、3点とリードを広げておきたいところです。
冨岡を何回から投入するか
英明が松本倫を先発させる場合、最大の判断は冨岡の投入時期です。
5回まで松本倫が無失点なら、大分商戦と同じ形で後半を任せやすくなります。
一方、3回までに花巻東が走者を重ねれば、予定より早く冨岡が出てくる可能性があります。
その場合は英明の失点を防げる反面、冨岡が投げるイニングが増えます。
松本倫が何回まで試合を作れるかは、英明の勝敗だけでなく冨岡の使い方そのものを左右します。
英明が勝つと予想するなら2-1か3-2の投手戦
英明が勝つ場合、最も想像しやすいのは2-1または3-2です。
大量得点で花巻東を圧倒するより、冨岡と松本倫が走者を抑え、終盤に松原らが決める形でしょう。
- 松本倫または冨岡が序盤を無失点で進める
- 花巻東が出塁しても盗塁や犠打を封じる
- 5回まで0-0か1点差で耐える
- 7回以降に松原を中心として勝ち越す
- 最後は冨岡を含む投手陣がリードを守る
関東第一戦、大分商戦ともに、英明は試合後半に得点を増やしています。
この展開になれば、予想を英明勝利へ変更しても不思議ではありません。
特に冨岡が関東第一戦と同じように四球をほとんど出さない場合、花巻東の盗塁という強みは発動する前に封じられます。
花巻東が勝つと予想するなら3-2か4-2
花巻東が勝つ場合は、3-2または4-2を想定します。
花巻東が5点、6点を奪うというより、1点ずつ英明からもぎ取る形です。
- 単打
- 盗塁
- 犠打
- 適時打
- 三塁まで進んで内野ゴロで1点
岡山学芸館戦で見せたような、小さな攻撃を連続させる展開です。
英明投手陣から毎回複数安打を打つ必要はありません。
試合全体で8安打程度でも、走者を効率よく得点圏へ進めれば3点は狙えます。
そして萬谷がその3点を守る。
これが今回、最も可能性が高いと見ているシナリオです。
なぜ最終予想を花巻東3-2英明にしたのか
改めて結論の根拠を整理します。
投手単体の安定感なら、冨岡は非常に高く評価できます。
今大会13回を投げて被安打6、与四球1という内容は、花巻東の好調な打線を考えても簡単に攻略できる数字ではありません。
一方で、花巻東は「冨岡を打ち崩す」以外の道を持っています。
- 走者を一人出す
- 盗塁する
- 犠打で進める
- 内野ゴロでも1点を狙う
こうした攻撃ができることが、通常の強打型チームと違うところです。
さらに先発候補の萬谷は投手として中6日。
英明の冨岡と松本倫はともに8月13日に登板しており、英明戦まで中2日です。
ここに花巻東の22安打、8盗塁という現在の打線状態を合わせ、最終的に花巻東をほんの少し上としました。
ただし、差は小さいです。
英明が先制し、花巻東の最初の盗塁を防ぎ、松原が萬谷から長打を打つ。この3つが序盤に重なれば、英明優勢へ一気に傾くでしょう。
英明対花巻東の勝敗予想でよくある疑問
試合直前に知りたいポイントを、結論がすぐ分かる形で整理します。
英明と花巻東はどっちが勝つと予想?
花巻東をわずかに優勢と予想します。
理由は、今大会22安打・8盗塁という攻撃の状態に加え、エース萬谷が投手として中6日で登板できる可能性が高いためです。ただし英明には冨岡と松本倫がいるため、ほぼ互角に近い予想です。
英明対花巻東の予想スコアは?
花巻東3-2英明を本命とします。
英明は今大会2失点、花巻東も3失点しかしていないため、打ち合いよりロースコアを予想します。英明勝利なら2-1か3-2、花巻東勝利なら3-2か4-2が有力なスコア帯と考えます。
英明の先発予想は誰?
松本倫史朗から入り、途中で冨岡琥希へつなぐ形を本線と予想します。
大分商戦で松本倫5回無失点、冨岡4回1失点という継投が成功しているためです。ただし冨岡の先発も十分考えられます。
花巻東の先発予想は誰?
萬谷堅心を最有力と予想します。
萬谷は8月9日の新田戦で7回104球を投げ、その後の岡山学芸館戦では登板していません。英明戦では投手として中6日となるため、先発させやすい条件です。
英明の一番の強みは?
冨岡を中心とした失点の少なさと終盤の得点力です。
今大会は2試合で2失点。関東第一戦では7回に3点、大分商戦では9回に4点を挙げています。序盤に得点できなくても焦らず試合を進められます。
花巻東の一番の強みは?
出塁した後の選択肢の多さです。
2試合で22安打、8盗塁。岡山学芸館戦では14安打に加えて7盗塁を記録しました。長打だけに頼らず1点を作れるのが大きな武器です。
試合最大の注目ポイントは?
花巻東の走者を英明が止められるかです。
花巻東は今大会8盗塁。一方、英明は今大会2試合で相手に盗塁成功を記録されていません。花巻東の最初の出塁と最初の盗塁は、ぜひ注目したい場面です。
英明対花巻東は「出塁させない英明」と「出塁後が怖い花巻東」の勝負
勝敗予想:花巻東
予想スコア:花巻東3-2英明
2026年夏の甲子園3回戦、英明対花巻東の勝敗予想は花巻東の勝利、予想スコア3-2です。
試合は8月16日13時開始予定です。
英明は関東第一、大分商を相手に2試合で10得点2失点。
冨岡琥希は13回で被安打6、与四球1。松本倫史朗も大分商戦で5回無失点と、投手陣は非常に安定しています。
対する花巻東は新田、岡山学芸館に連勝。
2試合で22安打を放ち、赤間史弥、古城大翔、菊池楽人が好調です。さらに計8盗塁を記録しています。
そして先発予想の萬谷堅心は、8月9日の新田戦で104球を投げたあと、岡山学芸館戦では登板していません。
この登板間隔と現在の打線状態、そして安打以外から得点を作れる機動力を評価して、花巻東をわずかに上と見ました。
とはいえ、英明が花巻東を一塁へ出さなければ、この予想は簡単にひっくり返ります。
花巻東の8盗塁も、走者がいなければ使えません。
冨岡が関東第一戦のように無四球に近い投球を続ければ、花巻東は足を使う前に攻撃を終える可能性があります。
反対に花巻東が序盤から走者を出し、赤間や古城が二塁、三塁を狙い始めれば、英明はこれまでの2試合とは違う種類のプレッシャーを受けます。
出塁そのものを断ち、終盤の一打で決めること。
一つの出塁を二塁、三塁へ広げ、3点を積み上げること。
「投手力の英明対打力の花巻東」とまとめるだけでは、このカードの面白さを十分に表せません。
より正確には、出塁させない英明対、出塁した瞬間から怖くなる花巻東の対決です。
最初の四球。
最初の盗塁。
最初の松原対萬谷。
そして英明が冨岡を投入するタイミング。
その一つひとつが、ベスト8を決める1点につながる試合になりそうです。
【追記・試合結果】花巻東が英明に4-0で完封勝ちし準々決勝進出
試合前は花巻東3-2英明と予想しましたが、実際の結果は花巻東4-0英明。花巻東が英明を完封し、2023年以来3年ぶりの夏の甲子園ベスト8進出を決めました。
スコアだけを見ると4点差ですが、花巻東が強打で押し切った試合ではありません。
驚くべきことに、花巻東の4得点はすべて適時打なし。2、3回は内野ゴロの間に得点し、6、8回は犠牲フライで1点ずつ加えました。長打もなく、走塁、送りバント、進塁打を絡めて1点ずつ積み上げる花巻東らしい試合になりました。
投手陣では、試合前に先発本命と予想していた萬谷堅心ではなく、赤間史弥が今大会初先発。6回を5安打無失点でしのぎ、7回から萬谷が登板してそのまま完封リレーを完成させています。
赤間史弥が6回無失点、萬谷堅心が3回を締める完封リレー
花巻東勝利の最大の立役者は、先発した赤間史弥でしょう。
赤間は甲子園春夏通算5試合目の登板で初先発。英明に毎回のように走者を許しながらも、決定打を許さず6回無失点でマウンドを降りました。7回からはエース萬谷が入り、最後の3イニングも無失点。英明打線に最後までホームを踏ませませんでした。
英明の香川純平監督も試合後、赤間について球威が想定以上で、打者が差し込まれたことを振り返っています。赤間は直球だけで押すのではなく、変化球を外角へ使いながら英明打線のタイミングをずらしました。
特に英明の中軸が赤間を最後まで捉え切れなかったことが大きかったと考えられます。
さらに赤間を6回で終わらせても、後ろから出てきたのは本来のエース萬谷です。
英明からすると、「ようやく赤間が降板した」と思ったところで、今度はフレッシュな萬谷と対戦しなければならない非常に厳しい継投でした。
花巻東は適時打なしで4得点した
試合前の記事では、花巻東について「5点、6点を奪うのではなく、3点をどう作るかがポイント」と予想していました。
実際の試合は、その想定にかなり近いものでした。
2回は英明の失策から久保村冠太が出塁。菊地輝の安打で一、三塁とすると、斎藤蒼梧の遊ゴロの間に先制しました。
3回も戸倉光揮の安打から攻撃を始め、赤間の右前打と走塁で一死二、三塁。古城大翔の遊ゴロの間に粒来琉雲が生還し、2-0としました。
ここまで得点につながる適時打は1本もありません。
それでも二つのアウトを得点へ変えています。
花巻東がこの試合で見せたのは、「打てなければ点が取れない」という攻撃ではなく、走者を三塁まで進めれば凡打でも得点できる野球でした。
最終的に4得点すべてが内野ゴロまたは犠牲フライ。日刊スポーツも「長打なし、適時安打なし」のスモールベースボールだったと伝えています。
3回1死満塁を赤間が無失点で切り抜けた場面が大きかった
英明にも試合の流れを変えられる場面はありました。
最大のチャンスは1点を追う3回表です。
池田隼人が内野安打で出塁すると、吉川輝も右前打。ヒットエンドランで一、三塁となり、さらに吉川が盗塁して二、三塁。松原蒼真が四球を選んで1死満塁となりました。
ここで4番の高田斗稀に回るという、英明にとって理想に近い状況でした。
しかし高田は一飛。
続く松本一心も左飛に倒れ、得点できませんでした。
しかもその直後の3回裏、花巻東が1点を追加して2-0としています。
もし英明が満塁の場面で1点でも返して1-1としていれば、試合の形はまったく違っていたかもしれません。
結果論ではありますが、「英明が最も得点へ近づいた直後に花巻東が追加点を奪った」ことが、この試合の大きな分岐点だったと考えられます。
重盗と犠牲フライで奪った3点目は予想した花巻東の形そのもの
花巻東らしさが最も表れたのは6回裏でした。
先頭の萬谷が四球を選ぶと、久保村が送りバント。
菊地も四球を選んで一死一、二塁となったところで、花巻東は一塁走者と二塁走者を同時に動かし、重盗を成功させました。
これで一死二、三塁。
斎藤の中犠飛で萬谷が生還し、3-0としました。
試合前の記事では、「花巻東は単打や四球で走者を出し、盗塁や犠打で得点圏へ進め、内野ゴロや外野フライでも1点を取る形が現実的」と予想していました。
6回の3点目は、ほぼそのままの攻撃です。
8回も赤間の四球、古城の安打から萬谷が送りバントを成功させ、一死二、三塁。久保村の犠牲フライで4点目を奪っています。
派手な一打はありません。
しかし「出塁→進塁→得点」という流れを何度も作ったことで、冨岡を大きく打ち崩さなくても4点を奪えました。
冨岡琥希は4失点完投も内容ほど悪い投球ではなかった
4-0というスコアだけを見ると、冨岡が花巻東打線につかまったようにも見えます。
しかし内容を確認すると、そう単純ではありません。
冨岡は9回を最後まで投げ切りました。花巻東の4得点には適時打が一本もなく、2回と3回は内野ゴロ、6回と8回は犠牲フライによる得点でした。
英明の香川監督も試合後、冨岡の投球自体を評価しています。
花巻東は冨岡から連打や長打を重ねたのではなく、失策、走塁、送りバント、四球などを組み合わせて少しずつ得点しました。
その意味では、冨岡を「攻略した」というより、冨岡から得たわずかな出塁機会を得点へ変換し続けたという表現のほうが、この試合には合っています。
英明の敗因を投手力だけに求めるのは難しく、むしろ0得点に終わった打線と、花巻東が走者を出した後の攻防に勝敗を分ける要因があったと見ていいでしょう。
試合前の花巻東3-2英明予想と実際の結果を比較
試合前には、最終的に花巻東3-2英明と予想していました。
実際は花巻東4-0英明。
勝利チームは予想通りでしたが、点差は想定以上に開きました。
一方で試合内容を見ると、「花巻東が打ちまくって勝つのではなく、走塁と小技を絡めて3点前後を積み重ねる」「ロースコアになる」「英明の投手陣を相手に長打だけでは攻略しない」という事前分析については、実際の試合とかなり重なる部分がありました。
勝敗予想は的中したが3-2ではなく4-0だった
まず結果そのものについては、花巻東勝利の予想が的中しました。
予想スコアは3-2。
実際は4-0です。
総得点で比較すると、予想は5点、実際は4点だったため、「両校の投手力から大量得点の打ち合いにはならない」という見立ては大きく外れていません。
一方で、英明が2点程度は取ると考えていた部分は外れました。
試合前は、英明が終盤まで1点差程度で耐えれば、松原蒼真らを中心に得点できる可能性を見ていました。
しかし実際には赤間―萬谷の継投から最後まで1点も奪えませんでした。赤間が6回無失点、萬谷も7回以降を無失点に抑えています。
したがって、勝敗とロースコア予想は近かったものの、英明打線の得点力をやや高く評価しすぎていたというのが結果からの評価になります。
花巻東が「3点を作る」という試合展開はかなり予想に近かった
試合前予想の中で最も実際の展開に近かったのは、花巻東の得点方法です。
記事では「英明の好投手から大量点を取ろうとするのではなく、3点をどう作るかが重要」と分析しました。
そして実際の花巻東は4点。
しかも、その4点に適時打は一本もありませんでした。
2回は内野ゴロ。
3回も内野ゴロ。
6回は重盗から犠牲フライ。
8回は送りバントから犠牲フライ。
試合前に想定した「一つの出塁を二塁、三塁へ広げ、凡打でも得点できる状態を作る」という攻撃をほぼそのまま実行した格好です。
特に6回の重盗は、事前に注目していた「花巻東の機動力対英明バッテリー」というポイントが実際に追加点へ直結した場面でした。
花巻東の22安打という大会前半の数字よりも、出塁した後の選択肢の多さを評価したことのほうが、結果を説明する材料として重要だったと言えそうです。
最大の予想外は萬谷ではなく赤間が先発したこと
今回の試合前予想で最も大きく外れたのは、先発投手です。
花巻東は萬谷を本命と予想していました。
萬谷は前回の投手登板から中6日だったため、登板間隔から考えれば先発の可能性が高いと判断していました。
しかし実際に先発したのは赤間史弥。
しかも赤間は甲子園春夏通算5試合目にして初先発でした。
この起用が結果的に大きく当たりました。
赤間が6回無失点で英明打線を抑えたことで、花巻東はフレッシュな萬谷を7回から投入できます。
先発予想では「萬谷が6~7回まで試合を作り、菅原や赤間へつなぐ」展開を想定していましたが、実際は赤間で6回を作り、最後をエース萬谷へ預ける逆のリレーとなりました。
英明側についても、試合前は松本倫史朗から冨岡への継投を本線として予想していましたが、実際は冨岡が先発し9回を完投しています。
つまり、勝敗予想の方向性は合っていても、両校の投手起用はほぼ予想と逆だったことになります。
英明の勝ち筋だった「終盤まで僅差」は作れたが得点できなかった
試合前の記事では、英明が勝つ条件として「7回以降まで1点差以内で耐える」ことを挙げていました。
実際は5回終了時点で0-2。
大差ではなく、まだ十分に追いつける点差でした。
冨岡も試合を壊していません。
それでも英明が苦しくなったのは、3回の一死満塁を逃して以降、得点へ結びつけられなかったためです。赤間は6回まで毎回走者を背負いながら無失点で切り抜け、7回から登板した萬谷も英明打線を封じました。
英明は4回にも走者を二塁まで進め、5回にも死球で走者を出し、6回にも安打から二塁まで進めています。
完全に何もできなかったわけではありません。
問題は「走者を出すところ」ではなく「ホームへ返すところ」でした。
これは花巻東との違いでもあります。
英明は一死満塁でも0点。
花巻東は適時打なしでも4点。
同じように走者を出しながら、アウトを得点へ変換できたかどうかが、4-0という最終スコア以上に両校の差を表していた試合でした。
試合前予想を採点すると「勝敗と展開は的中、投手起用と点差は外れ」
今回の試合前予想と実際の結果を整理すると、次のようになります。
| 予想項目 | 試合前予想 | 実際 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 勝利チーム | 花巻東 | 花巻東 | ◎ |
| 予想スコア | 3-2 | 4-0 | △ |
| 試合傾向 | ロースコア | 4得点のみ | ○ |
| 花巻東の得点方法 | 走塁・犠打で1点ずつ | 適時打なしで4得点 | ◎ |
| 機動力の影響 | 勝敗を左右すると予想 | 重盗から3点目 | ◎ |
| 花巻東の先発 | 萬谷 | 赤間 | × |
| 英明の投手起用 | 松本倫→冨岡を本線 | 冨岡が9回完投 | × |
| 英明の勝ち筋 | 終盤の一打 | 完封され実現せず | × |
結果を振り返ると、「花巻東が勝つ」という結論だけでなく、「どう勝つか」の分析はかなり実戦に近かったと言えます。
とりわけ「冨岡を大量の連打で打ち崩す必要はなく、出塁した走者を進めて3点前後を作る」という部分は、4得点すべて適時打なしだった実際の試合をかなり正確に捉えていました。
一方で、試合を最も大きく変えたのは事前予想で本線に置かなかった赤間の先発起用です。
英明は赤間から走者を出しながらも決定打を奪えず、最大の好機だった3回一死満塁も無得点。そこから萬谷へつながれたことで、試合前に想定していた英明の終盤の反撃が起こりませんでした。
最終スコアは4-0。
それでも試合内容を振り返ると、花巻東が圧倒的な打力で英明をねじ伏せた4点差ではありません。
出塁を進塁へ、進塁を得点へ変える花巻東の野球と、好機を作りながら最後の一本を出せなかった英明。その差が積み重なって生まれた4-0だったと考えるのが、この試合を最も分かりやすく表しているでしょう。
出典・参考資料
この記事では、試合結果・選手成績・大会規定などについて、以下の公式情報や報道記事を参考にしています。
