夏の甲子園3回戦で、有明(熊本)と東日大昌平(福島)がベスト8入りを懸けて対戦します。
両校とも春夏を通じて甲子園初出場。それでいて有明は立命館宇治、長崎日大を破り、東日大昌平は白樺学園、青森山田を破って2勝ずつを挙げています。勝った学校は初出場でそのまま初のベスト8進出です。試合は2026年8月16日の第2試合、10時30分開始予定となっています。
- 勝敗予想:東日大昌平をわずかに優勢
- 予想スコア:東日大昌平3-2有明
- 独自の勝率イメージ:東日大昌平54%、有明46%
- 54%対46%は統計モデルの公式勝率ではなく、戦力・相性・直近内容を総合した予想の目安
甲子園での投手成績、地方大会から続く勝ち方、打線、機動力、投手起用、試合間隔、相手とのかみ合わせを総合して設定した予想の目安です。
絶対的なエース照沼佑崇を中心とする東日大昌平に対し、有明は工修哉から斉藤遼汰郎へつなぐ継投と積極的な走塁で対抗します。
しかも有明の機動力と継投は甲子園に来て突然始まったものではありません。熊本大会から一貫して使ってきた勝ち方です。反対に東日大昌平も、甲子園では照沼が2試合を完投しているものの、福島大会では白田夢真をはじめ複数投手を使って勝ち上がっています。
単純な「エース対打線」では読み切れないカードです。
投手力、攻撃の作り方、機動力、捕手の対応、照沼の疲労、控える投手陣まで順番に比較しながら、有明対東日大昌平の勝敗を詳しく予想します。
有明対東日大昌平の予想は東日大昌平がわずかに優勢
最初に、今回の予想を決めた評価ポイントを整理しておきます。
両校の間に明確な戦力差があるとは考えていません。むしろ甲子園2試合の数字だけを見ると非常に接近しており、どちらが自分たちの得意な展開へ持ち込むかで勝敗が変わるカードです。
今回、東日大昌平をわずかに上とした理由は次の通りです。
- 東日大昌平には甲子園2試合を3失点で完投している照沼佑崇がいる
- 東日大昌平は福島大会では白田夢真らも登板しており、照沼以外の選択肢も持っている
- 有明は甲子園で打率.169ながら9得点しており、機動力を使って得点効率を高めている
- 有明の工から斉藤への継投は熊本大会決勝から続く完成された勝ちパターン
- 接戦ならほぼ互角だが、東日大昌平のほうが中盤に一気に複数得点を奪う形を持っている
東日大昌平は甲子園2試合で打率.182、10安打8得点。有明は打率.169、10安打9得点です。
打率にも安打数にも大きな差がありません。
一方で得点の作り方はかなり違います。
東日大昌平は四死球や安打が重なった回に一気に試合を動かす力があり、有明は一人の走者を足や犠打で動かしながら1点へ変える力がある。
この違いが3回戦の大きなポイントになりそうです。
有明と東日大昌平の甲子園での成績を比較
まずは甲子園に入ってからの2試合を比較します。
地方大会での相手や試合数は異なるため、県大会を含めた数字を単純に並べるだけでは実力差を判断しにくいものです。その点、同じ甲子園で2試合を戦った現在の数字は、両校の状態を考える材料になります。
| 比較項目 | 有明 | 東日大昌平 |
|---|---|---|
| 甲子園成績 | 2勝0敗 | 2勝0敗 |
| 得点 | 9 | 8 |
| 失点 | 5 | 3 |
| 安打 | 10 | 10 |
| チーム打率 | .169 | .182 |
| チーム防御率 | 1.50 | 1.50 |
| 主な投手 | 工・斉藤 | 照沼 |
| 投手起用 | 2投手で継投 | 照沼が2試合連続完投 |
| 攻撃の特徴 | 機動力・犠打・終盤の粘り | 中盤の集中打・打線のつながり |
有明は立命館宇治に6-3、長崎日大に3-2で勝利しています。
東日大昌平は白樺学園に2-1、青森山田に6-2で勝利しました。
特に注目したいのが防御率です。
有明は工と斉藤の2人で18回を投げて自責点3、防御率1.50。東日大昌平も照沼が18回を投げて3失点で、チーム防御率は1.50となっています。
投手力の結果だけを見れば互角です。
ただし、その「1.50」を作った方法がまったく違います。
投手力は照沼の東日大昌平と継投型の有明でタイプが違う
この試合の中心になるのは、やはり投手です。
東日大昌平は一人のエースが長いイニングを担う形。有明は役割を分担しながら9回を組み立てる形で、同じ低失点でも設計思想が異なります。
東日大昌平の最大の強みは照沼佑崇の安定感
東日大昌平で最初に名前を挙げるべき選手は、エースの照沼佑崇です。
甲子園初戦の白樺学園戦から先発し、続く青森山田戦も完投。青森山田戦では中4日で112球を投げ、7安打2失点に抑えて6-2の勝利につなげました。2試合合計では18回253球、13安打3失点、13奪三振です。
初出場校のエースが甲子園で2試合続けて9回を投げ切った事実は大きいでしょう。
「全国レベルの相手でも試合を壊さない」という点を、すでに実戦で証明しています。
さらに福島大会準決勝の聖光学院戦では、東日大昌平が3-2で勝利。地元報道では照沼が最速148キロを記録し、聖光学院打線を2安打に抑えたことも紹介されています。
速球の威力だけではありません。
白樺学園戦を2-1、青森山田戦を6-2と、得点状況の違う試合をどちらも完投した点からも、ゲームメーク能力の高さが分かります。
有明からすると、照沼を大量安打で序盤からノックアウトする展開だけを想定するのは現実的ではありません。
むしろ重要なのは、照沼が好投している状態でも1点、2点をどう奪うかです。
253球の疲労は無視できないが過大評価もしにくい
一方、照沼には明確な不確定要素があります。
甲子園2試合で253球を投げており、有明戦は青森山田戦から中2日です。
疲労が全くないと考えるのは難しいでしょう。
高校生投手が短期間で3試合目を迎える以上、有明としては初回から球数を使わせる価値があります。
ただし、「253球投げたから3回戦では必ず失速する」と決めつけるのも危険です。
照沼は初戦で長いイニングを投げた後、中4日で青森山田戦へ入り、そこで112球の完投勝利を挙げています。少なくとも2回戦では、初戦の疲労によって大きく崩れたわけではありません。
有明が狙うべきなのは、疲れていると仮定して早打ちすることではなく、実際の投球を見ながら負担を増やすことです。
ファウルで粘る、ボール球を追わない、走者を出してセットポジションを増やす。
こうした積み重ねが、7回以降に効いてくる可能性があります。
東日大昌平は照沼だけの投手陣ではない
ここは前回の予想以上に重視したいポイントです。
甲子園では照沼が全18イニングを投げているため、「東日大昌平=照沼一人」と見えやすいのですが、福島大会での投手起用は違いました。
地元の福島放送は、東日大昌平について照沼に加え、白田夢真らを擁する「豊富な投手陣」と紹介しています。白田は福島大会決勝の学法石川戦で5回2失点に抑えており、小内壱晟捕手と中学時代からバッテリーを組んできた投手でもあります。
OmyuTechの集計でも、照沼だけでなく白田に先発登板実績があります。
つまり、有明が照沼に球数を投げさせれば自動的に東日大昌平が苦しくなるわけではありません。
照沼の状態によっては、県大会で使ってきた別の投手へつなぐ選択肢があります。
もちろん甲子園ではまだ照沼以外が登板していないため、全国の舞台で同じように機能するかは未知数です。
それでも「照沼が降板したら投手がいない」という前提で予想するのは適切ではないでしょう。
有明の工から斉藤への継投は偶然ではなく勝ちパターン
有明は東日大昌平とは対照的です。
立命館宇治戦、長崎日大戦のどちらも工修哉が先発し、途中から斉藤遼汰郎へつないで勝っています。スポーツナビの3回戦見どころでも、両投手が2試合をつないで計18イニング5失点に抑えたことが紹介されています。
重要なのは、この継投が甲子園だけの応急処置ではないことです。
熊本大会決勝の東海大熊本星翔戦でも、工が5回を無失点に抑え、6回から斉藤が登板。有明は4-1で勝ち、春夏通じて初の甲子園出場を決めました。試合後、工自身も甲子園で斉藤へ良い状態でつなぎたいという趣旨のコメントを残しています。
県大会決勝から甲子園まで、同じ考え方で試合を作っているわけです。
有明にとっては、先発投手が完投できなかったから継投するのではありません。
前半を工、後半を斉藤という役割分担そのものが勝利パターンになっています。
これは3回戦でも大きな強みです。
有明は工が試合を壊さなければ後半勝負に持ち込める
有明の先発候補として有力なのは、これまでと同様に工です。
ただし8月15日夜時点では3回戦の先発情報は確定していないため、工先発、照沼先発のいずれも正式発表前に断定はできません。OmyuTechの試合ページも開始前の段階では先発情報が未確定です。
これまで通りの起用だと仮定した場合、有明の理想は工が4回から5回までを0~2失点でまとめる形です。
そこで斉藤へつなげれば、試合終盤まで勝負を残せます。
立命館宇治戦でも、有明は7回まで3点を追っていました。
それでも7回に2点を返し、9回に4得点して逆転。6-3で初勝利を挙げています。
つまり有明は、序盤にリードされただけでは勝ちパターンを失いません。
工が大量失点を避けることのほうが重要です。
打線は東日大昌平がわずかに上だが数字ほど単純ではない
投手戦が予想されるからこそ、少ない好機をどちらが得点へ変えるかが大切です。
甲子園2試合の打率は東日大昌平.182、有明.169。数字だけなら東日大昌平がわずかに上ですが、両校とも10安打で、安打数そのものは同じです。
東日大昌平は一つの回で試合を変えられる
東日大昌平の怖さが最も出たのが青森山田戦です。
試合は一度1-1となりましたが、東日大昌平は5回に一挙5得点。最終的に6-2で勝利しました。金沢匠良はこの試合で2安打3打点を記録しています。
一つの四球や安打から走者を増やし、そこで一本が出ると複数点まで広げられる。
有明が最も警戒したいのは、この形でしょう。
工から斉藤への継投が予定通り進んでいても、どこか一つの回で3失点、4失点すればゲームプランそのものが崩れます。
東日大昌平は福島大会決勝でも、学法石川との打撃戦を10-7で制しています。
初回に3点、2回にも2点を取り、15安打で10得点。投手戦だけではなく、点の取り合いでも勝った経験があります。
この経験を考えると、有明が2点程度を取っただけでは安全圏になりません。
金沢匠良は有明が最も警戒したい打者の一人
3回戦のスポーツナビの見どころでも、東日大昌平の注目選手として金沢が挙げられています。
白樺学園戦で二塁打を放ち、青森山田戦では先制打を含む2安打3打点。甲子園2試合通算でも8打数3安打、3打点と結果を残しています。
高校野球では1番から4番だけを警戒すればいいとは限りません。
東日大昌平のように中盤の打順に勝負強い打者がいると、有明投手陣は上位を抑えた後も気を抜けません。
特に二死二塁、一死一・三塁のような場面で金沢へ回したくないところです。
大量得点のきっかけを防ぐという意味でも、有明は走者をためない投球が必要になります。
有明は打率.169でも9点を取っている
有明の打線を考えるとき、チーム打率.169だけを見るのは危険です。
2試合で59打数10安打。それでも9得点しています。
これは「打てていないから攻撃力が低い」と単純に評価できない数字です。
有明はヒット以外の方法でも走者を進め、得点へ変えています。
立命館宇治戦では6安打で6得点。
7回に2点を返した後、9回には二死から4点を奪い、6-3で逆転しました。1番永田晴輝はこの試合だけで2安打5打点を記録しています。
長崎日大戦も4安打で3得点。
2回には相手守備の乱れも絡んで逆転し、3回には永田の走塁が追加点につながりました。
したがって東日大昌平に必要なのは、有明を3安打や4安打に抑えることだけではありません。
四球、失策、盗塁をセットにさせないことが重要です。
有明最大の武器は県大会から続く機動力
有明の強みを一つだけ挙げるなら、機動力でしょう。
8月15日時点の甲子園2試合で有明は計5盗塁。熊本日日新聞も3回戦の見どころとして、この積極的な走塁を東日大昌平に対する武器の一つとして挙げています。
しかも、この5盗塁だけを見ると有明の走力を過小評価する可能性があります。
熊本大会から積極的に走り続けている
有明は熊本大会でも積極的に走っていました。
毎日新聞は、有明が熊本大会で15盗塁を記録したと報じています。
その象徴が熊本大会決勝です。
1回、先頭の永田が左前打で出塁すると二盗、さらに三盗を成功。一死三塁を作り、實田聡志の犠牲フライで先制しました。
ヒット1本から、盗塁を2個重ねて1点。
まさに有明の攻撃を表す場面です。
甲子園の長崎日大戦でも、永田は二塁から三盗を決め、その後の内野への打球で生還しました。
同じような得点の作り方を県大会でも甲子園でも再現している以上、偶然とは考えにくいでしょう。
永田晴輝が塁に出るだけで試合の形が変わる
有明のキーマンは1番の永田です。
甲子園2試合通算で9打数3安打、二塁打2本、5打点、2盗塁。立命館宇治戦では逆転の中心となり、長崎日大戦では足で得点を作りました。
打率や打点だけでは、永田の価値を十分に表せません。
一塁にいるだけで盗塁を警戒させられるため、投手は打者だけに集中しにくくなります。
捕手は送球を考え、内野手もベースカバーを意識します。
二塁へ進めば三盗まであるため、通常なら「二塁走者だからそれほど警戒しなくてもいい」という状況にもなりません。
東日大昌平が有明の攻撃を止める最も簡単な方法は、永田を塁に出さないことです。
反対に有明が初回から永田を出塁させられれば、照沼の投球にも少しずつ違う負荷をかけられます。
有明の機動力と東日大昌平・小内壱晟捕手の攻防も見逃せない
この試合を「照沼対有明打線」だけで見るのはもったいありません。
有明が足を使う以上、照沼とバッテリーを組む捕手の存在も重要になるからです。そこで注目したいのが東日大昌平の小内壱晟です。
小内壱晟は多彩な投手陣をまとめてきた捕手
小内は2025年秋から本格的に捕手へ転向した選手です。
福島放送によると、中学時代にも捕手経験はあったものの、高校の投手陣の球速や変化球への対応に苦労し、投手陣へ協力を頼みながら毎日約2時間のキャッチング練習を重ねました。福島大会では照沼、白田らをリードし、チーム防御率1点台の投手陣を支えています。
甲子園では打撃でも青森山田戦で2安打1打点。
2試合通算では6打数2安打となっています。
有明戦で特に重要になるのは打撃以上に、走者を出した後の対応でしょう。
有明が通常通り盗塁を仕掛ければ、小内は投手のリズムを守りながら走者にも対応しなければなりません。
有明は盗塁成功だけを狙う必要はない
盗塁は成功したときだけ価値があるわけではありません。
もちろんアウトになれば大きな損失ですが、「走る可能性が高い」と思わせるだけでも守備側の意識は変わります。
照沼が走者を長く確認する。
小内が送球を意識する。
内野手が早めにベースへ入る。
そうなれば打者側にも利用できるものが出てきます。
有明にとって理想なのは、序盤に一度でも積極的な走塁を見せて、東日大昌平バッテリーへ「今日は常に走者を見なければならない」と感じさせることです。
この小さな負担が、照沼の球数増加にもつながる可能性があります。
地方大会の勝ち上がりを見ると両校とも接戦経験が豊富
甲子園だけの2試合では、サンプルが少ないのも事実です。
そこで地方大会までさかのぼると、両校がどのような試合を勝ってきたかが見えてきます。特に重要なのは、どちらも楽な試合ばかりで甲子園へ来たわけではない点です。
有明は熊本工との延長戦と決勝の投手戦を経験
有明は熊本大会で熊本工との試合を延長11回の末、5-4で制しています。
試合は9回で決着せず、11回に2点を取り、最後は1点差を守って勝利しました。
決勝では2連覇を狙った東海大熊本星翔を4-1で破りました。
永田の2盗塁から先制し、工が5回無失点、斉藤が後半を担うという、現在の有明につながる内容です。
つまり有明は、甲子園で突然「接戦に強いチーム」になったわけではありません。
延長戦、1点差、継投、機動力といった要素を熊本大会から経験しています。
東日大昌平は聖光学院との接戦と学法石川との打撃戦を勝った
東日大昌平も勝ち上がり方の幅があります。
福島大会準決勝では大会5連覇を狙っていた聖光学院を3-2で破りました。
そして決勝では学法石川を10-7で破って初優勝。
15安打10得点の打撃戦を制しています。
2-1や3-2の試合だけを得意とするチームではありません。
投手戦なら照沼を中心に耐え、打線がつながれば10点を取ることもできる。
この勝ち方の幅を、今回の予想では東日大昌平のプラス材料としました。
有明が勝つための5つの条件
東日大昌平をわずかに優勢と予想していますが、有明にもかなり明確な勝ち筋があります。
特に3点以内の接戦へ持ち込めれば、有明が勝つ可能性は一気に高まるでしょう。
有明が勝つために重要なのは次の5点です。
- 永田晴輝が序盤から出塁して照沼と小内に走者を意識させる
- 照沼を早打ちで助けず、6回までに十分な球数を投げさせる
- 工が序盤から中盤を2失点以内でまとめる
- 斉藤の登板後に東日大昌平のビッグイニングを作らせない
- 7回以降を1点差以内で迎え、有明の機動力と終盤の勝負強さを生かす
最重要なのは照沼を打ち崩すことではなく走者を出すこと
有明が照沼から10安打する必要はありません。
甲子園2試合を見ても、有明は少ない安打で得点しています。
例えば四球で出塁し、盗塁で二塁へ進み、犠打や内野ゴロで三塁へ。
そこから犠牲フライやスクイズ、内野安打が出れば1点になります。
有明が狙うべきは「照沼攻略=連打」という発想ではないでしょう。
照沼が好投していても1点を作れる形を増やすことが重要です。
工は4回までなら同点か1点ビハインドでも十分
有明が焦る必要がない理由は、終盤に勝負を残せるからです。
立命館宇治戦は7回開始時点で0-3でしたが、そこから6点を奪いました。
したがって工が4回終了時点で0-0、1-1、0-1、1-2程度に収められれば、有明としては十分な展開です。
一番避けたいのは0-4、1-5のように早い段階で大量点を追う形です。
そうなると盗塁や犠打より長打が必要になり、有明の得意な攻撃から離れてしまいます。
有明は7回まで残れば怖い
有明は甲子園初戦で9回二死から逆転しました。
長崎日大戦では逆に1点差を最後まで守り切っています。
追う展開と逃げる展開の両方をすでに経験しました。
そのため7回終了時点で2-2、1-2、2-3程度なら、東日大昌平が優勢とは言い切れません。
有明の足が最も生きるのは、1点の価値が最大になる終盤だからです。
東日大昌平が勝つための5つの条件
東日大昌平の勝ち筋も明確です。
照沼が通常通り投げられるなら基本的な土台は強く、あとは有明の得意な展開へ付き合わないことが大切になります。
東日大昌平が特に意識したいのは次の5点です。
- 永田晴輝をできるだけ塁に出さず、有明の機動力の起点を消す
- 四球や失策で無料の走者を与えない
- 工が投げている序盤から中盤に先制する
- 一つの好機を2点、3点へ広げて有明に長打が必要な展開を強いる
- 照沼に無理がある場合は白田らを含めた投手起用をためらわない
永田を出さなければ有明の攻撃はかなりシンプルになる
有明は永田が出塁すると攻撃の選択肢が増えます。
盗塁、犠打、エンドラン、内野ゴロでの進塁など、相手が考えなければならない要素が一気に増えるからです。
逆に永田を先頭で打ち取れば、その回は走塁による揺さぶりを受けにくくなります。
甲子園2試合で3安打5打点、2盗塁の1番打者を抑えることは、そのまま有明打線全体を抑えることにつながります。
有明に「打たせて取る」だけでは不十分
照沼が有明を4安打程度に抑えたとしても、東日大昌平が勝てるとは限りません。
実際、有明は長崎日大戦を4安打で勝っています。
東日大昌平が避けたいのは、ヒット以外の形で走者を与えることです。
先頭への四球、送りバントの処理ミス、盗塁への悪送球などが出ると、有明は一気に得点圏へ走者を進めます。
照沼が被安打を抑えることと同じくらい、守備陣が余計な走者を与えないことが大切です。
3点差をつければ東日大昌平がかなり有利
東日大昌平にとって理想なのは、青森山田戦のように中盤で複数得点を取る形です。
有明の甲子園でのチーム打率は.169。少ない安打を得点へ変える力はありますが、大量安打で一気に5点、6点を取り返す野球をここまでしているわけではありません。
東日大昌平が5回までに3-0、4-1とできれば、有明は盗塁や犠打だけでなく長打も必要になります。
その瞬間、試合は東日大昌平の得意な形へ近づきます。
有明対東日大昌平で注目したい選手
どちらも特定の一人だけで勝ってきたチームではありません。
そのうえで、試合展開を大きく左右しそうな選手を挙げるなら、役割がはっきりしています。
有明の注目選手は永田晴輝
有明ではやはり永田です。
甲子園初戦の立命館宇治戦では5打点。長崎日大戦では足で追加点を作りました。熊本大会決勝でも初回に連続盗塁を成功させています。
東日大昌平戦でも一番重要なのはホームランではありません。
第1打席、第2打席で出塁できるかです。
序盤から照沼に走者を意識させれば、有明は普段の野球ができます。
反対に3打席連続で出塁できないようなら、有明の攻撃はかなり苦しくなるでしょう。
有明の投手では工修哉と斉藤遼汰郎
どちらか一人ではなく、二人セットで見るべきでしょう。
有明の甲子園2試合は工、斉藤で18回を投げ、自責点3。県大会決勝でも工から斉藤へつないでいます。
工が5回まで投げるのか、4回で交代するのか。
斉藤をどのタイミングで入れるのか。
この継投時期は、試合の重要な分岐点になります。
東日大昌平の注目選手は照沼佑崇
東日大昌平では照沼です。
甲子園2試合連続完投という実績だけでなく、3回戦では253球を投げた後の中2日という条件まで含めて注目されます。
初回のストレートの強さだけではなく、3回、5回、7回と球威や制球がどう変化するかを見たいところです。
照沼が7回まで通常通りなら東日大昌平がかなり有利になります。
反対に序盤から球数が増え、走者を出した場面で制球が乱れるなら、有明にも大きなチャンスが出てきます。
東日大昌平の打者では金沢匠良と小内壱晟
金沢は青森山田戦で3打点を挙げ、甲子園2試合通算でも3安打3打点。
スポーツナビも3回戦の注目選手として取り上げています。
小内は捕手として照沼ら投手陣を支えるだけでなく、青森山田戦で2安打1打点を記録しました。
有明が上位打線を抑えたとしても、この2人の前に走者をためると危険です。
有明対東日大昌平の展開を3パターン予想
両校の甲子園での防御率がともに1.50であることから、本線はロースコアです。
ただし東日大昌平には福島大会決勝で10得点、有明には立命館宇治戦の終盤6得点という実績もあり、序盤の一つのプレーから点差が開く可能性もあります。
最もありそうなのは2-2前後で終盤へ入る展開
第一予想は投手戦です。
工が4回から5回までを1失点程度でまとめ、斉藤へ継投。
東日大昌平も照沼が有明打線を抑え、5回終了時点で1-1か2-1程度になります。
このまま終盤へ進めば、一つの四球、一つの盗塁、一つの長打がそのまま決勝点になりそうです。
この展開なら予想勝率54対46という数字よりさらに差が縮まり、ほぼ五分と考えます。
東日大昌平が中盤に3点以上取ればそのまま押し切る可能性が高い
第二予想は東日大昌平の快勝パターンです。
工から早い段階で先制し、4回から6回に打線がつながって一挙2点、3点を追加。
4-1や5-1まで広げて照沼、または照沼から別の投手へつないで逃げ切ります。
有明は接戦を作る能力が高い一方、3点、4点を追う状況では自慢の機動力を使いにくくなります。
東日大昌平が有明の「1点を取りにいく野球」をさせない展開にできれば優勢です。
有明は1点差で7回へ入れば逆転まで十分ある
第三予想が有明の勝ちパターンです。
照沼に抑えられながらも工、斉藤が粘り、7回時点で1-2。
そこから永田が出塁し、盗塁や犠打で得点圏へ。
一打で同点にして、相手の失策や適時打で逆転します。
有明は立命館宇治戦で9回二死から試合をひっくり返しているため、1点リード程度では最後まで東日大昌平が安心できません。
試合中に確認したい6つのポイント
事前予想はあくまで試合開始前のものです。
実際に試合が始まれば、初回の内容だけでも予想は変わります。観戦しながら勝敗を読みたい場合は、次のポイントを見ると試合の流れを把握しやすくなります。
- 照沼のストレートが初回から狙った高さへ集まっているか
- 有明の永田が最初の2打席で出塁できるか
- 有明が照沼に1イニング15球前後を投げさせられているか
- 工が東日大昌平打線の2巡目をどこまで抑えられるか
- 有明の盗塁に小内と東日大昌平内野陣が落ち着いて対応できるか
- 5回から7回にどちらが最初の複数得点を奪うか
特に重要なのは照沼の球数と永田の出塁です。
例えば4回終了時点で照沼が50球程度、永田も無出塁なら東日大昌平の理想に近い展開です。
反対に4回までに70球以上を要し、永田が2度出塁して盗塁まで決めているなら、有明がかなり嫌な圧力をかけていると見ていいでしょう。
先制点を取った側がかなり有利になる理由
この試合は先制点の価値が高いと考えます。
両校とも甲子園での防御率が1.50で、投手陣が大きく崩れていません。
特に有明が先制した場合は面白くなります。
1-0なら、工から斉藤への継投を予定通り進めながら、攻撃ではバントや盗塁を使えます。
無理に長打を狙う必要がありません。
東日大昌平からすれば照沼が好投していても「点を取らなければ負ける」という試合になります。
逆に東日大昌平が先制すると、有明は追う側です。
1点差なら慌てる必要はありませんが、東日大昌平が追加点を取って3-0まで広げると、有明は攻撃方法を変えざるを得なくなります。
そのため、単なる「最初の1点」ではなく、どちらが自分たちの得意な戦術を続けられるかを決める1点になりそうです。
守備のミスは有明戦では失点以上の意味を持つ
高校野球では失策が試合を動かすことがあります。
有明戦では特に、一つの守備ミスから連鎖が起こりやすいと考えます。
有明は長崎日大戦でも相手守備の乱れを得点につなげました。
一塁への悪送球で走者が二塁へ。
そこから盗塁で三塁へ。
内野ゴロで1点。
このように、失策一つが直接失点になるだけではなく、有明の機動力を使える状況まで作ってしまいます。
東日大昌平は「難しいプレーを成功させる」以上に、「普通のアウトを確実に取る」ことが重要です。
反対に有明も東日大昌平の打線を相手に余分な走者を与えたくありません。
東日大昌平は青森山田戦で一つの回に5点を取っているため、失策から走者をためると傷口が広がる可能性があります。
守備で先に乱れた側が、そのまま試合の主導権まで失う可能性があります。
有明が照沼を攻略するなら「長打待ち」より走塁と球数
有明が照沼にどう向き合うかは、検索している人が最も気になる部分でしょう。
結論としては、ホームランや長打を期待するより、出塁と球数を重視したほうが勝ち筋につながります。
初球から何でも打つのは照沼を助ける可能性がある
照沼は甲子園ですでに253球を投げています。
それでも有明打線が初球、2球目を次々と打って凡退すれば、1イニングを10球未満で終えられる可能性があります。
それでは疲労を利用できません。
甘い球は当然打つべきですが、外れた変化球まで追わない。
追い込まれたらファウルで粘る。
こうして照沼に1打席4球、5球と使わせることが大切です。
一塁走者を置けば投球以外にも仕事を増やせる
有明にとって走者は得点候補であると同時に、照沼への負荷でもあります。
無走者なら照沼は打者へ集中できます。
しかし永田のような走者が一塁にいれば、盗塁を警戒しなければなりません。
走者を見る。
けん制する。
セットで投げる。
捕手のサインを確認する。
一つ一つは小さな動作でも、イニングを重ねれば負担になります。
有明はこれまで足を武器にしてきたからこそ、3回戦でもこの形を使いたいところです。
東日大昌平は照沼をどこまで引っ張るかもポイント
東日大昌平側では、投手交代の判断も注目です。
これまで甲子園では照沼が2試合とも完投しているため、3回戦でも「照沼が最後まで投げる」というイメージを持つ人は多いでしょう。
ただ、今回は中2日です。
しかも福島大会では白田ら別の投手を使って勝っています。
そのため照沼が7回まで好投していても、球数が多ければ8回から別の投手という選択肢はあります。
反対に1点差で走者を背負った場面では、経験豊富な照沼を続投させる判断も十分考えられます。
この采配は結果論で評価されやすいところですが、事前予想では「東日大昌平には継投というカードもある」と考えておくべきでしょう。
照沼の球数が多いことは弱点になり得ます。
しかし、それがそのまま東日大昌平投手陣全体の弱点を意味するわけではありません。
有明と東日大昌平はどちらが総合的に強い?
項目ごとに比べると、非常に僅差です。
| 項目 | 優勢予想 | 理由 |
|---|---|---|
| 先発投手の実績 | 東日大昌平 | 照沼が甲子園2試合連続完投 |
| 投手運用の柔軟性 | 有明 | 工から斉藤への継投が定着 |
| 投手層 | 互角に近い | 東日大昌平にも白田らがいる |
| 打線の爆発力 | 東日大昌平 | 県大会決勝10得点、甲子園2回戦6得点 |
| 機動力 | 有明 | 県大会から盗塁を積極的に仕掛ける |
| 終盤の粘り | 有明 | 立命館宇治戦で9回逆転 |
| ロースコア適性 | 互角 | 甲子園で両校とも防御率1.50 |
| 総合予想 | 東日大昌平がわずかに上 | 照沼の安定感と打線の厚みを評価 |
この比較で東日大昌平が大差で上になる項目はありません。
だから54%対46%です。
もし照沼が疲労の影響をほとんど受けておらず、初回から高い精度で投げられると分かれば、東日大昌平の評価をもう少し上げられます。
一方、照沼の球数が序盤から増え、有明が永田の出塁から盗塁を成功させれば、有明を50%以上へ上げてもいいでしょう。
事前の戦力表より、最初の3イニングで評価が大きく動く試合です。
有明対東日大昌平のスコア予想は3-2
- 東日大昌平 3-2 有明
- 本線はロースコアの接戦
- 東日大昌平の集中打と有明の機動力が勝敗の分岐点
最終的なスコアは、東日大昌平3-2有明と予想します。
理由は、大量点より投手戦になる条件が多いからです。
有明は工、斉藤で甲子園2試合の自責点3。
東日大昌平は照沼が18回3失点です。
両チームが通常通り投げれば、5回までにどちらかが5点、6点を取る可能性は高くないと見ます。
その中で東日大昌平を3点としたのは、一つの好機を複数得点まで広げる力をわずかに高く評価したためです。
青森山田戦では5回に一挙5点。
福島大会決勝では15安打10得点を挙げています。
有明を2点としたのは、照沼から大量安打は難しいと見る一方、機動力によって少ない出塁を得点へ変える可能性が高いからです。
「東日大昌平8-1有明」のような一方的な予想ではありません。
3-2、2-1、3-3から終盤勝負。
このあたりが最もイメージしやすいスコア帯です。
有明が先制すれば予想はほぼ五分以上まで変わる
事前予想では東日大昌平を54%としました。
しかし有明が先制した場合、その数字を維持する必要はないと考えます。
有明が1-0とすれば、工と斉藤は「大量点を防ぐ」だけでなく、目の前のアウトを積み重ねればよくなります。
攻撃も盗塁、犠打、進塁打を使えます。
東日大昌平は照沼が好投していても、打線側が点を取る必要があります。
有明がさらに2-0とすれば、かなり理想的です。
反対に東日大昌平が2-0、3-0と先行すれば、有明の勝率は大きく下がるでしょう。
有明の機動力は1点を取る野球では極めて有効ですが、4点差を一気に返す場面では効果が限定されます。
その意味でも、先制点は通常の1点以上の価値を持ちます。
有明対東日大昌平の予想でよくある疑問
最後に、この対戦を前に気になりやすい点をまとめます。
結論だけ知りたい場合にも確認しやすいよう、一問ずつ簡潔に整理します。
最終予想は東日大昌平3-2有明
- 勝敗予想:東日大昌平
- 予想スコア:東日大昌平3-2有明
- 勝率イメージ:東日大昌平54%、有明46%
有明と東日大昌平の3回戦は、実力差よりも「勝ち方の違い」が面白いカードです。
東日大昌平には、甲子園2試合を一人で投げ切った照沼がいます。
その一方、照沼は253球を投げた後の中2日。しかも東日大昌平には白田ら別の投手もいるため、どこまで照沼に任せるかという采配まで含めて見どころになります。
有明は工から斉藤へつなぐ分業型です。
この形は熊本大会決勝から続いており、甲子園2試合でも同じ勝ち方を再現しています。
攻撃にも違いがあります。
東日大昌平は青森山田戦で5回に5得点、福島大会決勝で10得点を挙げたように、一つの好機をビッグイニングへ変えられます。
有明は甲子園2試合で打率.169ながら9得点。
県大会から続く機動力を生かし、一人の走者を盗塁や犠打で動かしながら点へ変えています。
言い換えれば、
東日大昌平は「一度つかんだ好機から複数点を取るチーム」。
有明は「一人の走者から1点を作り出すチーム」。
この二つのスタイルが正面からぶつかります。
予想としては、照沼の安定感と東日大昌平の攻撃の厚みを評価し、東日大昌平54%、有明46%。
スコアは東日大昌平3-2有明としました。
ただし、有明が永田の出塁から先制し、工から斉藤へ予定通りつなげられれば、その時点で試合はほぼ五分です。
逆に東日大昌平が序盤から先制し、中盤までに3点差を作れば、照沼を中心にかなり有利な試合運びができます。
勝敗を分けるのは圧倒的な長打力ではなく、最初の走者をどう扱うか。
照沼が中2日でも普段通りの投球を続けられるのか。
永田がその照沼から塁に出て、有明らしい機動力を使えるのか。
工から斉藤への継投を、東日大昌平がどの回で崩すのか。
そして1点差で終盤へ入ったとき、どちらが普段通りの野球をできるのか。
初出場同士で初のベスト8を争う一戦は、大差よりも最後まで1点を奪い合う展開を予想します。
最終予想:東日大昌平3-2有明。
ただし、有明が先制すれば予想を覆す可能性は十分にある、ほぼ互角の3回戦です。
※試合日程、成績、先発状況などは2026年8月15日夜時点で確認できる情報を基準にしています。試合は8月16日10時30分開始予定です。
【追記】有明が東日大昌平に4-1で逆転勝ち|試合前予想と結果を比較
2026年8月16日に行われた夏の甲子園3回戦は、有明が東日大昌平に4-1で逆転勝ちし、春夏を通じて初出場でベスト8進出を決めました。
試合前には、照沼佑崇の安定感と東日大昌平打線の厚みをわずかに高く評価し、東日大昌平54%、有明46%、予想スコアは東日大昌平3-2有明としていました。
結果だけを見れば、勝敗予想もスコア予想も外れています。
ただし試合展開を振り返ると、「1点差で終盤へ入れば有明が怖い」「永田晴輝の出塁と機動力が勝敗を左右する」「東日大昌平は先制後の追加点が重要」と事前に挙げていたポイントが、実際の勝敗に大きく関わりました。
ここでは、どこまで予想通りだったのか、そして何を読み違えたのかを試合結果と照らし合わせて振り返ります。
試合は東日大昌平が先制する理想的な立ち上がり
東日大昌平は1回裏、先頭の渡辺頼都が左翼線への二塁打で出塁しました。
続く入ケ町隼仁が犠打で一死三塁を作ると、3番で主将の峯大珠が初球を右前へ運び、東日大昌平が1-0と先制します。
試合前には、東日大昌平が先制して照沼がリードを守る展開を勝ちパターンの一つとして考えていました。
実際、序盤はその予想に近い流れです。
照沼も低めを丁寧につき、有明打線を無得点に抑えました。
3回には有明の1番永田が右中間への二塁打で出塁しましたが、続くエンドランが三塁正面へのゴロとなり併殺。
5回にも有明は髙橋春喜の安打と犠打で一死二塁を作りましたが、照沼が後続を抑えています。
東日大昌平が1-0とリードしたまま、試合は終盤へ入りました。
8回に永田のバント安打と機動力から有明が一挙4点
試合が決まったのは8回です。
有明の攻撃は1番永田から始まりました。
永田がセーフティーバントを成功させて出塁。
さらに四球で走者が増えると、東日大昌平はここで照沼から白田夢真へ投手を交代します。
有明は白田の登板直後、初球からダブルスチールを仕掛け、一死二、三塁。
その後二死まで追い込まれたものの、死球で満塁とすると、代打の広沢遼太朗が左前へ2点適時打を放ち、2-1と逆転しました。
さらに有明は盗塁を絡め、6番栄井彰にも右前2点適時打。
この回一挙4点を奪い、4-1と試合をひっくり返します。
そのまま有明が逃げ切り、立命館宇治戦、長崎日大戦に続く3試合連続の逆転勝ちとなりました。
「1点差で終盤なら有明が怖い」という読みはほぼそのまま現実になった
試合前には、有明の勝ちパターンとして、
1点差で7回以降へ入り、永田の出塁から盗塁や犠打で得点圏へ進み、一打で逆転する展開
を想定していました。
実際は7回終了時点で東日大昌平が1-0。
そこから8回、永田がセーフティーバントで出塁し、ダブルスチールを絡めて得点圏へ。
最後は広沢と栄井の適時打で逆転しています。
つまり、
1点差で終盤→永田が出塁→機動力で得点圏→適時打で逆転
という流れは、事前に想定していた有明の勝ち筋とかなり近いものでした。
勝者予想そのものは外れましたが、試合の分岐点となる展開はかなり具体的に予想できていたといえます。
キーマンに挙げた永田晴輝が実際に逆転の起点になった
有明のキーマンとして試合前から最も重視していたのが永田です。
理由は打率や長打力だけではなく、塁へ出るだけで有明の機動力を使える状態を作れるからでした。
今回も、その特徴が勝負どころで出ています。
永田は3回に二塁打を放ちましたが、このときは後続のエンドランが併殺となり得点できませんでした。
一方、8回は長打ではなくセーフティーバントでの出塁です。
それでも、その後の四球、ダブルスチール、死球、適時打へと攻撃がつながりました。
有明は必ずしも長打を重ねて得点するチームではありません。
一人が塁へ出た後に、
- バント
- 盗塁
- 四死球
- 相手へのプレッシャー
- 好機での適時打
を重ねて得点へ変えていきます。
試合前に「一人の走者から1点を作るチーム」と評価していましたが、今回はその攻撃が一つの回で連鎖し、4得点まで膨らみました。
照沼の疲労を警戒したが、実際には最後まで高い安定感を見せた
一方、読みを修正すべき部分もあります。
その一つが照沼の疲労です。
照沼は甲子園の前2試合を完投し、合計253球を投げた状態で中2日の3回戦を迎えていました。
そのため事前には、終盤に球威や制球が落ちる可能性を一つの材料としていました。
しかし実際の照沼は、7回1/3を96球、5安打、6奪三振、2四死球、2失点。
8回まで有明を無得点に抑えています。
少なくとも「前2試合の疲労によって照沼が明確に崩れた」とはいえない内容でした。
8回も連打されて降板したのではなく、永田のバント安打と四球で走者をためたところで交代しています。
最終的に照沼には2失点が記録されましたが、逆転打を浴びたのは後を受けた白田でした。
照沼自身の安定感については、試合前の評価以上だったと見るべきでしょう。
勝敗を分けたポイントと試合前予想で読み違えた部分
今回の予想で最大の反省点は、照沼の評価ではなく東日大昌平が照沼をどこまで援護できるかという部分でした。
東日大昌平は初回こそ理想的に先制しましたが、その後追加点を奪えません。
結果として1点差のまま有明を終盤まで残し、有明が最も得意とする試合展開へ持ち込まれました。
最大の読み違いは東日大昌平打線を高く評価しすぎたこと
試合前に東日大昌平をわずかに上とした大きな理由は、照沼だけではありません。
青森山田戦で一挙5得点、福島大会決勝で10得点を挙げていたことから、東日大昌平には一度つかんだ好機を複数得点へ広げる力があると評価していました。
そのため、
照沼が2点前後に抑え、東日大昌平が3点程度を取る
という3-2の予想にしました。
しかし実際は初回の1点だけ。
二回以降は散発3安打にとどまりました。
東日大昌平の江井康胤監督も試合後、
「先制できたが、追加点が取れなかったのが大きかった」
と振り返っています。
まさにここが勝敗の分岐点です。
照沼が7回まで無失点に抑えていたため、東日大昌平がもう1点、2点を追加できていれば試合の形は大きく違っていました。
照沼の投球は予想通り安定していたものの、打線の得点力を高く見積もりすぎた。
これが東日大昌平を54%とした予想が外れた最大の理由です。
「東日大昌平には白田もいる」という読みは当たったが継投は機能しなかった
試合前には、東日大昌平について「照沼だけの投手陣ではなく、白田らもいる」と分析していました。
実際に8回、照沼が一死一、二塁のピンチを招いたところで白田が登板しています。
この点では継投カードの存在を想定した読みは合っていました。
ただし、問題はその継投が甲子園3回戦の8回、1点リード、一死一、二塁という場面で機能するかでした。
白田は登板直後にダブルスチールを許します。
その後二死までこぎ着けたものの、死球で満塁。
広沢に逆転の2点適時打、さらに栄井にも2点適時打を浴びました。
地方大会で救援経験があることと、全国大会の終盤で走者を背負った状態から抑えることは同じではありません。
試合前は東日大昌平の投手層をプラス材料にしましたが、甲子園での救援経験という部分は、より慎重に見る必要がありました。
有明の先発が斉藤だったことも大きな読み違い
有明の投手起用についても予想は外れました。
これまでの甲子園では、工修哉が前半を投げ、斉藤遼汰郎へつなぐ形で勝ち上がっていました。
そのため試合前は「工が前半を2失点以内で抑え、斉藤へ渡せるか」を勝利条件の一つとしていました。
しかし実際に先発したのは斉藤です。
そして東日大昌平は初回に1点を奪ったものの、二回以降は3安打にとどまりました。
4回、5回にも走者は出しましたが、得点にはつながっていません。
有明はこれまでの「工→斉藤」という形をそのまま使うのではなく、斉藤を先発させることで東日大昌平打線を1点に抑えました。
事前の起用パターンを重視しすぎた点は、予想を振り返るうえで明確な反省点です。
「先制点が重要」という読み以上に「追加点を取れるか」が重要だった
試合前には、両校の投手力を考えると先制点の価値が高いと予想していました。
実際に先制したのは東日大昌平です。
さらに照沼が7回まで無失点。
ここまでは東日大昌平にとってかなり理想的な流れでした。
それでも勝てませんでした。
この結果を見ると、「先制した側が有利」というだけでは十分ではありません。
試合前にも東日大昌平には2点目、3点目が必要と考えていましたが、今回の結果はその重要性をより強く示しました。
1-0のまま8回へ入れば、有明はまだバントも盗塁も使えます。
ところが3-0なら、有明は1点ずつ取りにいくだけでは追いつけません。
つまり東日大昌平に必要だったのは先制そのものより、有明が得意な攻撃を続けられない点差まで広げることでした。
有明は「1点差で終盤まで残す力」を予想以上に高く評価すべきだった
有明はこれで甲子園3試合連続の逆転勝ちです。
初戦の立命館宇治戦では9回に逆転。
長崎日大戦も接戦を制し、東日大昌平戦も7回終了時点で0-1から8回に逆転しました。
3試合続くと、偶然だけでは説明しにくくなります。
有明には、
- リードされても大量失点を避ける投手力
- 1点差なら攻撃方法を変えずに我慢できる強さ
- 永田を中心にした機動力
- 終盤でも迷わずバントや盗塁を仕掛ける積極性
- 代打を含め、好機で一本を出せる勝負強さ
があります。
今回の8回も、ホームランや長打の連発で逆転したわけではありません。
セーフティーバント、四球、ダブルスチール、死球、適時打、さらに盗塁と適時打。
有明が県大会から続けてきた野球を、最も重要な場面で再現しました。
試合前には有明を46%としましたが、接戦の終盤で勝ち筋を再現する力は、より高く評価すべきだったといえます。
試合前予想を振り返ると「勝者は外れ、勝ち筋はかなり近かった」
今回の試合前予想を整理すると、読みが合っていた部分は次の通りです。
- ロースコアの投手戦になる
- 照沼は中2日でも大きく崩れない可能性がある
- 有明は1点差で終盤へ入れば逆転の可能性が高まる
- 永田が有明のキーマンになる
- 有明の機動力が東日大昌平を揺さぶる
- 東日大昌平には白田という継投カードがある
- 東日大昌平には先制後の追加点が必要
一方で、外れた部分も明確です。
- 勝者を東日大昌平と予想した
- 東日大昌平3-2というスコア予想
- 東日大昌平打線の得点力を高く評価しすぎた
- 有明は工から斉藤へ継投すると想定した
- 東日大昌平の投手層をプラス材料としたが、白田が8回の流れを止められなかった
- 先制点そのものの価値を高く見すぎた
予想記事は、結果が出てから都合の良い部分だけを拾えば「当たった」と見せることもできます。
しかし今回は、東日大昌平が勝つという最も重要な結論を外しています。
そこは明確に外れでした。
その一方で、有明が実際に勝った展開は、試合前に「有明の勝ち筋」として挙げていた内容にかなり近いものでした。
最終予想は東日大昌平54%、有明46%、東日大昌平3-2。
実際の結果は有明4-1東日大昌平です。
結果を踏まえると、今後の有明を予想する際には単純なチーム打率や安打数以上に、1点差で終盤まで残ったときの機動力と勝負強さを大きく評価する必要があります。
そして有明は、この勝利で春夏通じて初出場ながらベスト8へ進出しました。
選抜大会に出場していない学校が初めて出場した夏の選手権で準々決勝へ進むのは、2013年の富山第一以来13年ぶり。
熊本県勢としても夏の甲子園通算70勝目となり、一大会3勝は2016年の秀岳館以来です。
次戦は8月18日の準々決勝で健大高崎と対戦します。
東日大昌平戦でも見せた、投手が大量失点を防ぎ、1点差で終盤まで残し、永田を中心とする機動力で勝負を仕掛ける形を、全国ベスト8の舞台でも再現できるかが注目されます。
※2026年8月16日の有明対東日大昌平の試合結果を受けて追記しています。
出典・参考資料
記事内の試合日程・成績・選手情報などを確認した主な出典です。
出典・参考資料を表示する
- 大会日程|第108回全国高等学校野球選手権大会|阪神甲子園球場
- 創部30年目で初優勝!有明が東海大星翔を破り甲子園へ 夏の高校野球熊本大会2026|KAB ONLINE
- 有明(熊本)ベンチ入りメンバー一覧|斉藤遼汰郎、十文字彩輝、工修哉ら選手名の読み方【夏の甲子園2026】|ベースボールチャンネル
- 有明(熊本代表)-出場校-高校野球夏の甲子園2026|日刊スポーツ
- 東日本国際大昌平(福島代表)-出場校-高校野球夏の甲子園2026|日刊スポーツ
- 【甲子園】東日本国際大昌平が初出場で16強入り エース照沼佑崇が志願の2戦連続完投勝ち|日刊スポーツ
- 【東日大昌平 ピッチャー球数一覧】照沼佑崇ら投手陣の登板状況 投球数制限への影響は?【夏の甲子園2026】|ベースボールチャンネル
- 【東日大昌平メンバー】東日本国際大昌平高校野球部(福島)ベンチ入り選手一覧|ベースボールチャンネル
- 東日大昌平 多彩な投手を支える捕手|福島放送
- 2026年8月16日 有明vs.東日大昌平|バーチャル高校野球・スポーツナビ
- 福島大会 準決勝 聖光学院vs東日大昌平 ダイジェスト|バーチャル高校野球・スポーツナビ
- 2026年7月25日 学法石川vs.東日大昌平|高校野球地方大会・スポーツナビ
- 東日本国際大学附属昌平高等学校(福島)-チーム-通算成績|一球速報.com・OmyuTech
- 小内壱晟-選手プロフィール|一球速報.com・OmyuTech
- 有明 vs 立命館宇治 ボックススコア-第108回全国高等学校野球選手権大会|一球速報.com・OmyuTech
- 長崎日大 vs 有明 ボックススコア-第108回全国高等学校野球選手権大会|一球速報.com・OmyuTech
- 有明 vs 東日本国際大昌平 一球速報-第108回全国高等学校野球選手権大会|一球速報.com・OmyuTech
- 【速報】有明が初の甲子園 第108回全国高校野球選手権熊本大会 東海大星翔に4―1|熊本日日新聞
- <2026年夏の甲子園・3回戦の見どころ>有明、相手右腕の攻略なるか|熊本日日新聞
- 勝負を分けた有明の三盗 クセ見逃さず「いける」 夏の甲子園|毎日新聞












