サヨナラスクイズとは?プロ野球の実例をロッテ・日本ハム・阪神・楽天まで詳しく解説

サヨナラスクイズとは?プロ野球の実例をロッテ・日本ハム・阪神・楽天まで詳しく解説

プロ野球でスクイズが決まると、ホームランやタイムリーとは違った緊張感があります。

特に同点の最終回、三塁走者がスタートし、打者がバントを転がして決勝点を奪うサヨナラスクイズは、たった一球で試合が終わる劇的なプレーです。

実際のプロ野球では、2012年に広島の石原慶幸が1死満塁からサヨナラスクイズを成功させ、2024年にはロッテの小川龍成が2死満塁から三塁前へのセーフティバントでサヨナラ勝ちを決めました。

さらに近年は、日本ハムの五十幡亮汰や万波中正による2ランスクイズ、阪神の坂本誠志郎による先制スクイズ、楽天の中島大輔による初球スクイズなど、さまざまな形でスクイズが使われています。

一方で、スクイズは決まれば必ず称賛されるような安全な作戦ではありません。

2026年には、日本ハムの五十幡がスクイズを外されて三塁走者がアウトになった例や、阪神の村上頌樹がスリーバントスクイズを空振りし、走者もアウトになった例があります。

この記事では、サヨナラスクイズの意味を確認したうえで、実際にプロ野球で起きた代表的なスクイズを試合状況とともに紹介します。

単に「誰がスクイズをしたか」を並べるのではなく、何アウト・何塁だったのか、結果は犠打なのかバント安打なのか、なぜそのプレーが印象的だったのかまで見ていきます。

  • サヨナラスクイズの意味と、通常のスクイズとの違い
  • ロッテ・日本ハム・阪神・楽天など、プロ野球で実際に起きたスクイズ
  • 2ランスクイズ、セーフティスクイズ、失敗例、オールスターでの珍しい実例
目次

プロ野球のサヨナラスクイズ・スクイズ実例一覧

まずは、この記事で取り上げる代表的なプロ野球のスクイズを一覧で確認しておきましょう。

同じ「スクイズ」と呼ばれるプレーでも、1点だけを取る通常のスクイズ、二塁走者まで生還する2ランスクイズ、打者自身も一塁に生きるセーフティバント型など、公式記録上の形は一つではありません。

年月日球団・選手主な状況結果・特徴
2012年7月17日広島・石原慶幸9回裏1死満塁サヨナラスクイズ
2024年7月30日ロッテ・小川龍成9回裏2死満塁サヨナラセーフティバント
2025年5月13日日本ハム・五十幡亮汰7回裏1死満塁バント安打で2打点
2025年5月25日阪神・坂本誠志郎5回表1死二、三塁先制スクイズ
2025年7月11日楽天・堀内謙伍2回裏1死一、三塁スクイズで先制点
2025年7月23日オールスター・若月健矢4回1死三塁スリーバントスクイズ失敗
2025年8月5日日本ハム・万波中正3回裏1死二、三塁犠牲バントで2打点
2025年8月26日楽天・中島大輔5回裏1死二、三塁初球スクイズで勝ち越し
2026年3月14日ロッテ・寺地隆成9回裏1死三塁オープン戦でサヨナラスクイズ
2026年4月28日ロッテ・友杉篤輝6回裏1死一、三塁スクイズで追加点
2026年4月30日日本ハム・五十幡亮汰延長10回1死三塁スクイズを外され失敗
2026年5月1日日本ハム・万波中正4回裏1死一、三塁セーフティスクイズが内野安打
2026年6月27日阪神・村上頌樹2回表1死二、三塁スリーバントスクイズ失敗

特に押さえておきたいのが、2012年の石原慶幸、2024年の小川龍成、日本ハムの五十幡亮汰と万波中正です。

この4例を見るだけでも、「サヨナラスクイズ=1死三塁から犠牲バント」という単純なイメージでは説明できないことが分かります。

サヨナラスクイズとは、スクイズによる得点でそのまま試合が終わるプレー

サヨナラスクイズとは、後攻チームが最終回または延長回の同点時にスクイズによって決勝点を奪い、その得点によって試合が終了するプレーです。

サヨナラスクイズの要点

普通のスクイズとの違いはバントの技術やルールではなく、入った1点がそのまま試合を終わらせる決勝点になることにあります。

同点の最終回では「1点だけ取れば勝ち」という条件になる

通常の試合中盤では、攻撃側は1点だけでなく、その後の追加点まで考えて攻撃します。

ところが同点の9回裏や延長回裏では事情が変わります。

三塁走者がホームを踏んで1点入れば、その瞬間に試合終了です。

そのため、長打や連打で大量得点を狙う必要はなく、「どうすれば三塁走者を最も効果的に返せるか」が重要になります。

スクイズは、打者がヒットを打つのを待つのではなく、バントと走者のスタートを組み合わせてその1点を狙う作戦です。

ただし守備側も、「三塁走者を返せば負け」という状況を理解しています。

内野手が前進したり、投手と捕手がスクイズを警戒したりするため、サヨナラスクイズは仕掛ければ簡単に成功するプレーではありません。

サヨナラスクイズには犠打以外の形もある

サヨナラスクイズという言葉から「三塁走者がスタートし、打者が犠牲バントでアウトになる形」を想像する方も多いでしょう。

実際、2012年の広島・石原慶幸の例は、典型的なサヨナラスクイズです。

しかし2024年のロッテ・小川龍成は2死満塁でセーフティバントを決めています。2アウトなので、打者が一塁でアウトになれば三塁走者の得点より先に3アウトとなり、サヨナラにはなりません。

つまり小川のケースでは、打者自身がセーフになることが必要でした。

パ・リーグ公式メディアはこのプレーを「サヨナラスクイズ」と紹介していますが、実際の内容は三塁へのサヨナラセーフティバントでした。

サヨナラスクイズを見るときは、「スクイズと呼ばれているか」だけでなく、アウトカウントと公式記録まで確認するとプレーの意味がより正確に分かります。

  • 1死なら犠牲バント型のサヨナラスクイズが成立し得る
  • 2死では打者がアウトになると3アウトなので、打者自身がセーフになる必要がある
  • 「スクイズ」という作戦名と「犠打・バント安打」という公式記録は分けて考える

広島・石原慶幸のサヨナラスクイズ|セ・リーグ18年ぶり

プロ野球のサヨナラスクイズの代表例として、まず取り上げたいのが2012年7月17日の広島対中日です。

この試合はNPBが月間サヨナラ賞の受賞理由として詳しく紹介しており、サヨナラスクイズの典型例を理解するのに適しています。

9回裏1死満塁から石原慶幸がスクイズ

広島は0対2とリードされて9回裏を迎えました。

そこから同点に追いつき、なお1死満塁。

打席に入った石原慶幸がスクイズを決め、三塁走者が生還して広島が逆転サヨナラ勝ちを収めました。

NPBによると、このサヨナラスクイズはセ・リーグでは18年ぶりでした。

ここで注目したいのは、満塁だったことです。

満塁では三塁走者は本塁でフォースアウトになるため、守備側は三塁走者にタッチする必要がありません。ボールを処理して本塁へ送れば、捕手はホームベースを踏むことでアウトを狙えます。

それでもスクイズを成功させたところに、このプレーの価値があります。

1点だけで勝てる状況だからこそスクイズが生きる

もし同じ1死満塁でも試合序盤なら、強攻策で複数点を狙う考え方もあります。

しかし同点の9回裏では、2点目以降は必要ありません。

スクイズによって三塁走者を1人返せれば勝利です。

石原のサヨナラスクイズは、「なぜサヨナラの場面でスクイズを使うことがあるのか」を非常に分かりやすく示しています。

大量得点を目指すのではなく、目の前の1点の価値が最大になったときに選ばれる作戦なのです。

ロッテ・小川龍成のサヨナラスクイズ|2死満塁から初球セーフティバント

近年のサヨナラスクイズで特に重要なのが、2024年7月30日のロッテ対西武です。

ロッテの小川龍成が9回裏2死満塁から三塁前へセーフティバントを決め、7対6のサヨナラ勝ちにつなげました。パ・リーグ公式メディアも、このプレーを「2死満塁から小川龍成がサヨナラスクイズ」と紹介しています。

2アウトなのにサヨナラスクイズが成立した理由

一般的なスクイズでは、打者が一塁でアウトになっても、そのアウトより先に三塁走者が得点すれば1点を取れる形があります。

しかし小川の場面は2死満塁でした。

すでに2アウトなので、小川が一塁でアウトになれば3アウト。得点は成立しません。

そこで小川は、自分も一塁に生きることを狙ったセーフティバントを三塁方向へ転がしました。

結果として三塁走者が生還し、小川自身もセーフ。試合がその場で終了しています。

後に小川自身は、三塁手の守備位置を見てセーフティバントができると判断したことを振り返っています。日頃からセーフティバントを練習していたことも、この大一番での成功につながりました。

完全なスクイズサインではなく、小川自身も選択していた

このサヨナラプレーには、さらに興味深い舞台裏があります。

小川は後のインタビューで、ベンチから通常の意味で明確なスクイズサインが出たわけではなかったと説明しています。

吉井理人監督から「セーフティーもあり」という趣旨が金子誠コーチを通じて伝えられ、小川自身も2死満塁で打席が回る可能性を考えながらセーフティバントを選択していました。

つまり、単純なベンチの奇襲ではありません。

三塁手の守備位置、自分の持ち味、アウトカウント、打順の巡りまで考えたうえで実行されたプレーでした。

小川のケースから分かるポイントを整理すると、次の通りです。

小川龍成のサヨナラプレーで分かること
  • 2死満塁でもセーフティバントによるサヨナラは可能
  • 2アウトでは打者自身が一塁に生きる必要がある
  • 三塁手の守備位置がセーフティバントの成否に大きく影響する
  • ベンチの意図と選手自身の判断が組み合わさる場合もある
  • 「サヨナラスクイズ」という呼び方と公式記録の形が必ずしも同じとは限らない

小川はこのプレーで2024年7月度のサヨナラ賞を受賞し、さらにパ・リーグの年間大賞にも選ばれました。

「プロ野球のサヨナラスクイズ」を調べるなら、石原慶幸の典型的な犠打型と、小川龍成の2死からのセーフティバント型をセットで知っておくと理解しやすいでしょう。

日本ハムのスクイズ実例|五十幡・万波・郡司の2ランスクイズ

日本ハムの近年のスクイズには、一度のバントで2人の走者が生還する「2ランスクイズ」の印象的な実例があります。

2025年には五十幡亮汰と万波中正がそれぞれ2打点を記録するバントを成功させました。同じ2ランスクイズでも、公式記録は五十幡がバントヒット、万波が犠牲バントと異なっています。

五十幡亮汰が1死満塁からバントヒットで2打点

2025年5月13日の日本ハム対オリックス。

日本ハムは1対0で迎えた7回裏、1死満塁のチャンスを作りました。

伏見寅威の適時打で1点を追加した後、なお1死満塁で五十幡亮汰が打席へ入ります。

五十幡はバントを投手前へ転がし、NPB公式記録では「ピッチャーバントヒット(打点2)」。

一つのバントで2人の走者が生還し、五十幡には2打点が付きました。

通常、スクイズと聞けば「三塁走者が1人返る作戦」を思い浮かべます。

しかし打者走者が一塁でセーフになったり、守備処理に時間がかかったりすれば、後ろの走者までホームを狙えることがあります。

この五十幡のプレーは、2ランスクイズが必ずしも「犠牲バント」になるわけではないことを示す実例です。

万波中正は1死二、三塁から犠牲バントで2打点

さらに鮮烈だったのが、2025年8月5日の日本ハム対西武です。

3回裏、日本ハムは1死満塁から郡司裕也の2点適時打で3対0とし、なお1死二、三塁。

打席には強打者の万波中正が入りました。

ここで万波は三塁方向へバント。

NPB公式の試合経過には「サード犠牲バント(打点2)」と記録され、三塁走者に続いて二塁走者の郡司まで一気に本塁へ生還しました。

打者が一塁でアウトになる通常の犠打でありながら、2打点が付いているのが大きな特徴です。

一塁への送球など守備側の動きの間に二塁走者まで本塁を狙ったため、1本の犠牲バントで2得点となりました。

郡司の二塁からの生還まで含めて2ランスクイズ

万波のバントだけ見れば、三塁走者を返す通常のスクイズです。

2ランスクイズとして成立させたもう一人の主役が、二塁走者の郡司裕也でした。

二塁走者がスクイズで本塁まで生還するには、三塁へ進むだけの場合よりはるかに長い距離を走る必要があります。

そのため、バントが成功したかだけではなく、守備側がどこへ送球するか、一塁でアウトを取るまでにどれほど時間がかかるかを見極めなければなりません。

日本ハムの万波と郡司のプレーは、スクイズが打者と三塁走者だけの作戦ではなく、二塁走者まで含めた走塁戦術にもなり得ることを示しています。

万波は2026年にもセーフティスクイズを成功

万波のスクイズは一度だけではありません。

2026年5月1日には、1死一、三塁からプッシュ気味のセーフティスクイズを行い、投手と一塁手の間を抜く適時内野安打にしています。

万波自身は、高校時代に大量のバント練習をしており、バントには自信があると話しています。

長打力のある打者だからスクイズをしないとは限りません。

むしろ相手が強打を警戒している打者だからこそ、突然のバントが大きな意外性を持つ場合があります。

万波の実例は、「スクイズをする選手=小技専門の打者」というイメージだけではプロ野球の作戦を説明できないことを教えてくれます。

日本ハム・五十幡のスクイズ失敗|相手に外されると何が起こる?

  • スクイズは相手バッテリーに読まれると、投球を大きく外されることがある
  • 打者がバットに当てられないと、スタートした三塁走者までアウトになる危険がある
  • 俊足の走者・打者でも、読み合いに負ければ成功しない

日本ハムには派手な成功例がある一方、スクイズを完全に読まれた失敗例もあります。

成功した2ランスクイズと失敗したスクイズを両方見ることで、この作戦が大きなリスクを伴うことも分かります。

延長10回1死三塁でスクイズを外される

2026年4月30日の西武対日本ハム。

2対2の延長10回、日本ハムは1死三塁の勝ち越し機を迎えました。

打者は五十幡亮汰。

初球からスクイズを仕掛けましたが、西武バッテリーは投球を高く外します。

五十幡はバットを当てることができず、スタートしていた三塁走者の田宮裕涼は三本間に挟まれてアウトになりました。

スクイズでは、三塁走者が投球に合わせて本塁へ走るため、打者がバントできなかったときの危険が非常に大きくなります。

特に相手バッテリーが作戦を読んで意図的に届きにくい高さへ外せば、打者は無理にバットを伸ばすしかありません。

この失敗は、五十幡のような俊足選手が関わっていても、スクイズが簡単な作戦ではないことを示しています。

阪神のスクイズ実例|坂本の成功と村上の失敗

阪神では、スクイズが成功した試合と失敗した試合を比較できます。

2025年の坂本誠志郎は先制点を生み、2026年の村上頌樹はスリーバントスクイズを空振りして走者もアウトとなりました。

坂本誠志郎が中日戦で先制スクイズ

2025年5月25日の中日対阪神。

0対0の5回表、阪神はチャンスを作り、坂本誠志郎のスクイズで先制しました。

試合はその後1対1となったものの、阪神が9回に4点を奪って5対1で勝利。坂本はこの試合で合計3打点を記録しています。

スクイズは終盤の決勝点だけに使われるわけではありません。

投手戦で「まず1点を取りたい」という中盤にも選ばれます。

得点が少ない展開では、先制点そのものが相手投手や守備へ与える心理的な影響も大きくなります。

村上頌樹のスリーバントスクイズは空振り

対照的なのが、2026年6月27日の広島対阪神です。

阪神は2回表に1点を先制し、なお1死二、三塁。

打席には先発投手の村上頌樹が立っていました。

カウント2ボール2ストライクから三塁走者がスタートし、村上はスリーバントスクイズを試みます。

しかしバットに当てられず空振り。

阪神公式の試合速報では「スリーバント失敗」と記録され、さらに三塁走者も本塁でアウトとなりました。

結果として、1死二、三塁という追加点の好機が一度のプレーで終わっています。

2ストライク後のスクイズは失敗したときの代償が大きい

村上のケースでは、すでに2ストライクと追い込まれていた点が重要です。

2ストライク後のバントは、ファウルになっても三振です。

そこに三塁走者のスタートを組み合わせると、打者の三振と走者アウトが一度に起こる可能性があります。

スクイズの成否を左右する主な要素は次のように整理できます。

  • 打者が投球に確実にバットを当てられるか
  • 投手と捕手に作戦を読まれていないか
  • 三塁走者が適切なタイミングでスタートできるか
  • ストライクカウントに余裕があるか
  • バントをどこへ転がすか

詳しいスクイズの失敗原因やカウントごとの考え方は、関連記事「スクイズの失敗とやり方|サイン・タイミング・カウント」で掘り下げると理解しやすくなります。

楽天のスクイズ実例|堀内・中島が好投手攻略に使った作戦

楽天の実例では、スクイズが「1点を奪うための奇襲」としてだけでなく、強い投手を攻略する攻撃の一部として使われていることが分かります。

2025年にはソフトバンク戦で堀内謙伍と中島大輔がそれぞれスクイズを成功させています。

堀内謙伍がモイネロ相手に先制点を追加

2025年7月11日の楽天対ソフトバンクでは、ソフトバンク先発がモイネロでした。

楽天は2回裏、1死一、二塁から入江大樹の適時打で先制。

続いて堀内謙伍がスクイズを決め、2点目を奪いました。

楽天はその試合を3対0で制しています。

好投手を相手にすると、複数の長打や連打を期待し続ける攻撃が難しくなります。

そこで出塁、進塁打、バント、スクイズをつなぎ、少ない好機から1点を取る方法が重要になります。

堀内のスクイズは、まさにその形です。

中島大輔は初球スクイズで勝ち越し

2025年8月26日の楽天対ソフトバンクでも、楽天がスクイズを成功させました。

1対1で迎えた5回裏、楽天は好機を作り、堀内がスリーバントを成功。

続く中島大輔が初球からスクイズを仕掛け、勝ち越し点につなげました。

NPBの公式記録では中島の打席は「投犠失」で1打点が記録されています。

このプレーで興味深いのは「初球」です。

何球も見てからスクイズを仕掛ければ、相手も作戦を警戒しやすくなります。

一方、初球なら守備側が通常の守備や配球で入っているところへ仕掛けられる可能性があります。

もちろん、打者側にも一球目から確実に実行する準備が必要です。

スクイズはバント技術だけでなく、「いつ仕掛けるか」まで含めた作戦であることが分かります。

ロッテのスクイズ実例|小川だけでなく寺地・友杉も成功

ロッテでは2024年の小川龍成だけでなく、2026年にもスクイズが得点につながった例があります。

寺地隆成のサヨナラスクイズと友杉篤輝の追加点スクイズを見ると、同じ球団でも試合状況によって異なる形で使われていることが分かります。

寺地隆成がオープン戦でサヨナラスクイズ

2026年3月14日のロッテ対西武オープン戦は、0対0のまま9回裏を迎えました。

ロッテは先頭の西川史礁が四球で出塁。

代走に入った和田康士朗が盗塁を決め、相手捕手の悪送球もあって一気に三塁まで進みます。

1死三塁となり、寺地隆成がスクイズを成功。

ロッテが1対0でサヨナラ勝ちしました。

このプレーでは、最後のスクイズだけを見るのでは不十分です。

和田の盗塁がなければ三塁走者は生まれていません。

つまりサヨナラスクイズに至るまでに、

寺地隆成のサヨナラスクイズまでの流れ
  • 出塁
  • 代走
  • 盗塁
  • 相手の悪送球
  • 三塁進塁
  • スクイズ

という一連の攻撃がありました。

サヨナラスクイズは、打者一人だけのプレーではなく、そこまでの走塁や選手交代を含めて成立する作戦なのです。

  • なお、この寺地の例はレギュラーシーズンではなくオープン戦です。公式戦のサヨナラスクイズ実例を探している場合は、2024年の小川龍成や2012年の石原慶幸とは分けて考える必要があります。

友杉篤輝は楽天戦でスクイズを成功

2026年4月28日のロッテ対楽天では、ロッテが6回裏に1死一、三塁の好機を作りました。

ここで友杉篤輝が投手前へ犠牲バント。

三塁走者が生還し、3点目を奪っています。

パ・リーグ公式記録では、友杉に「投犠打①」が記録されています。

友杉はこの試合で2安打1打点1盗塁も記録しました。

バント専門の役割として出場しているのではなく、通常の打撃や走塁を行いながら、必要な場面ではスクイズを選択していることが分かります。

「申告セーフティスクイズ」は公式記録上の作戦名として考えない

ロッテ関連では、「申告セーフティスクイズ」という言葉で検索されることがあります。

ただし、今回確認したNPBやパ・リーグ公式の試合記録では、スクイズは「犠牲バント」「バントヒット」など実際のプレー結果として記録されており、「申告セーフティスクイズ」という独立した公式記録名は確認できませんでした。これは公式資料の表記から判断できる範囲での整理です。

  • 「申告セーフティスクイズ」は公式の制度名・記録名ではありません
  • 「申告敬遠」のように、審判へ宣言して成立するプレーではありません
  • 実例を確認するときは、公式記録の「犠牲バント」「バントヒット」などを見るのが確実です

ロッテのスクイズを調べる場合は、俗称そのものより、「誰が・いつ・どの状況でバントをしたか」を公式の試合記録で確認するほうが正確です。

オールスターでもスクイズの実例がある

スクイズは公式戦だけで使われるわけではありません。

2025年のオールスターでは、勝敗を競う作戦でありながら、球宴ならではのエンターテインメントとしてもスクイズが使われました。

新庄剛志が電光表示サングラスでスクイズを指示

2025年7月23日のマイナビオールスターゲーム第1戦。

全パの三塁コーチを務めた新庄剛志監督は、特注の電光表示サングラスを使用し、レンズ上に「スクイズ」と表示して若月健矢に指示を出しました。

NPBの公式ゲームリポートにも、この演出と3バントスクイズが記録されています。

場面は4回、三塁に走者を置いた状況でした。

若月はスリーバントスクイズを試みましたが失敗。

スクイズによる得点にはなりませんでした。

通常の公式戦では、相手に作戦を悟られないようサインを隠すのが基本です。

ところがオールスターでは、あえて球場中に分かる形でスクイズを示すこと自体が演出になりました。

「オールスターでスクイズをしたことがあるのか」と気になった場合、2025年のこのプレーは非常に分かりやすい実例です。

2ランスクイズは普通のスクイズと何が違う?

日本ハムの五十幡や万波の実例を見ると、「2ランスクイズ」という言葉が気になる方もいるでしょう。

基本となるスクイズの目的は三塁走者を返すことですが、同じプレーの中で二塁走者まで生還すれば、一般に2ランスクイズと呼ばれます。

五十幡と万波では公式記録が違った

2025年の日本ハムでは、2ランスクイズと紹介できる2つのプレーがありました。

しかし公式記録は同じではありません。

選手状況公式記録打点
五十幡亮汰1死満塁ピッチャーバントヒット2
万波中正1死二、三塁サード犠牲バント2

五十幡は自分も一塁で生きたためバントヒット。

万波は一塁でアウトになったため犠牲バントです。

それでも両方とも二人の走者が生還し、2打点が記録されました。

記録を見るときのポイント

この違いから分かるのは、スクイズは作戦を表す言葉であり、公式記録は打球処理とプレー結果によって決まるということです。

詳しい打点・打数・犠打の扱いについては、「スクイズは打点・打数になる?打率・記録の扱い」で確認すると整理しやすくなります。

プロ野球のスクイズ実例から分かる4つの特徴

  • 1点の価値が高い場面ほどスクイズが選択肢になりやすい
  • 万波中正のような強打者でもスクイズを行うことがある
  • 成功時の得点効果が大きい一方、失敗時には走者まで失うことがある
  • 打者だけでなく、三塁走者や二塁走者の判断が結果を左右する

ここまで実例を見てくると、プロ野球のスクイズには共通する特徴があります。

ただし、ここでは実例を理解するためのポイントに絞ります。スクイズそのものの成功率や細かなサインの出し方については、別の記事で扱うほうが検索意図を混同しません。

1点の価値が高い状況ほど選択肢になりやすい

石原慶幸や小川龍成のサヨナラスクイズは、その1点が入った瞬間に勝利が決まる場面でした。

阪神の坂本誠志郎や楽天の堀内謙伍は、得点の少ない展開で先制点を取りに行っています。

スクイズは、大量得点を目的とする作戦ではありません。

「この走者をホームへ返す価値が高い」と判断されたときに威力を発揮します。

強打者でもスクイズをする

万波中正は典型的な例です。

長打を期待される打者でありながら、2025年には犠牲バントによる2ランスクイズ、2026年にはセーフティスクイズによる適時内野安打を記録しました。

「バントをしそうな打者だけを警戒すればよい」という守備側の読みを外すことも、スクイズの狙いの一つになります。

成功と失敗の差が大きい

五十幡は2025年に2ランスクイズを成功させましたが、2026年にはスクイズを外され、三塁走者がアウトになっています。

阪神の村上頌樹の例でも、スリーバントスクイズの空振りによって打者と三塁走者を同時に失いました。

スクイズは成功すれば1点を生みやすい反面、失敗すれば得点圏の走者まで失う場合があります。

このリスクが、プロ野球でスクイズが「三塁に走者が出たら必ず行う作戦」にならない理由の一つです。

打者だけでなく走者の判断が結果を変える

万波の2ランスクイズで二塁から生還した郡司、寺地のサヨナラスクイズにつなげた和田の盗塁など、スクイズには走者の動きも大きく関係します。

特に2ランスクイズでは、二塁走者が守備の動きを見ながら一気に本塁を狙わなければなりません。

打者がバントを成功させただけでは完成しないところに、スクイズの戦術的な面白さがあります。

サヨナラスクイズについてよくある疑問

実例を調べていると、「2アウトでもスクイズできるのか」「スクイズなら必ず犠打になるのか」など、プレー名と公式記録の違いから疑問が生まれます。

実際のプロ野球の事例を基準に整理します。

2アウトからでもサヨナラスクイズはできる?

できます。

2024年7月30日のロッテ・小川龍成が実例です。

ただし2アウトでは、打者が一塁でアウトになるとその時点で3アウトになるため、通常の犠牲バント型では成立しません。

小川は2死満塁から三塁前へのセーフティバントを決め、自身も一塁に生きたため三塁走者のサヨナラ得点が成立しました。

満塁でもスクイズはできる?

できます。

2012年の広島・石原慶幸は1死満塁からサヨナラスクイズを成功させました。

2025年の日本ハム・五十幡亮汰も1死満塁からバントヒットで2打点を記録しています。

ただし満塁では本塁がフォースプレーになるため、守備側は三塁走者へタッチしなくても、本塁を踏めばアウトにできます。

三塁だけに走者がいる場面とは守備側の処理方法が異なります。

スクイズをすれば必ず犠牲バントになる?

なりません。

万波の2025年8月5日の2ランスクイズは「サード犠牲バント」でしたが、五十幡の2025年5月13日の2ランスクイズは「ピッチャーバントヒット」です。

小川龍成のサヨナラプレーも、打者自身がセーフになるセーフティバントでした。

スクイズは攻撃側が得点を狙う作戦の名称であり、公式記録は実際のプレー結果によって変わります。

サヨナラスクイズはプロ野球では珍しい?

少なくとも、日常的に起きるプレーとは言いにくいでしょう。

2012年に石原慶幸が決めた際、NPBはセ・リーグでは18年ぶりのサヨナラスクイズと紹介しています。

一方、2024年には小川龍成が2死満塁からセーフティバントによるサヨナラを決め、2026年のオープン戦では寺地隆成もスクイズでサヨナラ勝ちを決めています。

珍しいからこそ、成功すると試合を象徴するプレーとして強く記憶されます。

サヨナラスクイズとプロ野球の実例を振り返ると、同じスクイズでも形は大きく違う

サヨナラスクイズは、スクイズによる1点が決勝点となり、そのまま試合が終了するプレーです。

代表例としては、2012年の広島・石原慶幸による1死満塁からのサヨナラスクイズがあります。NPBによれば、当時のセ・リーグでは18年ぶりでした。

そして近年のサヨナラスクイズを理解するうえで外せないのが、2024年のロッテ・小川龍成です。

小川は2死満塁から三塁前へセーフティバントを転がし、自らも一塁に生きてサヨナラ勝ちを決めました。

「2アウトでは打者もセーフにならなければならない」という点で、石原の犠打型とは異なるサヨナラスクイズです。

一方、日本ハムでは五十幡亮汰と万波中正が2ランスクイズを成功させています。

五十幡はバントヒットで2打点、万波は犠牲バントで2打点。さらに万波のプレーでは二塁走者だった郡司裕也まで本塁へ生還しました。

阪神では坂本誠志郎が先制スクイズを成功させる一方、村上頌樹はスリーバントスクイズを失敗。

楽天では堀内謙伍や中島大輔がソフトバンク戦でスクイズを決め、ロッテでは友杉篤輝も公式戦でスクイズによる追加点を記録しています。

実例を並べると、スクイズを「三塁走者をバントで返すプレー」とだけ覚えるのでは不十分だと分かります。

サヨナラになるケース、バント安打になるケース、2人の走者が生還するケース、強打者が意表を突くケース、投球を外されて失敗するケースまで、試合状況によって形は大きく変わります。

プロ野球を見るときは、三塁に走者が進んだら打者だけを見るのではなく、アウトカウント、守備位置、投手と捕手の警戒、走者のスタートにも注目してみてください。

「ここでスクイズはあるのか」「もしバントならどこへ転がすのか」と考えながら見ると、ボールがバットに当たる前から始まっている攻撃側と守備側の読み合いまで楽しめるようになります。

スクイズそのものの意味や基本ルールを詳しく確認したい場合は親ページ「野球のスクイズとは?意味・基本ルール・種類と目的」へ、プロ野球でスクイズが少ない理由や成功率を知りたい場合は「スクイズの成功率と使われ方|高校野球で多くプロ野球で少ない理由」へ進むと、今回紹介した実例をさらに深く理解できます。

参考・出典

この記事で紹介した試合・記録・選手コメントの確認に使用した主な出典です。外部リンクはすべて新しいタブで開きます。

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