スクイズは打点・打数になる?打率・記録とフィルダースチョイスの扱い

スクイズは打点・打数になる?打率・記録とフィルダースチョイスの扱い

スクイズが決まって三塁走者がホームインしたとき、「打者には打点がつく?」「バントだから打数には入らない?」「打率は下がらない?」と疑問に思うことがあります。

さらに、本塁への送球が間に合わず打者も一塁に残ると、安打なのかフィルダースチョイスなのかまでわかりにくくなります。

まず結論

結論からいうと、典型的なスクイズが犠牲バントとして記録され、三塁走者がそのバントによって得点すれば、打者には原則として打点がつきます。一方、犠牲バントは打数に入らないため、安打数も打数も変わらず、打率も変化しません。

ただし、すべてのスクイズが同じ記録になるわけではありません。

バントが安打になれば打数と安打が増えますし、三塁走者が本塁でアウトになれば原則として犠牲バントにはならず、打者に打数がつきます。エラーやフィルダースチョイスが絡むと、さらに公式記録員の判断が必要です。

NPBの公認野球規則では、打数、打点、安打、犠牲バントがそれぞれ別の記録項目として定められています。「スクイズ」という作戦名だけで記録が決まるのではなく、実際のプレーがどの記録に該当するかを判断する仕組みです。

この記事では、スクイズの打点・打数・打率の基本から、フィルダースチョイスやエラーが絡んだケースまで順番に整理します。

目次

スクイズの打点・打数・打率はどうなる?

スクイズの記録を理解するときは、「スクイズが成功したか」という戦術上の評価と、「公式記録が何になったか」を分けて考えることが重要です。

最初に典型的なケースを把握しておけば、その後のフィルダースチョイスやエラーの判定も理解しやすくなります。

典型的なスクイズ成功なら打点1・打数なし・打率は変わらない

たとえば1アウト三塁で打者がスクイズを行い、バントした打球を投手が処理して一塁へ送球したとします。

打者走者が一塁でアウトになる間に三塁走者がホームインし、このプレーが犠牲バントとして記録されれば、打者には通常「犠牲バント1、打点1」が記録されます。

公認野球規則9.02では、犠牲バントは打数に算入しないと定められています。一方、9.04では、失策によらず犠牲バントによって走者を得点させた場合には打点を記録するとされています。

つまり、典型的なスクイズ成功は次のようになります。

  • 三塁走者が生還するため、打者には原則として打点がつく
  • 犠牲バントなので打数は増えない
  • 安打ではないので安打数も増えない
  • 安打数と打数がともに変わらないため打率も変わらない

「アウトになったのに打点がつく」「打席に立ったのに打数が増えない」という部分が、スクイズの記録をわかりにくくしています。

しかし、打点と打数は別々の記録です。安打を打たなくても、犠牲バントによって走者を得点させれば打点を記録できるため、両者が同時に成立しても矛盾はありません。NPBの公式記録員による解説でも、打点は安打だけでなく犠打や犠飛、内野ゴロなどでも記録されると説明されています。

スクイズの結果打点打数安打犠牲バント打率
打者が一塁アウト、三塁走者生還原則1増えない01変わらない
本塁送球で走者セーフ、犠牲バント判定原則1増えない01変わらない
バントヒットで三塁走者生還原則11増える10変動する
三塁走者が本塁アウト0原則1増える00下がる可能性
エラーが絡んで三塁走者生還判定による判定による原則0判定による判定による

「スクイズなら必ず犠牲バント」というわけではない点が重要です。

同じようにバントして三塁走者が生還しても、公式記録が犠牲バントなのか安打なのかによって、打数と打率への影響は変わります。

「スクイズ」という独立した打撃記録があるわけではない

NPBの公式記録では、打数はAB、安打はH、打点はRBI、犠牲バントはSHというように、それぞれ別の項目として記録されます。

公認野球規則9.02に並ぶ公式記録項目にも「スクイズ」という独立した打撃成績はありません。

スクイズはあくまで攻撃側が採用した戦術です。

その結果として何が起きたかを見て、犠牲バント、安打、打点、野手選択、失策などの公式記録へ振り分けられます。

この違いを理解しておけば、「監督はスクイズのサインを出したのに、記録はヒットになった」というケースも不思議ではありません。

反対に、打者が一塁にセーフになったからといって、必ずヒットになるわけでもありません。

スクイズというプレー自体の意味や通常のバントとの違いから確認したい場合は、「野球のスクイズとは?意味・基本ルール・種類と目的」で基本を押さえてから読むと理解しやすくなります。

スクイズで打点がつく条件

スクイズの打点を判断するときに重要なのは、「三塁走者がホームを踏んだか」だけではありません。

その得点が打者の打撃によって生まれたものと公式記録上認められるかがポイントです。公認野球規則9.04では、犠牲バントだけでなく野手選択などによって走者を得点させた場合も、原則として打点を記録します。

犠牲バントによるスクイズなら原則として打点がつく

0アウトまたは1アウト三塁でスクイズを仕掛け、打者がバントした打球によって三塁走者が生還した典型的なケースでは、打者に打点が記録されます。

打者自身が一塁でアウトになっても関係ありません。得点の原因がその犠牲バントだからです。

たとえば、1アウト三塁でバントした球を一塁手が捕り、打者走者を一塁でアウトにしたとします。

その間に三塁走者がホームへ到達すれば、通常は打者に犠牲バントと打点1が記録されます。

「自分がアウトになった打撃なのに打点がつくのはおかしい」と感じるかもしれませんが、打点は安打の数とは別の指標です。

NPBの公式記録員も、内野のアウトや犠打で得点を生んだ場合に打点が記録されることを具体例とともに説明しています。

本塁へのフィルダースチョイスでも打点がつくことがある

スクイズでは、守備側が打者走者を一塁でアウトにするのではなく、三塁走者を本塁でアウトにしようとする場合があります。

本塁へ送球したものの三塁走者がセーフとなり、その得点が失策によらないのであれば、野手選択によって走者を得点させたケースとして打点が認められます。公認野球規則9.04にも、野手選択によって走者を得点させた場合は打点を記録することが示されています。

ここでややこしいのは、打者も一塁に生きることがある点です。

「走者もセーフ、打者もセーフならヒット」と考えたくなりますが、普通に一塁へ送球していれば打者走者をアウトにできたと判断されるなら、犠牲バントとして記録される場合があります。

この場合には「打者が一塁に残ったのに犠牲バント」「さらに打点1」という記録が成立します。

実際のNPBでも確認できるため、後ほど具体例を紹介します。

エラーがあってもスクイズの打点がつく場合がある

スクイズの打球を野手がファンブルしたり、送球を悪送球したりすると、「エラーなら打点はつかない」と考えがちです。

しかし、エラーが記録されたからといって、自動的に打点なしになるわけではありません。

公認野球規則9.04では、0アウトまたは1アウトで打者の打球に対して失策があり、三塁走者が得点した場合、「失策がなくても走者は得点できたか」を判断します。

失策がなくても得点できたと認められれば、打者に打点を記録します。

つまり、見るべきポイントは次の3つです。

  • 野手に失策が記録されたか
  • その失策がなくても三塁走者は得点できたか
  • 打者のバントが得点の原因として認められるか

たとえば、三塁走者が完璧なスタートを切り、スクイズの打球も十分に転がっていたとします。

野手が捕球後に悪送球したとしても、通常の守備をしても三塁走者の生還を防げなかったと記録員が判断すれば、打者に打点を与えることができます。

NPBの公式記録員による打点の解説でも、失策が起きた場面では走者のスタートや野手の位置などを確認し、失策がなくても得点できたかを判断すると説明されています。

フィルダースチョイスなら必ず打点がつくわけではない

野手選択によって走者が得点した場合は原則として打点がつきますが、「フィルダースチョイス」という表示だけを見て打点が確定すると考えるのも正確ではありません。

公認野球規則9.04には打点を記録しない例外もあります。

たとえば、フォースダブルプレイやリバースフォースダブルプレイとなるゴロによって走者が本塁へ入った場合には打点を記録しません。

また、野手がボールを持ちすぎたり無用な送球をしたりした間に、いったん止まった走者がミスを見て再び走り出して得点した場合には、野手選択による得点とされても打者に打点を与えないケースがあります。

スクイズの通常の検索意図ではここまで特殊な場面を暗記する必要はありません。

覚えておきたいのは、「フィルダースチョイス=自動的に打点」ではなく、得点までのプレー内容によって最終判断されるという点です。

満塁や2アウト、併殺が絡む特殊なスクイズは得点そのものの成立条件も関係するため、「満塁でスクイズするとどうなる?2アウト・ツーラン・反則時の扱い」で分けて確認すると整理しやすくなります。

スクイズの打数と打率はどうなる?

スクイズの打数を理解するうえで最も重要なのは、「バントしたら打数に入らない」わけではないことです。

打数から除外されるのは、公式記録上の犠牲バントなど一定のケースです。バントヒットになった場合や、犠牲バントが成立しなかった場合には打数が記録されます。

犠牲バントになったスクイズは打数に入らない

公認野球規則9.02では、打数に算入しないものとして犠牲バント、犠牲フライ、四球、死球などが定められています。

そのため、典型的なスクイズが犠牲バントとして記録されれば、打者は実際に打席へ入ってバットに当てていても打数は増えません。

ここでは「打席」と「打数」を混同しないことが重要です。

打席に立った回数のすべてが打数になるわけではありません。

NPBが示す打率の計算式は「安打数÷打数」です。また、NPBは打数について、打席数から犠打、犠飛、四死球などを除いたものと説明しています。

スクイズが犠牲バントなら安打数も打数も増えないため、そのプレーによって打率が下がることはありません。

打率3割の打者がスクイズをしても犠打なら.300のまま

数字で考えるとさらにわかりやすくなります。

100打数30安打の打者なら、打率は.300です。

ここで犠牲バントとしてスクイズを1回成功させても、打数は100のまま、安打も30のままです。

したがって、打率は30÷100=.300のまま変わりません。NPBの打率計算でも犠打は打数から除外されます。

一方、同じスクイズの場面でバントヒットが記録されれば、101打数31安打となります。

この場合の打率は約.307となり、打率は上昇します。

反対に、スクイズを仕掛けたものの三塁走者が本塁でアウトとなり、犠牲バントではなく打数1が記録されれば、101打数30安打となります。

この場合の打率は約.297です。

「スクイズした」という行動は同じでも、公式記録が犠牲バント・安打・その他の打数に入る結果のどれなのかによって、打率への影響が変わります。

スクイズがバントヒットになれば打数と安打が増える

バントした打球が非常に良い場所へ転がり、野手が普通に守備しても打者走者を一塁でアウトにできない場合には、犠牲バントではなく安打になることがあります。

公認野球規則9.05では、打球を扱った野手が先行走者へのプレーを試みて成功しなかった場合でも、普通に守備しても一塁で打者走者をアウトにできなかったと記録員が判断すれば、打者に安打を記録するとされています。

犠牲バントについて定めた9.08にも同様の考え方があり、普通の守備では打者を一塁でアウトにすることが不可能だった場合は単打を記録し、犠牲バントにはしません。

この場合は「安打1、打数1」です。

三塁走者もそのバントヒットによって得点すれば、原則として打点も記録されます。

実際、2026年5月1日の日本ハム対オリックス戦では、1アウト一・三塁から万波中正選手のプレーが「ファーストバントヒット(打点1)」とNPBの試合速報に記録されています。

また、2026年5月8日の広島対ヤクルト戦でも、9回表1アウト三塁から岩田幸宏選手が「ファーストバントヒット(打点1)」を記録しています。

このように、スクイズのように三塁走者を生還させるバントでも、打球そのものが安打と判定されれば犠牲バントにはならず、打数と安打がともに増えます。

三塁走者が本塁でアウトなら原則として打数がつく

スクイズで特に重要な失敗例が、バントした打球を野手が処理し、三塁走者が本塁でアウトになるケースです。

公認野球規則9.08では、バントした打球で次塁へ進もうとした走者のうち1人でもアウトになった場合には、原則として打者に犠牲バントを記録せず、打数を記録すると定められています。

つまり、

「走者を進めるために自分を犠牲にしようとした」

という打者の意図だけでは犠牲バントになりません。

実際に走者を安全に進めるという犠打の役割を果たしたかどうかが重要です。

たとえば1アウト三塁からスクイズし、投手が本塁へ送球して三塁走者がタッチアウトになった場合、典型的には打点0、犠牲バントなし、打数1となります。

安打も増えないため、打率は下がる方向に働きます。

ただし、走者がいったん次塁へ安全に到達した後、オーバーランやオーバースライドによってアウトになった場合は例外です。

この場合、打者は走者を安全に進める役割を果たしたと考えられるため、規則では犠牲バントを記録するとされています。

2アウトでは通常の犠牲バントとしては扱われない

公認野球規則9.08で犠牲バントの成立が定められているのは、0アウトまたは1アウトの場合です。

そのため、2アウトからバントを行った場合は、0アウトや1アウトでの送りバント・スクイズと同じ犠牲バントの扱いにはなりません。

2アウトでは第3アウトの種類によって得点が認められるかどうかまで変わるため、「打数に入るか」という記録だけでなく得点成立のルールも確認する必要があります。

このページでは打点・打数・打率の理解に必要な範囲にとどめ、2アウトスクイズの詳細は特殊ケースを扱う記事で確認するのがおすすめです。

スクイズのフィルダースチョイスとは?

スクイズの記録で最も間違えやすいのがフィルダースチョイスです。

特に「本塁へ投げたが走者はセーフ、打者も一塁セーフ」という場面では、ヒットなのか犠牲バントなのか判断しにくくなります。ここでは検索で使われやすい「フィルダースチョイス」と、公式記録上の言葉も整理しておきます。

フィルダースチョイス・フィールダースチョイス・野手選択はどう違う?

一般には「フィルダースチョイス」という呼び方も広く使われていますが、公認野球規則では「野手選択」という表現が使われています。

一方、NPBの試合速報では「フィールダースチョイス」と表記されています。

この記事では検索時に使われることの多い「フィルダースチョイス」も用いますが、NPBの実際の試合速報を確認するときには「フィールダースチョイス」という表示を探すとわかりやすいでしょう。

大切なのは表記の違いではなく、野手が打者走者ではなく先行走者へのプレーを選択した結果、打者が一塁に生きるケースがあるという点です。

フィルダースチョイスでも犠牲バントになれば打数は増えない

たとえば1アウト三塁からスクイズを行い、投手が本塁へ送球したものの三塁走者がセーフ、打者も一塁へ到達したとします。

見た目だけなら「全員セーフなのでバントヒット」と思うかもしれません。

しかし、公認野球規則9.08では、0アウトまたは1アウトでバントを扱った野手が次塁で走者をアウトにしようとして、失策がないにもかかわらず走者を生かした場合には犠牲バントを記録するとされています。

つまり、普通に一塁へ送球していれば打者走者をアウトにできたにもかかわらず、守備側が三塁走者を本塁で刺すことを選択した結果、両者がセーフになったのであれば、打者に犠牲バントが記録されることがあります。

犠牲バントなので打数は増えません。

三塁走者の生還がそのバントによるものなら、原則として打点も記録されます。

つまり、「犠牲バント+フィールダースチョイス+打点1」という記録が成立します。

2026年のNPBでも「犠牲バント+フィールダースチョイス+打点1」がある

実際の試合を見ると、この仕組みがよくわかります。

2026年5月20日の広島対DeNA戦では、8回表1アウト一・三塁から松尾汐恩選手がバントし、NPBの試合速報には「ピッチャー犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」と記録されています。

打者は一塁に生きていますが、公式記録は安打ではなく犠牲バントです。

そのため、このプレーでは打点はつく一方、犠牲バントなので打数には入りません。

2026年4月19日の日本ハム対西武戦でも、1アウト一・三塁から長谷川信哉選手が「ファースト犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」を記録しています。

2026年5月6日のオリックス対ロッテ戦でも、1アウト一・三塁から若月健矢選手に「ピッチャー犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」が記録されています。

これらの実例からも、「打者が一塁セーフなら安打」「フィールダースチョイスなら打数1」という単純な判断ができないことがわかります。

普通に守っても打者をアウトにできなければバントヒットになる

先ほどのフィールダースチョイスとの違いを決める重要な基準が、「普通に守備していれば打者走者を一塁でアウトにできたか」です。

公認野球規則9.08では、普通の守備でも打者を一塁でアウトにすることが不可能だったと記録員が判断した場合には、先行走者へのプレーが失敗しても打者に単打を記録し、犠牲バントにはしないとされています。

また、野手が先行走者を少しうかがったために一塁送球が遅れただけの場合も、単打とする考え方が規則に示されています。

整理すると、次の違いがあります。

  • 普通に一塁へ投げれば打者をアウトにできた → 犠牲バントになる可能性がある
  • 普通に守っても打者を一塁でアウトにできなかった → バントヒット
  • バントした打球で先行走者がアウトになった → 原則として犠牲バントではなく打数1

たとえば、2026年5月1日の日本ハム・万波選手のプレーは「ファーストバントヒット(打点1)」でした。

一方、同年5月20日のDeNA・松尾選手は「ピッチャー犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」です。

どちらも一・三塁からバントで走者を生還させ、打者自身も一塁に生きた形ですが、一方は安打、もう一方は犠牲バントです。

この差を生むのが、普通の守備をした場合に打者走者をアウトにできたかという公式記録員の判断です。

エラーが絡むスクイズの記録はどうなる?

スクイズの記録で最も一律に答えにくいのが、悪送球、落球、ファンブルなどのエラーが起きたケースです。

ここでは「エラーだから打点なし」「エラーだから犠打なし」と機械的に判断せず、エラーがなくても同じ進塁・得点ができたかという観点で考える必要があります。犠牲バントの判定と打点の判定は、それぞれ別の規則で判断されます。

本来なら走者がアウトだったのにエラーで助かった場合

公認野球規則9.08では、バントした打球で走者が当然アウトになるはずだったのに、野手の悪送球、落球、ファンブルなどによって走者が助かった場合、原則として犠牲バントを記録せず、その野手に失策を記録するとされています。

このケースでは犠牲バントとして打数から除外される理由がなくなるため、原則として打者に打数が記録されます。

たとえば1アウト三塁からスクイズし、投手が本塁へ正確に送球していれば三塁走者を十分アウトにできた場面を考えます。

ところが投手が大きく悪送球し、そのため三塁走者が生還したのであれば、「スクイズがきれいに決まったから得点した」のではなく、守備側の失策によって走者が助かったと判断される可能性があります。

この場合は、典型的な「犠牲バント1、打点1」とは異なる記録になることがあります。

エラーがなくても進塁できたなら犠牲バントと失策が両方つくことがある

反対に、野手のミスがなくても走者は安全に進塁できたと記録員が判断すれば、犠牲バントを記録できます。

さらに、そのミスによって走者が本来より余分の塁まで進んだ場合には、犠牲バントと失策をあわせて記録することが公認野球規則9.08に示されています。

つまり、「犠牲バント」と「エラー」は必ずしも二者択一ではありません。

NPBの実際の試合速報でも、「ピッチャー犠牲バント(エラー)」という記録は確認できます。2026年4月29日の西武対日本ハム戦では、源田壮亮選手のバントがこの記録になっています。

スクイズの場面でも考え方は同じです。

走者を安全に進めるだけのバントは成立しており、その後のエラーによって余分な進塁が生まれたのであれば、犠牲バントと失策を分けて記録します。

犠牲バントとエラーが同時に記録され、打点もつく場合がある

さらに、エラーが絡んだからといって打点まで必ず消えるわけではありません。

公認野球規則9.04では、0アウトまたは1アウトで打者の打球に対して失策があった場合でも、失策がなくても三塁走者が得点できたと判断されれば打点を記録するとしています。

2026年6月17日の阪神対楽天戦では、8回裏1アウト二・三塁から熊谷敬宥選手のプレーが、NPBの試合速報で「ピッチャー犠牲バント(エラー)(打点1)」と記録されています。

これは「エラーがある=犠牲バントではない」「エラーがある=打点なし」という理解では説明できません。

公式記録では、

「失策がなくても犠打は成立していたか」

「失策がなくても走者は得点できたか」

という2つをそれぞれ判断する必要があります。

この違いを押さえておけば、エラーが絡むスクイズの記録をかなり正確に読み取れるようになります。

成功・失敗別に見るスクイズの記録早見表

ここまでの内容を、実際の試合で起こりやすい形に整理します。

スクイズの記録は「成功」「失敗」という戦術上の評価だけでは決まらず、犠牲バント、安打、野手選択、失策のどれに該当したかを確認する必要があります。

プレーの結果主な公式記録打点打数打率への影響
打者が一塁アウト、三塁走者生還犠牲バント原則1なし変わらない
本塁送球で走者セーフ、普通なら打者は一塁アウト犠牲バント+フィールダースチョイス原則1なし変わらない
絶妙なバントで普通に守っても一塁アウトにできないバントヒット原則11上がる可能性
三塁走者が本塁アウト野手選択など0原則1下がる可能性
本来走者がアウトなのにエラーで助かる犠打なし+失策など判定による原則1下がる可能性
エラーがなくても走者は安全に進めた犠牲バント+失策の場合あり判定による犠打ならなし犠打なら変わらない
犠打が成立し、エラーがなくても得点できた犠牲バント+失策+打点の場合あり1の場合ありなし変わらない
バントできず三振三振01下がる可能性

スクイズの結果を見るときは、まず「打者がアウトかセーフか」だけで判断しないことが大切です。

打者がセーフでも犠牲バントになることがあり、逆にバントしていても犠牲バントにならないことがあります。

スクイズの打率を見るなら「打席」と「打数」を分けて考える

スクイズをした打者の成績を確認すると、「試合には4回打席へ立っているのに打数が3しかない」といったことがあります。

これは記録漏れではなく、犠牲バントが打数から除外されるためです。スクイズと打率の関係を理解するなら、打席数と打数を区別して見る必要があります。

犠牲バントでは打率の分母が増えない

打率は安打数を打数で割って計算します。

NPBの記録計算でも「打率=安打数÷打数」とされ、犠打は打数から除外されることが説明されています。

そのため、スクイズを犠牲バントとして成功させた場合、打数の分母が増えません。

安打も増えないため、打率はそのままです。

「スクイズでアウトになったから打率が下がる」という理解は正しくありません。

スクイズが犠牲バントとして記録されたかどうかを確認してから判断する必要があります。

犠牲バントなら出塁率もそのプレーだけでは変わらない

スクイズの検索意図からは少し補足になりますが、打率と一緒に見られることの多い出塁率についても触れておきます。

NPBの出塁率は「安打+四球+死球」を「打数+四球+死球+犠飛」で割って算出し、犠牲バントは分母にも分子にも入りません。

そのため、典型的な犠牲バントとしてのスクイズは、そのプレーだけで打率だけでなく出塁率を下げることもありません。

ただし、バントヒットなら安打として扱われるため、打率や出塁率にも影響します。

この記事の中心は打率と公式記録なので、OPSや長打率などまで広げる必要はありません。「犠打なら打率の計算対象となる打数に入らない」と覚えておけば十分です。

スクイズの記録を確認する3つのポイント

テレビ中継や球場でスクイズを見た直後は、映像だけで「犠打」「ヒット」「エラー」を断定しにくいことがあります。

特に本塁への送球、フィールダースチョイス、悪送球が絡んだ場合は公式記録員の判断が重要です。NPBの規則でも、記録員には安打か失策かなどを独自に判断する権限が与えられています。

最初に三塁走者の得点原因を見る

バントによって生還したのか、守備側のエラーや別のプレーによって生還したのかを確認します。打点を考えるときは「得点した」という結果だけでなく、何が得点の原因だったかが重要です。

次に打者が犠牲バントか安打かを見る

犠牲バントなら打数には入りません。バントヒットなら安打と打数が1ずつ増えます。同じように打者が一塁へ生きても、公式記録によって打率への影響が変わります。

フィールダースチョイスやエラーの文字だけで決めつけない

「犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」もあれば、「犠牲バント(エラー)(打点1)」も実際に存在します。複数の記録が併記されることがあるため、プレー全体を見る必要があります。

スコアブックへどの記号で書くかまで確認したい場合は、「スクイズのスコアブックの書き方・記号|成功・失敗・空振りの記録」で詳しく確認するとよいでしょう。

このページでは、スコアの書き方そのものには踏み込まず、打点・打数・打率など公式成績の読み方に絞っています。

スクイズの打点・打数・記録でよくある疑問

ここまでのルールを理解すると、多くの疑問は「スクイズだったかどうか」ではなく「公式記録が何になったか」で判断できるようになります。

最後に、スクイズの打点や打数を調べる人が特に迷いやすいケースを整理します。

スクイズが成功すれば必ず打点がつく?

典型的な犠牲バントによって三塁走者が得点すれば、原則として打点がつきます。

公認野球規則9.04では、失策によらず犠牲バントによって走者を得点させた場合に打点を記録すると定めています。

ただし、失策によって初めて得点できた場合などは別です。

エラーが絡んだときは、失策がなくても三塁走者が得点できたかどうかを記録員が判断します。

したがって、「スクイズでホームインした=必ず打点1」とだけ覚えるのではなく、得点原因まで確認するのが正確です。

スクイズで打点1なのに打数0ということはある?

あります。

むしろ、犠牲バントとして成功した典型的なスクイズでは、打者に打点1がつきながら打数は増えません。

犠牲バントは打数から除外される一方、犠牲バントで走者を得点させれば打点を記録できるためです。

「打点がついた=打数も1増える」という関係ではありません。

打点、打数、犠牲バントはそれぞれ独立した公式記録として見る必要があります。

スクイズで打者が一塁セーフなら打率は上がる?

必ずしも上がりません。

一塁セーフになったプレーがバントヒットなら、安打と打数が1ずつ増えるので、通常は打率が上がる方向に働きます。

しかし、守備側が三塁走者へのプレーを選択したため打者が一塁に残り、「犠牲バント(フィールダースチョイス)」と記録された場合には打数が増えません。

この場合、打率は変わりません。

打者が一塁にいるかどうかではなく、公式記録が「安打」なのか「犠牲バント」なのかを確認する必要があります。

スクイズで三塁走者が本塁アウトなら打点はつく?

三塁走者が本塁でアウトになれば得点していないため、そのプレーによる打点はつきません。

さらに、バントした打球によって進塁しようとした走者がアウトになった場合は、公認野球規則9.08により原則として犠牲バントも記録されず、打者に打数が記録されます。

したがって、典型的なスクイズ失敗なら「打点0、打数1、安打0」となり、打率が下がる可能性があります。

ただし、走者が安全に本塁へ達した後のオーバースライドなどでアウトになった特殊なケースでは扱いが異なるため、プレー内容を確認する必要があります。

スクイズのフィルダースチョイスは打数に入る?

フィルダースチョイスという言葉だけでは決まりません。

スクイズのバントを処理した野手が本塁へのプレーを選択し、走者も打者もセーフになった場合でも、普通に一塁へ投げれば打者をアウトにできたと判断されれば犠牲バントになることがあります。

犠牲バントなら打数には入りません。

実際、2026年のNPBでも「犠牲バント(フィールダースチョイス)(打点1)」という公式記録が複数確認できます。

一方、普通に守備しても打者を一塁でアウトにできない打球なら単打となり、打数と安打が1ずつ記録されます。

スクイズでエラーがついたら打点はつかない?

エラーがあるだけでは、打点の有無は決まりません。

0アウトまたは1アウトで打球に対して失策があり三塁走者が得点した場合、失策がなくても得点できたと記録員が判断すれば、打者には打点が記録されます。

2026年6月17日の阪神対楽天戦では、熊谷敬宥選手に「ピッチャー犠牲バント(エラー)(打点1)」が記録されています。

したがって、「エラー=打点なし」と覚えるのではなく、エラーがなくてもその得点が成立していたかを見るのが正確です。

セーフティスクイズでも打点・打数の考え方は同じ?

通常のスクイズかセーフティスクイズかという戦術名によって、打点や打率の計算方法が変わるわけではありません。

公式記録では、そのバントが犠牲バントに該当するのか、安打になったのか、走者の得点原因は何だったのかという基準で判断されます。

セーフティスクイズと通常のスクイズの戦術上の違いについては、「セーフティスクイズとは?通常のスクイズ・セーフティバントとの違い」で分けて確認すると理解しやすくなります。

スクイズの記録は「打点」「犠牲バント」「打数」を別々に確認しよう

スクイズで打点や打数がどうなるのか迷ったときは、「スクイズだから○○になる」と一括りにしないことが大切です。

典型的なスクイズが犠牲バントとして記録され、三塁走者がそのバントによって生還すれば、打者には原則として打点1が記録されます。犠牲バントは打数に入らないため、安打数も打数も変わらず、打率も変化しません。

一方、バントが安打になれば打数と安打が1ずつ増えます。

三塁走者が本塁でアウトになれば、原則として犠牲バントにはならず、打者に打数が記録されます。

フィルダースチョイスも、「打者が一塁にセーフだから打数1」とは限りません。

守備側が本塁へのプレーを選択した結果として打者も一塁へ生きた場合、普通に一塁へ送球していればアウトにできたと判断されれば「犠牲バント(フィールダースチョイス)」となり、打数には入りません。2026年のNPBでも、この形で打点1まで記録された実例があります。

さらにエラーが絡んだ場合も、単純に「打点なし」「犠打なし」とは判断できません。

本来アウトになるはずの走者がエラーで助かったのか、エラーがなくても走者は進塁・得点できたのかによって、犠牲バントや打点の有無が変わります。

スクイズの記録で確認する順番

スクイズの記録を確認するときは、「得点の原因」「犠牲バントか安打か」「フィルダースチョイスやエラーがどう関係したか」を順番に見るのが最もわかりやすい方法です。

この3点を押さえておけば、スクイズで打点がつく理由、打数に入らない理由、打率が変わらないケース、反対に打率が動くケースまで一続きで判断できるようになります。

出典・参考資料

この記事では、NPB(日本野球機構)の公認野球規則、記録の計算方法、公式記録員による解説、2026年の公式試合速報を参照しています。

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